温もりを感じることができるパイン家具。ナチュラルでカントリーな雰囲気を演出したいときに人気の家具の1つです。安心感を抱くことができるパイン家具ですが、どのような材料によって製作されているかご存知でしょうか。
本記事では、無垢材のパイン材の種類ごとの色や特徴、おすすめの塗料について徹底解説いたします。
無垢材のパイン材の種類ごとの色や特徴
早速、無垢材のパイン材の種類ごとの色や特徴について、解説いたします。
- 北欧パイン
- メルクシパイン
- ラジアータパイン
- 欧州赤松
- ポンデロッサパイン
- マリタイムパイン
- サザンイエローパイン
- ロッジポールパイン
北欧パイン
産地
北欧パインの産地は、ノルウェーやスウェーデン、フィンランドにまたがるスカンジナビア半島です。厳しい寒冷地で生育しています。特にフィンランドにおいては、木を伐採したら苗木を5本植林するという活動を行なっており、主要な木材生産国でありながら、森林資源は枯渇することないため、フィンランド産のパイン材は、環境に優しい材料であると言えます。
色
北欧パインの色は、白や薄い黄色となっており、薄めの柔らかい色のため人気です。
特徴
北欧パインは、厳しい寒さに耐えて育った背景から、年輪幅が細かく、木肌はきめ細く、木目が美しいのみならず、節が自然であると言われています。他のパイン材と比較すると少し硬質で、重めな特徴があることから、より耐久性を求める家具におすすめです。
家具の例
北欧パインを使用した家具は、薄めの色合いが上品でありながらもちゃんとナチュラルさを感じられるものとなっています。
メルクシパイン
産地
メルクシパインの産地は、インドネシアを中心とした東南アジアです。マツ属の中では最も暖地で生育しています。
色
メルクシパインは、淡黄色から淡赤褐色となっており、ナチュラルな雰囲気を醸し出しています。
特徴
メルクシパインは、適度な硬さを持っており、耐水性があると言われています。一方で耐久性はそこまで高くありません。
家具の例
メルクシパインは、少し黄色がかっており、白すぎず、茶色すぎない色味の家具が欲しいときにおすすめです。
ラジアータパイン
産地
ラジアータパインの産地は、ニュージーランドやオーストラリア、チリ、南アフリカなどとなっています。成長が早い木であることから、25〜30年サイクルで伐採しつつ、一方で定期的に植林し、環境に配慮されています。
色
ラジアータパインの色は、中心部分が淡い褐色から褐色で、外側に行くほど黄白色となります。
特徴
ラジアータパインは、柔らかく、加工性が高い特徴をもちますが、一方で中心部分から外側にいくほど硬度が落ち、耐久性は高くありません。特に見た目では、中心部分では年輪がはっきりしないという特徴があります。
家具の例
ラジアータパインで製作された家具も、比較的に薄めな色で、ナチュラルな雰囲気を醸し出しています。
欧州赤松
産地
欧州赤松の産地は、ヨーロッパ全域、中央アジア、シベリアなど非常に広域となっています。特に日本ヘはスウェーデンやフィンランド、ポーランド、ロシアから輸入されています。
色
欧州赤松の色は、中心部分は淡赤褐色から赤褐色、外側部分は黄白色や淡赤色です。レッドウッドとも呼ばれることもあり、パイン材の中でも少し赤みが強い印象です。
特徴
欧州赤松は、非常に強度が高いパイン材と言われており、特に北緯58°〜62°のラインで採れるものは、冬には気温がマイナス50℃まで下がることから、その過酷な自然環境により、最も強度が高いとされています。
樹脂分が多く耐水性も高いことから、木材が腐りやすい日本の気候にマッチしていると言えるでしょう。
家具の例
欧州赤松で製作された家具は、赤みがあり、よりカントリー感を演出したいときにおすすめです。
ポンデロッサパイン
産地
ポンデロッサパインの産地は、アメリカ中部から太平洋沿岸、オーストラリア南東部、ニュージーランド、南アフリカなど、広範囲に渡ります。
色
ポンデロッサパインの色は、淡い黄白色です。経年変化によってだんだん深い飴色に変化していきますが、特に中心部分は橙色から赤みを帯びた褐色となっていきます。
ロッジポールパインなどと比較すると、クリームやバターのような風味の上品な色合いであると言われています。
特徴
ポンデロッサパインは、軽くて柔らかく、仕上がりが美しいという定評があります。樹脂分が少なめで、節が固く、しっかりとした安定性もありますが、一方で衝撃には弱いという特徴もあるので注意が必要です。
家具の例
ポンデロッサパインで製作された家具は、よりカントリー感が強い印象となります。
マリタイムパイン
産地
マリタイムパインの産地は、ヨーロッパであり、砂地で生育する特徴から、南フランスで砂防林として活用されている側面も持ちます。
色
マリタイムパインの色は、他のパイン材と比較して赤みが強いと言われています。
特徴
マリタイムパインは、ラフな質感と大きな木目を持ちます。その美しい木目には定評があり、様々な節との表情のコントラストが人気です。
