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【完全保存版】オールデン(Alden)全モデルリスト ローファー・ブーツ #ローファー大図鑑 Vol.3

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オールデン(Alden)の歴史について、前回の記事でタッセルローファーの誕生秘話からご紹介致しました。今回は、そんなオールデン(Alden)全モデルリストをご紹介させて頂きます。

オールデンの王道 ”プレーントゥシューズ”

ALDEN (オールデン) 990

このオールデン990は、 オールデン(Alden) のモデルの中でも”王道”とも言える代表的なプレーントゥのモデルです。アッパー部分にはホーウィン社製トップグレードの”シェルコードバン”を贅沢に使用しています。飾り気のないシンプルなプレーントゥが、シェルコードバンの美しさをより一層強く引き立てている様にも見えます。

オールデン(Alden)プレーントゥモデルには、上質なカーフレザーを使用したモデルも存在しますが、王道とも言えるこのモデルの人気は現在でも根強いです。ですが今後990は9900というモデルに取って代わるようです。9900は最高級のシェルコードバンではなく通常のコードバンですが、その特有の美しさは健在です。

今後オールデン(Alden)990は市場に出回る事が少なくなる為、もし入手の機会があれば是非購入を検討して欲しいところです。

シーンを選ばない万能選手 ”キャップトゥシューズ

Alden (オールデン) 558

オールデン(Alden) のキャップトゥでも人気のある558は、傑作ラスト(木型)と呼ばれる”モディファイドラスト”で作られたシューズです。このモデルはホーウィン社のコードバンが使われている訳ではありませんが、アッパーには最高品質の上質なカーフレザーを用いており、普段使いにも十分耐え得る堅牢さと歩きやすさを兼ね備えています。

オールデン(Alden) の各モデルは基本的に”グッドイヤーウェルテッド製法”で作られている為、ソールが摩耗してくればアッパーが限界を迎えない限りは、何度でも修理を重ねて履き続ける事ができます。このモデルも例外ではなく、歩きやすさを重視した”レザーソール”、雨でも滑りにくい”ラバーソール”、耐摩耗性に優れた”コマンドソール”等のソールに交換する事も可能です。

また、キャップトゥデザインである事からビジネスにもカジュアルに合わせやすく、コーディネート次第ではその時の表情に合わせる事ができる万能なモデルです。そしてコードバンを使用していない事からメンテナンスの行いやすさも含めると、 オールデン(Alden) の各モデルの中でも比較的コストパフォーマンスに優れた一足であるため、始めて オールデン(Alden) を購入するという方にもおすすめできる一足かもしれません。

アメトラの歴史を体現 ”ローファーシューズ”

Alden (オールデン) 563

オールデン(Alden)タッセルローファーは”インディーブーツ“と並び、シューメーカー業界でも一つの歴史を築き上げたと言っても過言ではない存在とされています。『RALPH LAUREN(ラルフローレン)』や『BROOKS BROTHERS(ブルックス・ブラザーズ)』、『THOM BROWNE (トム ブラウン)』といったアメリカントラディショナルを代表するブランドからも長年にわたり別注モデルが販売される等、 オールデン(Alden) の中でも非常に歴史のある定番モデルです。

この563モデルはレザーソールを採用している為、革靴としては歩きやすく通気性も良いという利点があります。タッセルローファーのアイコンでもあるタッセル(装飾)は、ラフなスタイルを演出する上では欠かせない存在です。
夏場のコーディネートでは間違いなく主役になれるでしょう。ローファー特有の脱ぎ履きのしやすさも、ヘビロテアイテムになり得るポイントの一つです。

パーティーでも活躍 ”ウイングチップシューズ”

Alden(オールデン) 125th anniversary model (58874)

ウィングチップは紳士靴の中でもトラディショナルスタイルの定番革靴として、世界的にもメジャーな種類です。ウィングチップで最も有名な紳士靴メーカーはイギリス・ノーザンプトンにあり、”ロイヤルワラント(王室御用達)”を認定されている『Tricker’s(トリッカーズ)』でしょうか。

