”#ダッドスニーカー最前線”
ダッドスニーカーはSNSの台頭によりスニーカーヘッズのなかで最早、世界共通の大きな波とトレンドとなっている。今は、興味さえあれば簡単にブランドのコレクションをチェックでき、憧れのセレブの私服ですら容易にチェックが出来るからだ。そして世界一のラグジュアリーブランドのルイヴィトンでさえダッドスニーカーをリリースしている。ましてや時代に左右されることのなかったラフシモンズでさえ『オズウィーゴ』というダッドスニーカーをリリースした。
そんな空前のダッドスニーカーブームの最中にいる。2017年より始まったこの大きなトレンドの波は途切れる事なく今もまだその渦中にいるのだ。世界、そして日本のスニーカーヘッズをターゲットにここまで急激な成長を遂げたダッドスニーカーの背景をおさらいすると共に2019年のスニーカー業界のなかでどのように変化と進化を遂げるのか、迫ってみる事にしよう。
ダッドスニーカーindex
ダッドスニーカーとは?
そもそも今のトレンドであるダッドスニーカーとは、どんなものなのだろう?それは、80年代から90年にかけてダサいお父さんが履くようなスニーカーをモデルにしていることから由来されるスニーカーのことを指している。
2017年1月:トリプルSが「バレンシアガ」RUNWAY・コレクションに登場
トリプルSが2017年のメンズ秋冬コレクションにて、バレンシアガのランウェイに登場。トリプルSといえば皆さんご存知のぼってりとしたシルエットに分厚いソールが特徴である。数シーズン前までアレキサンダーワンが務めていたバレンシアガのイメージを一変し、ストリート路線に差し替えた新デザイナーが産み出したシルエットは、使い古された筈だったが人々に革新を与えたのだ。 そうそしてトリプルSこそが”元祖ダッドスニーカー”であり 、ダッドスニーカーの伝説のはじまりだったともいえる。
2017年:カニエウエストがイージーランナー(yeezy runner)コーデを激写される。
カニエウエストといえばアーティストでもあるのですが。最近は自身のYeezyブランドやヴァージルアブローの師匠として認知されている。また大のラフシモンズ好きで知られており、ラフシモンズ コーデや500万以上でオークションで落札されたラフシモンズのボンバージャケットも愛用している。ちなみにラフシモンズ好きといえばエイサップロッキーもかなりのコレクターでエイサップもダッドスニーカーをよくコーデしている。
さてそんなカニエウエストもぼってりとしたダッドスニーカーを履いてパパラッチから激写されており。2016年までイージーブースト350を筆頭にニットアッパーを使ったスニーカーのトレンドセッターであったカニエウエスト 。のちにそれは、イージーブースト700として発売された。
2017年:海外セレブとダッドスニーカーコーデ
ダッドスニーカーが市場に出回り始めようとしたその時、2017年7月を境にいち早くセレブ達はダッドスニーカーを手に入れ着用する。その姿は市場に瞬く間にインフルエンスを与えたのだ。トラヴィス・スコットともうすぐ結婚か?とうわさされるカイリージェンナーの姉ケンダルジェンナー。若い女性の間ではインスタを含めファッションアイコンとして崇められるケンダル。さすがは一時期はエイサップロッキーの彼女だったカイリーの姉と言うだけあって大のオシャレ好きでダッドスニーカーをコーデにいち早く取り入れた海外セレブの一人でもある。
2018年:ラグジュアリーブランドからダッドスニーカーが猛リリース
バレンシアガのダッドスニーカーであるトリプルSは、2017年秋冬期に発売された。そしてそのシーズンのスニーカシーンは正に、ダッドスニーカーの大きな波に乗ったバレンシアガの独り勝ち状態だったのだ。しかし、それに追随する形で翌シーズンである18年のSSより各ラグジュアリーブランドがこぞって、ダサいぼってりデザインのダッドスニーカーを軒並み発表したのである。
2018年:ダッドスニーカーが駆け巡る
ディオールオムはD22、アクネストゥディオズはロッカウェイ。ナイキはモナーク。プーマはサンダーなどなど、挙げればキリがないが2018年はまさしくダッドスニーカー乱発の年となった。今ではそれがスタンダードであるかの様に。
