”#革靴を長持ちさせるお手入れ11の方法”
- 気に入った革靴は長く履きたい。
その思い、正しい革靴の手入れ方法とメンテナンスの知識があれば可能になります。綺麗で快適な革靴とのライフスタイルには、手入れとメンテナンスは必須。
革靴の間違った履き方や扱い方で、知らず知らずの内に寿命を縮めているのです。長く、良い状態で使用する為に必要な手入れ、メンテナンス、心がけは単純であり、奥が深いのです。
そして、すぐに実践できる事が沢山あります。今回は、愛用の革靴と長く付き合う為の11の方法をご紹介します。
その1、オーバーサイズは買ってはいけない
まずは、必ず店頭で行うひとコマ「サイズ選択」。サイズ選びは大事な作業です。逆に言うと、サイズ選びを失敗したら快適な革靴との付き合いは待っていないと思って下さい。
革靴のサイズ選びは正直、少し面倒に感じます。木型がそもそも合っていなく、足と革靴の形が合わない。スリムな革靴が欲しいけど横幅がきつい。等、自分の足やブランドの悩みは様々です。
買い物に向かう前に、自分の足に合いそうなメーカーやブランドを下調べしておく事と、自分の足を知っておく事はマストなのです。 そして、ありがちな失敗があります。サイズに悩んだ時に「オーバーサイズ」を選んでしまう事。オーバーサイズは選んではいけないのです。
オーバーサイズとは、大き目のサイズの事。革靴にゆとり感は好ましくありません。では、その理由を紐解いていきましょう。
革靴のサイジングは”楽ちん”を選ばない
革靴の手入れやメンテナンスでも、修復が不可能なのが深いシワ。革靴を綺麗な状態で長く愛用したいのであれば、「楽だから」という理由でオーバーサイズの革靴を選ばないで下さい。
革靴がきついと、痛いし窮屈なので買いませんよね。そしてジャストフィットより、多少大きめの方が最初から楽ですよね。その選択が、失敗です。
オーバーサイズの革靴は、ジャストサイズの革靴と違って甲部分に沢山シワが出てしまいます。沢山シワが出てしまうと、履き心地も見た目も早い段階で悪くなり、「買い替えよう」となってしまいます。
失敗は革靴に深く刻まれる
オーバーサイズを選択すると、長持ちしない理由は何か。 足に対してのゆとり、つまり革靴内側の余白部分が多いと、深いシワが入ります。 足に対して大きめの革靴を履いていると、足が靴の中で動き遊んでしまいます。
足が靴の中で遊ぶと、革靴のシワが入る位置が都度変わってしまうのです。 歩く時やしゃがむ時の革靴の曲がる度合いが、余りがある為に毎回変わります。そして沢山シワが出来てしまうのです。
結果的に、残念な革靴を自分で作ってしまうのです。見た目も美しくないですし、長持ちはさせられません。
サイズ選びは慎重に
革靴のサイズ選びは少し面倒な部分もありますが、しっかりと見極めて妥協をぜず革靴を購入しましょう。 サイズ選びのポイントを、少しご紹介します。
『サイズ選びのポイント その1』浮腫み
まず、足がむくむ時間帯を知る事が大事です。女性に比べ男性は、浮腫みを気にする事は少ないと思います。 具体的には、日中歩いたり立ったりする機会が多いと足に血流が溜まり、夕方にむくみやすいと言われています。
他にも、前日の夕食メニューの塩分で、朝むくんだりもします。足に汗をかきやすい体質の方だと、昼には足がふくれている感覚になります。 一言でむくむ時間と言っても、ひとそれぞれではあるのです。自分のライフスタイルや足の状態を少し気にしてみて下さい。
仕事で革靴を使うのであれば、仕事終わりにショップへ向かうのも良いかと思います。
『サイズ選びのポイント その2』 靴下に注意
革靴を履くシーンで、どのような靴下を履くのか考えておきましょう。 薄手のものから厚手のもの、ドレスシーンやカジュアルシーン等ひと口で靴下と言っても、レパートリーは様々です。
店頭で革靴を試す時、ちゃんと革靴を履くシーンに合った靴下で試していますか。 靴下次第では革靴のサイズ感が変わってしまい、ぶかぶかなんて事になりかねません。 買う段階で失敗してしまうのは、とてももったいない事です。 休日に革靴を買いに行く場合には注意が必要ですね。
『サイズ選びのポイント その3』 革靴は馴染む素材という認識