家具の例
マリタイムパインは、経年によって、木目のコントラストがより際立ち、味わい深い雰囲気になっていくことでしょう。
サザンイエローパイン
産地
サザンイエローパインの産地は、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアです。特にアメリカのフロリダやサウスカロライナ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピー、ルイジアナなどで植林されています。
色
サザンイエローパインの色は、中心は赤褐色、外側に向けて黄白色であると言われています。
特徴
サザンイエローパインは、他のパイン材と比較して、硬めであると言われており、中心になればなるほど保存性が高いと言われています。樹脂分は多いため、塗装は難しい特徴も持ちます。
家具の例
サザンイエローパインで製作されたテーブルは、使い始めこそ黄白色のデザインですが、だんだんと飴色に変化していく過程を楽しむことができるでしょう。
ロッジポールパイン
産地
ロッジポールパインの産地は、アラスカからバハカリフォルニアにわたると言われていますが、ロッキー山系北部や太平洋岸地域にも多く分布しているとされています。
色
ロッジポールパインの中心と周りの色の差ははっきりしていませんが、中心は淡黄色や淡黄褐色であり、中心から外側に行けば行くほど白や淡黄色になる傾向があります。もちろん使用していくとだんだんと飴色に変化します。
特徴
ロッジポールパインは、やや軽く、扱いやすいことから仕上がりも良いとされています。しかし、耐久性が低く、樹脂分が滲みやすい点には、注意が必要でしょう。
家具の例
ロッジポールパインは、軽さを生かし、持ち運んだりするような家具製作におすすめです。画像のようなデスクは積み重ねることもでき、便利ですね。
パイン家具におすすめの塗料 3選
パイン家具製作に使用されている様々なパイン材について理解を深めたところで、パイン家具におすすめの塗料についてもご紹介いたします。
オスモカラー
オスモカラーは、ひまわり油などをはじめとする自然植物油由来の塗料です。揮発性有機化合物は不使用であることから、自然にも、人間にも優しい特徴があり、パイン材に浸透させることで、表面と内側から保護することができます。
ペンキや水性ステイン、ワックスなどの良いとこどりを実現した塗料であることから、パイン材の呼吸を妨げることなく、無垢材が本来持つ手触りや表情、質感などを残すことができるとされています。
触りごごちはすべすべであるのにも関わらず、優れた撥水性を兼ね備えていることから、万が一パイン家具に液体をこぼしてしまったとしても、シミとして残りにくいというメリットがあります。
また、浸透する塗料であることから、下地を剥がさずとも塗り重ねることができる特性を持ち、もしパイン家具を使用している際に傷がついてしまったとしても、傷ができてしまった部分のみサンドペーパーをかけた上で、部分的に塗装すると補修が完了する手軽さも人気のポイントです。
ワトコオイル
ワトコオイルは、亜麻仁油を主成分とする塗料であり、表面に塗膜を作ることなく、ゆっくりと時間をかけてパイン材に浸透させて仕上げます。浸透してから、溶剤が揮発することで、オイルの主成分が空気中の酸素と結合し、酸化重合により、硬化することでパイン家具を保護してくれます。
パイン材が本来持ちうる美しさ、しっとりとした質感を表現できるとされていますが、有機溶剤を含んでいるため、塗る際には注意が必要となります。ただし、塗装完了後、完全に乾燥した段階では、無害となるので、自身で使用しないのであれば安心できる塗料と言えるでしょう。
ワトコオイルで仕上げられたパイン家具を長期間使用していると、だんだん表面のしっとりとした質感がなくなってきたり、退色がみられたり、撥水効果が低下したりする場合があります。その際には、定期的なお手入れが必要です。
バターミルクペイント
バターミルクペイントは、水性塗料であり、乾燥すると美しいマットの仕上がりになるのが特徴です。吸着性と伸びがあるため、マットなカラーにパイン家具を仕上げたいときにおすすめです。
それぞれのカラーをそのまま使用することはもちろん、混ぜ合わせてオリジナルカラーを生み出すこともできます。
最高級の自然塗料であり、環境や健康にも優しいため、安心して利用できるでしょう。
まとめ
パイン家具の材料について、本記事では、無垢材のパイン材の種類ごとの色や特徴、おすすめの塗料について徹底解説いたしました。
パイン家具といっても使用されているパイン材には様々なものがあり、色や特徴などが異なります。欲しい家具のデザインも大事ですが、色合いや木目、耐久性など様々な角度から最も納得のいくパイン材で製作されているものを選ぶと、後悔することは少ないでしょう。
仕上げの塗料についても、環境に配慮されたものであるかどうか、きちんと見定めることが大切です。