ダッドスニーカー初登場はバレンシアガの17年秋冬のランウェイであるのは前述のとおりである。では、その仕掛け人であるバレンシアガのデザイナーであるデムナ・ヴァザリアとは、どんな人物なのだろうか?どんな経緯を辿って来たのか、紐解いてみよう。
Demna gvasaliaさん(@kingdemna) • Instagram写真と動画
ヴェトモンのデザイナー
ヴェトモンは、今でこそメジャーな位置にいるがブランドとしての背景は非常に短い。デビューシーズンは14年の秋冬にデビューをしている。そして15年の10月にはバレンシアガのデザイナーに就任している。たった3シーズンのコレクションを経て大手メゾンのデザイナーに就任まで登り詰めているのだ。
ヴェトモンがクリエイトするウェアは、時に馬鹿らしく、時に高貴に映るのである。ただのパーカーにパーカーの説明をプリントする。DHLのユニフォームに見間違うTEEシャツ。大きすぎるMA-1。着る物を選ばない。洋服を買うという、ただの消費を特別なものに変えたのがヴェトモンと言えるだろう。
VETEMENTSさん(@vetements_official) • Instagram写真と動画
バレンシアガのデザイナーに就任
2015年の10月にバレンシアガのデザイナーになったデムナ・ヴァザリア。期待されたデビューシーズンは、大きな期待を裏切ることなく安定したものだった。しかし、改革は始まっていたのだ。就任早々に、デムナはブランドロゴを一新する。そして17年には話題をさらうのである。90年代に旺盛した張り出すほどの肩パッドが施されたウェアだ。
バレンシアガ、トリプルSの誕生
徐々に革新を進めて来たデムナは、遂にダッドスニーカー市場を独占する。17年秋冬に発表したトリプルSをはじめとしたスニーカーで話題をさらにかっさらうのである。春夏は肩パッドでトップにボリュームをもたらした。一転、秋冬は足元へと注目を向けたのである。足元に至る流れる様なシルエットを作り出しその流れは靴・スニーカーに持ってくる。層が連なる分厚いソールにお父さんが、かつて履いていた様なダッドスニーカーがお目見えしたのである。そうそれこそが、トリプルS誕生の瞬間である。
追随するダッドスニーカー
ダッドスニーカーが軒並みリリースされ、選ぶ楽しみが絶えなかった2018年。ではどんな物があったのか、代表的な物から、手に届きやすい物まで様々なブランドからリリースされたダッドスニーカーを紹介。
バレンシアガ トリプルS
ブランド | トリプルS(Triple S) |
ハッシュタグ | #balenciaga #balenciagatriples #vetments #triples #バレンシアガ #バレンシアガトリプルs #スニーカー #スニーカー女子 #スニーカーコーデ #スニハ写真部 #足元倶楽部 #ジャパスニ |
愛用セレブ | ジードラゴン ジヨン、ファレルウィリアムス、ヘイリービーバー(旧姓ヘイリーボールドウィン)、ベラハディッド |
トリプルSは2017年にバレンシアガのデザイナーでありヴェトモンのオーナー兼デザイナーでもあるデムナヴァザリアとダヴィッドトゥルニエール=ボーシエル がデザインしたダッドスニーカーが新しいスニーカートレンドを生み出したはじまりの1足です。
愛用するセレブは多く彼らのコーデから流行とトレンドが始まりました。ジードラゴン、ファレルウィリアムス、ベラハディッドなどなど挙げればキリがないほどです。日本の芸能人やインフルエンサーにも愛用者が多い。
ジードラゴン ジヨン
クロムハーツの大ファンでもあるジードラゴンのジヨン。そして常に新しいファッショントレンドを取り入れるのも大好きでいち早くトリプルSをコーデに取り入れた一人がジヨンでもあります。
ファレルウィリアムス
ファレルウィリアムスは自身のデザインしたスニーカーも非常に人気ですが。トリプルSも大好きで彼のパパラッチ写真ではよく足元コーデにトリプルSを見かけます。この上の写真では奥さんのヘレンラシチャンとお揃いでトリプルSを履いてます。
ヘイリービーバー(旧姓ヘイリーボールドウィン)&ベラハディッド
イージーブースト 700
ブランド | Yeezy(イージー) |