革靴は履くごとに柔らかくなり、足に馴染んできます。 最初はジャストサイズでぴったりでも、どんどん自分の足に合った形になり馴染んでいくのです。 最初から革靴が自分の足より大きめのサイズだと、おかしな伸び方をして変な形の革靴になってしまいます。
女性のヒール靴だと、重心が前へ前へと下がり、浮腫みもダイレクトに伝わります。その為ジャストサイズでも、サイズの変動が時間と共に大きかったりします。 男性の革靴の場合はその心配も無いので、安心して革靴を馴染ませられます。
最初から足に対して大きいサイズだと、すぐに履きごこちは悪くなります。 オーバーサイズの革靴を選択する事は、足にも見た目にも失敗なのです。
その2、革靴のお手入れの基本『ブラッシング』
以前の記事に記載したように、ブラッシングを制す者は革靴のお手入れを制します。 革靴は生きたレザー素材なので、しっかりメンテナンスをしてベストな状態を保つ事が長持ちさせるために重要になってきます。
汚れたらブラッシングをするのではなく、良い状態を維持するために出来るだけ短時間でも良いので毎日のブラッシングを心掛ける事がブラッシングの軸になります。
汚れを落とす+整える
革靴のブラッシングでしっかりほこりやゴミを落とすと同時に、マッサージ効果で革靴本来の油分と水分を整え、コンディションを良くします。 そしてほこりやゴミの汚れの膜を落とし、摩擦熱をかける事で綺麗な発色と艶を取り戻します。 ブラッシングでほこりを落とす事でカビを予防し、ゴミを落とす事で乾燥を防ぎひび割れをしないように整えます。
では、もしカビが生えてしまったらどうすればよいのでしょうか?
もしカビが生えてしまったら
湿気を含んだまま保管したり、風通しが悪かったり、ほこりが蓄積されていたり、原因は様々です。ただ、この原因もしっかりと手入れとメンテナンスをしていれば、防ぐ事が出来ます。 カビが生えている状態の革靴は、革繊維の内部までカビが入り込んでしまっているので完全に除去する事は不可能と言えます。
特に表面に色素を出すタイプのカビだと、手入れをしてもカビの根は残ったままです。 買い替えをするか、専門の業者に依頼をしクリーニングをオーダーするしか手はないのです。クリーニングでも根絶は困難の為、カビを生やさないように予防するのが一番と言えます。
その3、雨の日の革靴ケアと手入れの大事さ
カビや湿気と聞くと、生活をしていて一番身近で思い当たるのは「雨」。
雨は革靴の天敵。雨の日には革靴を履かないという選択が一番手軽な方法です。 ただ、雨の日に「革靴を履かない」という選択は難しいというビジネスマンは多いのではないでしょうか。ゴアテックスなど、雨に強い革靴も市販されているので、そちらも検討してみてはいかがでしょう。
そして、雨に濡れた革靴は、いかにスピーディにお手入れをするのかが重要になります。 雨の日でも、お手入れで型崩れやシミから愛用の革靴を守りましょう。 まずは、雨の日に起こるトラブルをご紹介します。トラブルを知っておけば、手入れの対応も素早く出来るのです。
雨の日の革靴トラブル1:塩ふき
雨の日に革靴を履いた後、甲革の表面に「白いシミ模様」が出てくる事があります。 この白いシミの正体とは何か。 もともと革靴の中にある塩分や油分と、履いた足の汗成分等が雨によって表面に浮き出て来たものです。 根付いてしまったこのシミを完全に取り去る事は非常に難しいのです。
シミを出さない為にも、日にちを跨がずにスピーディに水染み後のアフターケアを行う事が大事なのです。
雨の日の革靴 トラブル2:靴の中の水濡れ
雨や雪の日に革靴を着用すると、革素材の生地表面には水が染みます。また、表面だけではなく革の内部に水が浸透する事もあります。 そして縫い目や底の部分、履き口からも水が浸入する事があるのです。 雨水の浸入を防ぐ為にも防水スプレーを使用する等、日頃のメンテナンスも大切になってきます。
そして、雨の日や雪の日は、その状況に合った革靴を選ぶ事が大事です。 ゴアテックスで水に強い靴や、靴底の仕様が頑丈になった冬用革靴、革靴の素材を知りアフターケアをしやすいものを選択するなど、事前の対策をしていると手入れも楽になってきます。
雨の日の革靴 トラブル3:色落ち