このAlden 125th anniversary model(58874)は2009年にリリースされた、 オールデン(Alden) 125周年限定のダークブラウンカラーなウイングチップです。Tricker’sに負けじとこちらも オールデン(Alden) が得意とするホーウィン社のコードバンにモディファイドラストを使用したシューズです。華やかな印象の為日本ではビジネス用途に向きませんが、パーティーやイベント等の催物では強い味方になる事は間違いありません。

このモデルで使用されているダークブラウンのコードバンは、エイジングの経年変化によってイタリアの熟練靴職人や、同国の高級ファッションブランド『Berluti(ベルルッティ)』が得意としている”パティーヌ染め”にも似た、奥深い風合いを出す事が出来るのが魅力でしょう。

どこかクラシックな顔立ち ”Uチップシューズ”

Alden (オールデン) D7604

Uチップシューズは名称通り、靴のつま先がU字型に縫われているのが特徴です。これは”モカシン縫い”と呼び、革靴の製法に由来した”モカシン”という呼び名でUチップの靴の事を呼ぶ場合もあります。大きな意味ではコインローファータッセルローファー等もこのモカシンという呼び名の括りで分けられますが、ここではローファー等のスリッポンタイプではないU字型の短靴を指します。

D7604は”バリーラスト”を使用しており、靴の履き口部分で足をホールドするといった特徴を持ちます。その為、内部に少しゆとりがあるおかげで革靴特有の窮屈感は少ないでしょう。このモデルは、 オールデン(Alden)コードバンでは珍しい暗めのバーガンディカラーです。また、モカシン縫いが強いカジュアル感を演出するのに一役買っています。

程良いクラシック感がデニムとの相性も良く、幅広いコーディネートが可能です。珍しいカラーを求めて渡米する人や、個人輸入をしてでも入手する オールデン(Alden) のファン達も見逃せない一足です。

Uチップよりもドレス顔 ”Vチップシューズ”

Alden (オールデン) 54321

Vチップは甲の切り替えにV字形の革片を使った物です。ビジネスで比較的使用しやすいドレッシーなデザインと、各メーカー同士でのVチップ商品の多さ故にビジネスマン達にも人気の高いデザインです。人間の歩行をサポートするかのように、体重移動に合わせやすくした設計の為V字形になったとされています。

54321はVチップ特有のフォルムの細さと オールデン(Alden) のモディファイドラストを合わせる事で非常に快適な歩きやすさを実現したモデルです。歩き回るビジネスマンがこの靴を普段使いするだけで、履き皺が人生の勲章とも言える程に渋い表情を覗かせてくれるでしょう。

長く履き続け、修理を繰り返してきた オールデン(Alden) はまさに”相棒”です。54321はそんなロマン主義に寄りってくれるシューズです。

素材間の切替がモダン ”サドルシューズ”

Alden (オールデン) D6609

via masutakam

サドルシューズはアッパー部分とトゥの部分で素材が切り替わっています。他のメーカーから販売している物では、トゥに一般的なカーフレザー、アッパー部分にスウェードレザーを使用したりと、非常に個性的な印象を受ける事でしょう。同じ素材でもカラーのみを変えたりとする事も多いです。

via fukukei1635

カジュアル靴としての個性が強い物が見られる中、素材の切り替え部分に”パーフォレーション(帯状の穴飾り)”を施した少しドレス寄りの物もあります。画像のD6609は オールデン(Alden) でも一際ドレス寄りの”アバディーンラスト”が使用されています。アバディーンラストはサイズ選びが少し難しく、ややタイトな作りなので最初はとても窮屈な履き心地です。

しかし履きならした時のフィット感はまさに履きなれた運動靴のようにも感じる事ができます。D6609は明るめなブラウンカラーのカーフレザーと、バーガンディカラーのコードバンの組み合わせと中々遊びの効いたモダンなモデルです。ひと味違う オールデン(Alden) が欲しい人には打って付けです。