ハッシュタグ | #yeezy #イージーブースト #イージー #kanyewest #カニエウエスト #streetstyle #sneakers #スニーカー #fashion #ファッション |
愛用セレブ | Calvin Harris (カルヴィンハリス)、ジャスティンビーバー( justin bieber ) |
イージーブーストを筆頭にスニーカーシーン独占は、それまではカニエウエストを筆頭にしたadidasだったと言っても過言ではない。ウルトラブーストにNMDのCSなど、プライムニットを採用したランニングエースのスニーカーが独占状態だったのだ。しかし、年をまたいだ2017年初頭にカニエウエストそれまでの足にフィットするものではなく、ぼってりとしたボリューミーなシューズを履いて現れたのだ。それがイージーランナーであり、のちにイージーブースト700としてリリースされた。
YEEZY 500(イージー500)
グッチ Rhyton(ライトン)
ブランド | Gucci(グッチ) Rhyton(ライトン) |
ハッシュタグ | #gucci#guccisneakers#guccishoes#rhyton#gucciss19 |
愛用セレブ | Quavo (クエヴォ)、シックスナイン( 6ix9ine ) |
このスニーカーが初お目見えしたのは、18年SSのプレシーズン。ランウェイに登場した薄汚れたボリュームーなスニーカーだった。華やかなグッチのウェアに調和をもたらすアイテムとしてRhyton(ライトン)は、多くの人に受け入られた今でも人気のあるモデルである。履く人によってかなり極端にコーデの色が変わるのもこのグッチ、Rhyton(ライトン)の特色ともいえる。シンプルなダッドスニーカーを探してる方なら一度チェックしてみても良いかもしれない。
シックスナイン( 6ix9ine )
ラッパーTekashi 6ix9ine(テカシ・シックスナイン) 。彼も愛用者の一人だ。最長で50年近く懲役かもというプライベートで色々あって大変なシックスナイン。かなりエッジのきいたファッションとカラーリングを好むため好き嫌いが極端に分かれるが見た目と裏腹に歌声は耳に入りやすくラッパー嫌いな方でも良い感じに聴けるだけに今後新しい曲が聞けなくなるのか気になるところだ。
ラフシモンズ オズウィーゴ
長年adidasとのチームアップを行なっているラフシモンズが、変わらずに出しているこのモデルもダッドスニーカーの旺盛と共に再注目されている。むしろ、2017年に始まったダッドスニーカーブームを先取り出来るとこぞってオズウィーゴを履く若者が続出したのである。
アクネ・スタディオス ロッカウェイ
グッチや、バレンシアガ施した汚れたユーズド加工に着眼しリリースされたのはアクネストゥディオズによるロッカウェイだ。グッチのリュトンの様なぼってりとミニマルな印象を与えるスニーカーとなっている。
ディオールオム D22
トリプルSのカラフルなダッド感に影響を受けているのはディオールオムのD22。分厚いソールにカラフルな色使い。しかし、シルエットはシャープでクリスヴァンアッシュの哲学が反映されている1足である。
ルイヴィトン アークライト
この前シーズンにルイヴィトンは、モードにおける話題を独占していた。ストリートの王様シュプリームとのコラボである。しかし翌シーズンも王道が期待されたが、一線を画したのである。
ダッドスニーカーの王者。ルイヴィトン アークライトです。もう見たまんまですが。ハイテクスニーカーでもありダッドスニーカーでもあり。ブーツスニーカーもあり。とバレンシアガを辞めて9億貰って10億の賠償金を請求されたというデザイン実績も含めてある意味突き抜けたデザイナーさんのニコラジェスキエールがデザインした可愛いダッドスニーカーです。
こちらは男性もサイズが合えばいけますが。女性向けとしてリリースされていますので彼女と合わせてコーデなんてことも出来ちゃいます。あとわたしだけかもしれませんが。ヒール側の後ろからアークライトを見るとドナルドダックに見えてしょうがないです。。。
ルイヴィトン アークライトのコーデ集
海外セレブ、国内芸能人からも絶大な人気を誇るルイヴィトン アークライト。コーデを一挙ご紹介!