革靴に使用している革素材は、その性質上色落ちします。 色落ちの原因は主に「水分・湿気・発汗・摩耗」になります。 濃い色の革素材の場合は特に、足や靴下に素材の色が移ってしまう事があります。 淡い色の靴下やスラックス等のパンツの着用や、雨の日の使用には注意が必要です。
革靴の色落ちが治まるまでは、濃い色の靴下や衣服の着用をおすすめします。 淡い色の衣服だと、雨等の水しぶきの跳ね返りも目立ちます。 雨の日は濃い色が必須だと記憶しておけば心配も少ないです。
靴底のすべり
雨や雪の日の路面はとてもすべりやすくなっています。 タイル・マンホール・大理石・鉄板・階段などは特に注意が必要。怪我が多い場所です。 革底が摩耗していると、よりすべりやすくなります。 革靴の底の擦り減りは雨など関係なく、革靴にとって蓄積された大きなダメージになります。
靴底の減りが気になったら、修理に早めに出す事で様々なトラブルの回避が可能です。 そして革素材の靴底は、ゴム底や合成底と比較してすべりやすいので注意して下さい。
雨に濡れた革靴の手入れ方法
では、雨に濡れてしまった革靴の手入れ方法をご紹介します。 大事なことは、いかに濡れている時間を短くするかという事です。 ただし、濡れている革靴を早く乾かしたいがゆえにドライヤーを使うなんていう事は絶対に避けてください。テキストで見ても分かり辛いという方は、こちらの『靴磨き芸人 奥野さん』の革靴が雨に濡れたら見る動画をご覧ください!
1:まず、雨や汚れを乾いた布で拭き取る
その後に新聞紙や、シュードライ(乾燥・抗菌・脱臭効果のある靴の詰め物)を靴の中に入れて水分を吸収させます。新聞紙を使用する際は、新聞紙をティッシュでくるんでから入れます。随時新しいものと入れ替えて下さい。
2:型崩れに気を付けながら日陰で乾かす
革靴の水分がなくなってきたら、木製シューツリーなど革靴の型崩れを防ぐアイテムを靴に入れて、風通しのよい日陰で乾かします。 直射日光やドライヤー等で急激に乾かすと、革が硬くなったり、ひび割れを起こしたりするので急いでいても絶対にしないで下さい。
3:ブラッシング
ブラッシングで汚れやゴミを綺麗にします。この時コバなどの細かい部分も忘れずにしっかりと全体をブラッシングします。 この時に白いシミ(塩ふき)が出ていたら、それは革に含まれる塩分が表面にしみ出たものなのできちんと拭き取るようにして下さい。
革底のブラッシングは、ブラシやヘラで汚れを丁寧に落として下さい。ごく少量のミンクオイル(レザーソールの為のクリーム。栄養を与え劣化を防ぐ効果あり)などで油分を補給できれば尚良いです。 特に出し縫いの糸の部分は念入りにケアしましょう。
4:クリームでメンテナンス
栄養を与えるクリームを柔らかな布で革靴全体にムラなく塗り、磨きます。 濡れて大きなダメージを受けた革に栄養と光沢を与え、ひび割れを防ぎます。 クリームは、無色のものが使いまわしがしやすいので便利です。カラークリームの場合は甲革に出来るだけ近い色のものを選ぶようにしましょう。
5:撥水スプレーで予防
薄いカラーや茶系の革靴は一度雨に濡れてしまうとシミが出来やすく、シミが出来ると元の色に戻すのは困難です。出来るだけ雨の日には履くのを避けるのが理想です。 革靴を履く場合には、前もってウォータープルーフスプレーをかけるよう心がけましょう。
防水、撥水スプレーは、革靴のダメージを最小限に抑えられます。 雨の日の手入れとケアは、とても重要なメンテナンスになります。 革靴を長く愛用する為にも、是非実践してみて下さい。
撥水スプレーの効果
雨の日のメンテナンスで出て来たウォータープルーフ(撥水)スプレー。 こちらは雨の日だけに吹きかけるのではなく、革靴を長持ちさせる為にも継続してスプレーする事をおすすめします。 なぜなら撥水スプレーは、雨や水を防ぐだけではなく、汚れや傷の防止にもなるのです。
その点でも、スプレーをすれば革靴が長持ちする理由になります。 撥水スプレーは、フッ素入りのものを選びましょう。
防水・撥水スプレーの基礎知識
防水スプレーや撥水スプレーは薬品である為、革靴にとって悪い存在で、革を痛ませてしまうのではないかと感じると思います。 ただそれはひと昔前の話です。今は成分開発も進み、革靴に悪いという事はなくむしろ良い効果を得るのです。率先してスプレーしていきましょう。 ちなみに、防水と撥水の違いはこう。
防水:繊維全体をコーティングし、全く水を通さない事。
撥水:繊維の目をふさがずに水を玉状に弾く事。
市販の防水スプレーは効果としては撥水になります。 撥水スプレーで有名かつロングセラーなのはアメダス。各シューズメーカーや市販品も数多くあります。そして、その中でも撥水スプレーは2分類に分かれるのです。
防水・撥水スプレーの種類
シリコン系
表面に皮膜を作り、繊維の隙間を埋める事で水が染みるのを防ぎます。 しっかりと水を防ぐ事と、スプレー後すぐに効果が発揮される事がメリットです。 一方で、油が染み込みやすかったり、持続時間が短め。空気を通しにくく蒸れたり、革が劣化しやすいとデメリットも多いです。
革が痛んでくると、表面がぼそぼそになったり、ひび割れしたりと問題が発生します。 革は生きた素材なので、吸湿と放湿などの呼吸を止めてしまうと負担がかかってしまうのです。 なので、次に紹介するフッ素系。こちらの通気性を保つ事が出来るタイプを使用する事がおすすめです。
フッ素系
水より細かいフッ素樹脂が繊維に浸透し、水を防ぎます。 通気性があり革が痛みにくいので、安心して天然皮革製品に使用できます。 有名どころのアメダスなどの商品は、スプレー出来る生地も多様な種類に対応していて、靴に限らず鞄や服にも使用出来きます。
そしてアメダスは、ブートブラックを産んだ日本のメーカー、コロンブスの製品。心強い存在です。
スプレーの使い方
新しい革靴を購入したら、まずは撥水スプレーをかけましょう。 撥水スプレーを吹きかける事は、新しく買った革靴に対して一番最初にする作業です。 スプレーを吹きかける事で、雨や水から革靴を守るだけではなく、そのあとついた汚れなども落ちやすくなります。更に色の持ちもよくなる効果もあるのです。
履いた革靴にスプレーをする時は、まずブラッシングで汚れを落とす事からはじめましょう。しっかりとほこりやゴミをブラッシングで払い落とし、撥水スプレーがしっかりと全体に浸透するように、革靴を整えてあげて下さい。
下準備が出来たら、30㎝ほど離した場所からスプレーします。全体に満遍なく2~3秒程かけましょう。かけ過ぎるとシミの原因になりますのでご注意を。 スプレーは人体に良いものではないので、屋外や換気の効いた場所で行う方が安心です。
1度でうまくスプレーが出来なかった場合は、1度目が乾いてから2度目をスプレーしましょう。1度に多くスプレーをかけ過ぎると、色落ちやシミの原因になるので気を付けてください。 感覚的には、表面が少し湿る程度が丁度良いです。 頻度は最低で週に一度程。毎日スプレーをする事をおすすめします。
そして雨の日と濡れた日にもスプレーでしっかり手入れをしましょう。 汚れをしっかり落とし、乾かしてからスプレーをします。 フッ素系の撥水スプレーは、回数を重ねるごとに革にしっかり浸透し、効果が高まってきます。是非、スプレーも継続してみてください。革靴を長持ちさせる効果が期待できます。
YouTube(ユーチューブ)で見る 革靴の撥水スプレー動画
その4、革靴の正しい保管方法
革靴は、正しく保管する事が大切です。保管方法を誤ってしまうと、様々なトラブルの原因になります。靴磨きをして、革靴のお手入れが完璧でも正しいベストな保管方法ができていなければ大事な革靴を長持ちさせることが出来ませんので要注意です。
革靴の保管トラブル
革靴の保管を間違えた時に起こってしまうトラブルは、「カビ・型崩れ・革の劣化」などがあります。 カビは、湿気や汚れ、高温で風通しが悪い環境を好みます。 次に革靴が型崩れをする原因は、革が形状を記憶する性質にあります。ゆがんだままケアをしないで放置しておくと、そのゆがんだ形状を保ってしまうのです。
そして、汚れや水気をそのままにした状態で革靴を保管すると、革がみるみる劣化します。 カビが生え、色落ちしひび割れた上にくたびれてしまった革靴は、見たくはないですよね。 そうならない為の、革靴を長持ちさせる保管方法を是非、すぐにでも実践して下さい。
ジャケットにハンガーをかけるように革靴にはシューツリー
日常に使用する革靴にも、特別な日にしか使用しない革靴にも、保管に共通するアイテムは「シューツリー」です。 シューツリーは、足の代わりの役目をした型崩れ防止の為のアイテムです。 型崩れをさせない為、ジャケットにはハンガーを使用し保管するように、革靴にはシューツリーを使用し保管する事が大事なのです。