ジェイデンスミス
ウィルスミスの息子さん。親日家で日本にも度々来日してるジェイデン。アメリカだけじゃなくて日本でも彼のお洒落に注目している人は多いんですが。まあ彼のスタイルと雰囲気とルックスだから出来るファッションっていうのも多いのであんまし真似できませんが。彼のコーデから細みのスキニーデニムや伸縮性の高いジャージぽいのが合わせやすそうですね。
ジャスティンビーバー
ジャスティンビーバー、奥さんのヘイリービーバー(旧姓ヘイリーボールドウィン)とルイヴィトン アークライトをペアで愛用してまして彼の場合あえて緩めのジャージで合わせたストリートファッションに。
インスタグラム アークライト
ハーフパンツやショートパンツは好みが分かれるところですが。デニムや黒のボトムなど細身のパンツを合わせている方が日本ではかなり多いですね。やはり皆さん、カラーも春を意識されているようでいいですね~。
WEAR アークライト
[img url = “https://wear.jp/takecan/13002965/”]
[img url = “https://wear.jp/daiwa301/12895364/”]
[img url = “https://wear.jp/ronnu/13371942/”]
ダッドスニーカーのブームとは違い独自の路線を貫いたのだ。中でも注目を集めたのがレディースのみで展開されたルイヴィトン アークライトはダッドスニーカーとは一線を画すプレミアムな物として輝いていた。
バレンシアガ トラック
トリプルSの発表から1年。新たにデムナが仕掛けたモデルは、さらに複雑な構造をしているスニーカー、トラックを発表した。
ナイキ エアモナーク
ダッドスニーカーとしてお父さんが履く様なモデルが旺盛した2018年。ストリートでは、元祖ダッドスニーカーというべきモデル、モナークが脚光を浴びた。
フィラ ディスラプター2
トリプルSに手が出ない若者たちが、いち早く注目したのがフィラのディスラプター2だ。グッチのリュトンの様なデザインに、ボリューム感のあるシルエット。トレンドど真ん中にあったのだ。トリプルSよりも安いと、個人輸入する若者も多く見られた。
ヴェルサーチ チェインリアクション
市場が落ち着きをみせようとしていた18年秋冬に投下されたのはヴェルサーチによるチェーンリアクションだ。このスニーカーは一見するとただの流行りに乗っただけのスニーカーに見える。しかし、細部にこだわるヴェルサーチの哲学によりチェーンの形をしたソールのデザインがファッショニスタたちに一目置かれているスニーカーだ。
メゾンマルジェラ フュージョン
最早、ダッドスニーカーと括るにはいささか不可解なデザインでダッドスニーカーというよりもアグリースニーカーだろう、これもそのダッドスニーカーの流れの中で進化を遂げたデザインと呼べるだろう。デムナから端を発した幾重にも重なるデザインの進化のいく末を垣間見せるスニーカーだ。
ダッドスニーカーに魅せられたセレブたち
ダッドスニーカーを履くセレブたちである。トレンドを取り入れアイデンティティを表現している様が非常に時代に合わせてアイコニックになっている。
ダッドスニーカーのその先
2018年はこれでもかと言うほどに見たダッドスニーカー。しかし、そろそろこの波も変わりつつあろうとする2019年。しかし再び革新的な提案が現れるまでは、まだこの波に乗り続けるのが定石である。そんな中、変化を見せる新たな波を魅せるブランドに注目する。
台頭するネクストトレンド
ダッドスニーカーと並行する様にストリートではナイキが横綱となった側面もあるスニーカー市場。その波を受けて、ビッグメゾンはストリートの流れを取り入れる。ルイヴィトンのデザイナーに就任したヴァージル・アブローはナイキとタッグを組み正に、アディダスからナイキへと話題を引き戻した張本人である。
キーワードはチャンキー
コンバースとタッグを組みチャンキーなソールを合わせたJ.Wアンダーソンのスニーカー。パームエンジェルズやアムブッシュにも見られるシンプルで未来的なデザインにチャンキーソールを合わせている。
ダッドスニーカーまとめ
2018年にピークに達していたこのダッドスニーカーの波はどこまで続くのであろう。まだまだ、さざ波にすらならずに勢いを保っているダッドスニーカー。しかし、ヴァージル・アブローのルイヴィトンなど、トレンドに捉われずに独自の路線を貫いてるブランドもいる。果たして次なる波はどこから生まれるのか?次のコレクションを波打つ鼓動と共に待つとしよう。