シューツリーは、シワを伸ばし型崩れを防止するだけではなく、湿気を吸収して革靴のコンディションを整える役目もあります。 履いた靴は必ずシューツリーを入れるよう心がけましょう。 シューツリーは、革靴に対して多少きついかなと思えるくらいがベストなセット状態になります。サイズに迷ったら、参考にしてみて下さい。
日常の保管方法
では、短期間の革靴の保管方法です。短期なので、日常で使用する革靴になります。 丸一日一生懸命働いた革靴は、とても疲れています。シューツリーを入れてしっかり休ませてあげましょう。 まず、基本のブラッシングで汚れを落とします。一日履いただけでほこりやゴミは必ず付着します。しっかり汚れを落としてコンディションを整えてあげましょう。
ブラッシングを終えたら、シュークロークにしまう前に一晩以上乾かします。 場所は玄関でかまいません。 一日履いた革靴は思いのほか湿気を含んでいるので、すぐ収納してしまうとカビの原因に繋がります。カビは革靴の底の部分に生えやすいです。すのこや網を敷いた上に革靴を保管するとより通気性がよくなりベストです。
革靴を収納したシュークロークは、一日10分程度定期的に換気をしてあげられたらよりベストです。 湿気防止の為に乾燥材を入れておくだけでも効果があります、革靴に優しいので是非乾燥材をシュークロークに入れてください。
革靴の長期保管方法
次に靴箱を使用した長期間の革靴の保管方法です。 基本のブラッシングを行い、汚れをしっかり取り除きます。そして同様に一晩以上乾かし、湿気もしっかり取り除いてください。 靴ひもはそのままでも外してもどちらでも構いません。
収納までの手入れ手順
シューキーパーは保管の間もずっと入れておく物です。手入れのはじめの段階から靴に入れたのなら、そのまま外さずにしておきましょう。 ブラッシングは、革底やコバの部分もしっかりブラッシングします。そして、出来ればクリーナーを使って古いクリームやワックスを落としましょう。蓄積した古いクリームを落とす事はとても大事な事なのです。
クリーナーを使用する場合は、指に布を巻きクリーナーを乗せ、革靴の汚れた箇所に馴染ませます。 強く擦らずに汚れたクリーナーをクロスや乾いた布で拭き取りましょう。強く圧をかけると革の表面が荒れてしまうので、やさしく拭いてあげましょう。
保管の際は、専用の除菌スプレーがあればなお心強いです。除菌、防カビ効果が期待できます。 靴と、収納する箱にもスプレーしましょう。 革靴で底も革の場合であれば、湿気が多いシーズンにはカビが発生しやすいのでミンクオイルを塗った後に保管するようにすれば、心配いりません。
いずれにせよ、かけ過ぎや塗りすぎには注意してください。
箱に革靴を寝かせる
革靴の手入れが完了したら、汚れの落とし忘れは無いか、しっかり乾いたかを確認し箱に入れます。 革靴は、左足靴を土踏まずを下になるように底を外向きに入れます。右足靴は土踏まずを上にして左右を互い違いになるように収納します。ポイントとしては、靴同士がぶつかって擦れないように、間に布や柔らかい紙を挟んでおく事です。
革靴を買った時についてくる靴袋(シューバッグ)や薄紙(ライスペーパー)を靴の間に挟んでおきましょう。靴袋は、湿気を高くしてしまうので革靴を中に入れない方が良いです。ただ、吸湿性のよい綿布であれば革靴を収納したりくるんだりしましょう。
湿気防止の為に、箱に小さな穴を何か所かあけたり、市販の乾燥材を一緒に入れておけばなお良いです。乾燥材は、革靴に直接触れないようにしてください。箱に寝かせた革靴は、風通しが良く湿気の少ない場所が最適です。ただ、家庭のシュークロークやクローゼットは通気性が良いとは言えません。
定期的に扉を開けて換気をし、快適に革靴を寝かせてあげましょう。これで保管もぬかりなく完了し、革靴を長持ちさせる事ができます。
その5、「クリーム」と「クリーナー」 革靴のお化粧は上塗りせずに落とす
先ほど出てきた「クリーム」と「クリーナー」。クリーナーはブラシで落としきれないほど、表面に付着し固まってしまった細かい汚れを落とす為に使用します。 そして、蓄積された古いクリームやワックス等はクリーナーでしか落としきれません。
クリーナーはシミになりそうな緊急時(コーヒーや油がかかった等)には、完全に除去する事は難しいですが頼りになる存在です。ただ頻繁に使用するのは革に良くないので、数か月に一度使うかどうかです。注意事項や使用出来ない革素材も多くあるので、革靴の扱いに慣れるまでは触れる機会も少ないかと思います。
クリーナーの具体的な手入れとしては、しっかりブラッシングをした後、コイン程の量をクロスや布に出し革靴に優しく塗ります。そしてすぐに汚れを拭き取ります。その後クリームでケアに入ります。クリーナーは、革靴をすっぴんに戻す事ができます。綺麗にしっかり化粧をする為の、最適な化粧落としといえます。
クリームでお化粧の前に
クリームで正しく手入れをする事で、革靴をより長持ちさせる事が出来ます。 ただここで注意が必要なのは、クリームをただ塗ればよいという意味ではない事。クリームだけを塗り続けることは、洗顔をせず化粧をしている事と同じ。上塗り、上塗りでどんどん厚化粧になり、結果的に革表面にクリームの層が出来てしまいます。
そうするとクリームの段差が出来たり、革が硬くなったりしてひび割れの原因になります。クリームを綺麗に塗る為にも、効果を出す為にも、しっかり以前塗ったクリームを落とす事が大事なのです。それは、クリーナーを使わずともブラッシングで可能です。ブラッシングでしっかり洗顔をしてから、クリームを塗りましょう。
よかれと思って塗ったクリームが、革靴にダメージを与えている事もあるのです。ブラッシングをしてから、化粧に入りましょう。 これがブラッシングが大事な工程だという理由でもあり、基本でもあるのです。この意識が、革靴の寿命を減らさない1番のポイントです。
その6、クリームで栄養を与える
では、革靴を長く愛用する為にする大事な手入れ、クリームを塗る手順もご紹介します。クリームは、多くのメーカーから多様な商品が出ています。それぞれに特徴があり、カラーも豊富で、金額も100円で買える物から高級ブランドの物など様々です。
クリームの種類
クリームは多種多様にありますが、「乳化性」「油性」「ワックス」の3種に大きく分ける事ができます。この中で必須なクリームは乳化性。逆にこの乳化性クリームさえあれば、普段の手入れには十分と言えます。色は無色が何色の革靴にも使えるのでおすすめです。容器の形状的にはチューブタイプが多いです。
油性クリームは、色のバリエーションが豊富です。革に艶と光沢を与えたい、色を整えたいという時に使用する事で、見栄えが良くなります。容器は各メーカー、ブランド共にとてもおしゃれなビンに入っています。ワックスは、鏡面磨きで革靴の表面をぴかぴかにします。油性クリームより更に強い光沢を出すことが目的です。
乳化性クリームで手入れ
一番ベーシックでナチュラルな仕上がりの手入れ方法をご紹介します。長持ちさせる為にも、クリームで疲れた革靴に栄養と保湿を与えてあげましょう。まず、基本のブラッシング。洗顔してあげないと、クリームは綺麗に塗れません。次に乳化性クリームが全体に塗り込めるようにシューツリーを入れてシワを伸ばしたり、手で調節します。
革靴と同色のクリームか、無色のクリーム(シュークリーム)をクロスで少量づつ塗り伸ばします。乳化性クリームで栄養と保湿を与え、整えてあげましょう。 クリームの色は革靴により使い分けます。
豚毛のブラシ
クリームを塗った後は、ブラッシングで余分を落とし、クリームを馴染ませます。更に艶も蘇らせます。 ここで使用するブラシは手入れで使用した馬毛ではなく、豚毛のブラシを使用します。 豚毛のブラシはコシが強いのが特徴です。そして馬毛のブラシよりコンパクトなので小回りも利きます
塗り込むイメージで、クリームを塗った細かい範囲もブラッシングしていきましょう。 豚毛のブラシのカラーは、黒と茶で使い分けて下さい。同じブラシで薄い色の革靴をブラッシングしてしまうと、ブラシに残った黒のクリームが靴に色移りしてしまいます。
革靴は、クリームとブラッシングで十分な手入れができます。長く使用しているなと思う愛用の革靴には、クリームで栄養を与えてあげてください。
その7、革靴は履き回すローテーションが大事
革靴を長く愛用するために大事な事は、手入れだけではありません。 お気に入りだからと毎日同じ革靴を履いていると、トラブルが多発してしまいます。 ニオイ、カビ、型崩れ、汚れや傷の蓄積、など休む暇がないとどんどん寿命は縮みます。 長くその革靴と付き合いたいなら、酷使は厳禁です。
長持ちさせるには、何足かをローテーションし履き回す事が大事です。 汗を乾かす時間や菌を繁殖させない為の時間は丸一日以上は必要です。 シワをシューキーパーで戻す時間もないと、どんどん深いシワが出来て修復不可になってしまいます。 手入れをする手間と時間も必要なので、手持ちが1足2足ではたりないかと思います。
最低3足、雨の日用も含めれば4足ほどあれば心強いです。 長持ちさせる為には、適度なダウンタイムが必要なのです。
大切な革靴は鑑賞用ではない
革靴は酷使は厳禁と言いましたが、大事過ぎて手入れをせずに飾っていたり、あまり履かないでいるのも寿命を縮めます。 保存方法がしっかり守られていれば急激に劣化はしませんが、適度に履かないと劣化の進行は早まってしまいます。 そして生活空間の中で観賞用に出していると、エアコンやヒーターの風で乾燥してしまいます。
長く放置していると、革靴は酸化し劣化してしまうのです。ラバーソールのゴム底の革靴だと、ラバーの水分が蒸発し乾燥してしまい、結果的に硬くなってぼろぼろになってしまう可能性があります。 革靴は、適度に履いて歩かないと劣化の進みが早いです。これはスニーカーもおなじです。もちろん、手入れも大切です。
箱に入れてシュークロークで保管する場合は、レザーソール、ラバーソールと共通して適度な風通しが大切になってきます。 革靴は、箱入り息子ではいけないのです。
その8、型崩れ防止の為の約束
革靴は、型崩れを避ける事がとても大切です。 型崩れ防止にマストアイテムなのはシューキーパー。 又シューツリーと呼んだりします、木製の物がシューツリーです。 革靴には木製の物がおすすめです。革靴に残った足の湿気を吸ってくれる効果がある為です。湿気を嫌う革靴には、木は相性の良い素材です。ぜひ、シューツリーを選択してください。
木製の他にはプラスチック製のシューキーパーもあります。価格が安く、非常にお手頃です。ですが吸湿性は無いので、しっかりと革靴を乾かしてから入れるようにしてください。 湿気が残る内にプラスチックのシューキーパーを入れてしまうと、汗や湿気の出口を塞いでしまい、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。カビや、ニオイの原因になり、革靴の寿命を短くしてしまいます。
少し価格が高いのが木製シューツリーのネックですが、消耗品ではないので正しく使えば長く使用できます。
革靴の扱い方の約束
そして、シューキーパーを入れてしっかりとメンテナンスをし形を整える事はもちろん、普段の革靴の履き方や扱い方で型崩れをさせないよう務める事も重要です。 まず、かかとは踏まない事が絶対です。急いでいるからと無理矢理足を入れたり、靴べらを使わずに強引に履いたり、横着し靴ひもを緩めずに脱ぎ履きしたり。全てNG行為になります。
長持ちさせる為にも、極力大事に扱うようにしましょう。 履き口から革靴がダメになってしまう場合は、靴ひもを緩めていない事が原因としてあります。履くとき、脱ぐとき、毎回必ず靴ひもをほどくよう心がけましょう。
横着な革靴の着脱は、スマートな男性のする行為ではないです。だらしのない革靴の扱いは、見た目にも革靴にも良くない行動です。そして、女性にも嫌われてしまいます、意外と見られていますよ、あなたと革靴。
その9、靴べら(シューホーン)の使い方で革靴にダメージ
靴べらを使わずに革靴を履こうとすると、うまく足が入らずにかかとが踏まれて潰れてしまう事があります。 革靴のかかとには、体と足を支える為に沢山のパーツや芯が入っています。それが踏まれてしまう事により折れてしまうと、足が痛くなってしまったり、革靴の劣化を早めてしまう事になります。一度折れてしまうと、もう元には戻らないのです。
なので必ず靴べら(シューホーン) を使用しましょう。 そんな、革靴を履く時に必要なアイテムの靴べら(シューホーン)。 正しい使い方なんて習う事も教わる事も無く、なんとなく習得する革靴を履くというスキル。 その靴べら(シューホーン) の使い方だと、革靴の劣化を早めているかもしれません。
靴べらの正しい使い方
まず、靴べら(シューホーン) の窪んでいる部分がかかとを当てる部分。靴のかかと部分のカーブに沿うような作りになっています。 足を革靴にほどよく入れ、かかとのカーブの部分に合わせて靴に靴べら(シューホーン) を差し込みます。ここで、最重要項目が一点。
靴べら(シューホーン) を差し込んだ時に、インソールの部分、つまり一番下まで靴べらを強く差し込まないでください。靴べら(シューホーン) は、かかとに沿わせるのみです。 一番下まで靴べら(シューホーン) を差し込み、自分のかかと下部分のインソールを軸にして負荷をかけてしまうと、その部分がへこんだり、痛んで破けてしまいます。
普段革靴を着用していて、インソールのかかと部分が薄くなる事はありますが、痛んだり破けたりする事はありません。もし痛んでいたら、それは靴べら(シューホーン) の負荷がかかってしまっている可能性が高いです。
なんとなく使っている靴べらですが、少し意識をしてみると革靴を長持ちさせるポイントにもなります。革靴にダメージを与えない為にも、スマートに履く為にも、脱いだ時に恥ずかしい思いをしない為にも、正しく靴べら(シューホーン) を使用してください。
その10、靴底のsos、摩耗に気付く
革靴を長持ちさせる為には、継続した手入れやメンテナンスが大切です。そして、革靴が発信するSOSにいち早く気付き修理に出す事も大事なのです。革靴表面のSOSは普段の生活でも発見しやすいです。しかし、靴底にはあまり気が付かない場合が多いのではないでしょうか。
例えばアウトソール、靴底のかかと部分の擦り減り。買い替えの理由として多いのが靴底の痛みです。靴底に関しては、減るのが当たり前です。なので、いち早く気付いて、修理に出す事が愛用の革靴と長く付き合う手段でもあります。
発信するSOS
靴底は、最後部外側、つまりかかと部分から減っていきます。かかと部分が元の高さから1センチ近く摩耗し減ってしまったら修理に出し、交換しましょう。擦り減ったまま使用していると、靴だけではなく、歩き方にも影響してきます。さらに、靴底の踏みつけ部分の中心(ソールの曲がる部分)も擦り減ってしまいます。その摩耗した靴底部分を指で押して、くぼむなら穴があく一歩手前です。
また、インソールも保存状態が悪いと汗や湿気で常に湿った状態になり、最悪穴があいてしまいます。ニオイも気になる部分なので、よく乾かし手入れをしましょう。それと同時にインソールが劣化していないかを指で押して確認してみてください。良く歩き、ハードな動きをする方は、特に靴底の擦り減りも早いです。是非、この機会によく使用する革靴の底を確認してみてください。
その11、長く履きたいと思う革靴と出会う
では、最後に。革靴は大事に扱い、手入れをし、メンテナンスを重ねると長く人生を共にできます。それを面倒と感じるか、粋と感じるかはそれぞれです。ただ、手入れをする時間と過程を楽しむ事の出来る大人は、精神的余裕のある人間だと言えます。革靴は、その人となりを表す大事なアイテムです。どんなに着飾っていても、ひとつの手入れも出来ていない革靴を履いているとがっかりします。
そして、革靴ひとつでどれほど気を配れる人なのかという事も見分けられてしまいます。それはプライベートやビジネス置いても、今なおステータスであり品格として見られています。それは、高級な靴かどうかではなく、手入れがされているかどうかです。一般でもそうです、おしゃれは足元から。清潔感も重視されます。どんどん味が出る革靴の風合いと経年変化(エイジング)を楽しむことは、自分の歴史と時間を楽しむ事でもあります。
革靴の手入れをしている姿は、女性の目から見てもとても魅力的に感じます。革靴の手入れの文化は、女性にはかなり珍しく映る習慣です。その工程の姿もそうですが、革靴を大事にしている、ケアを楽しんでいるという部分がとても素敵に感じるのです。それは、ものを大事にするヒトなのだと、信頼にも繋がります。
大事にしたい、長く付き合いたいと思う革靴に出会う事が、1番のモチベーションかもしれません。”大人のいい男”として、一歩先を行くかっこよさを手に入れてはいかがでしょうか。