さり気ない大人の色気を演出 ”モンクストラップシューズ”

Alden (オールデン) 954

モンクストラップはバックル付きストラップで甲をホールドするタイプの短靴です。この靴にはストラップ一本で固定する”シングルモンク”と二本で固定する”ダブルモンク”の二種類があります。何処か色気すら感じさせる見た目は、日本国内のビジネスシーンの着用にはギリギリ問題ないそうです。また、サドルシューズと並んで革靴の中では個性的デザインです。

靴ひもではなくストラップで固定する為、機能的で”脱ぐ・履く”という一連の動作が快適なのはとても嬉しいポイントです。そしてこの954モデルは真鍮製ゴールドカラーのストラップバックルと、バーガンディのコードバンが上手く調和してイタリア製の靴にも負けない色気と上品さを兼ね備えています。このモデルの美しさに惚れた オールデン(Alden) ファンも多く、取扱店舗では完売と入荷未定が続いている状態です。

気取らないカジュアル感 ”チャッカブーツ”

Alden (オールデン) 1352

via zenbutsu.com

チャッカブーツは革靴としては最も親しみやすさのあるモデルです。特徴的なのは”アイレット(靴ひもを通す穴)”の数が少なく、靴の作りがとても単純な事です。また、似た靴としてはデザートブーツジョージブーツと言った物もあります。市場で頻繁に見かけるデザインはスウェードレザーの物でしょう。

爪先革と腰革の2パターンで靴を構成しているので、工場での量産もしやすくてリーズナブルな価格帯で販売されている事も多いです。1352モデルは”バリーラスト”に”ウィスキーコードバン”を使用した最高の組合せを持つ名作です。
ウィスキーコードバンはコードバンを使うモデルの オールデン(Alden) でも飛びぬけて希少なカラーです。

エイジングでの経年変化が美しいと言われるコードバンでも最も美しいと言われており、セレクトショップで別注モデルが販売されるものなら即座に完売してしまう程、入手をするのが難しいモデルです。

画像では明るめのブラウンですが、コードバン特有の光沢からエイジングを重ねる毎に、ウィスキーの様な風合いになる為、ウィスキーコードバンと呼ばれています。ウィスキーコードバンは製造難易度の高さと取扱う店舗の少なさから、2015年頃には供給に制限がかかりました。購入を検討するならば、日本国内で購入するよりはアメリカから個人輸入をするのが良いと思われます。

英国貴族の狩りが原点 ”ウイングチップブーツ”

Alden (オールデン) D5801HC

via zenbutsu.com

ウイングチップのブーツは堅牢で、革表面にワックスをかける事で耐水性にも優れる特徴があります。このモデルはスコットランドなどに住んでいたケルト民族の労働靴が19世紀頃にイギリス貴族の手にわたり、貴族達がその使いやすさから狩り等に使用した事が原点と言われています。

つま先の華やかなメダリオン装飾は、英国貴族のイメージを彷彿とさせるだけではありません。実は降雨時などに革に含んだ水分などのはけを良くするといった効果もあります。ウイングチップと言えば特にイギリスのイメージが強いですが、このD5801HCも英国らしいトラディショナルな空気感を オールデン(Alden) なりに解釈した物であるとも言えます。

オールデン(Alden) が作るブーツ達の中でも特に、デザイン性の高さと上品さが目立つウイングチップブーツは、世界的に見ても限られた実力のあるセレクトショップにしか卸されないと言われています。そしてD5801HCはレアカラーと呼ばれるウィスキーコードバンです。 オールデン(Alden) が持つ産業革命時代のアメリカントラディショナルな世界観を、余すことなく一足のブーツに注ぎ込んでいます。 オールデン(Alden) ファンの中でも語り草となるモデルです。

美しすぎるワークブーツ ”キャップトゥブーツ”

Alden (オールデン) D7823H

via alden-catalog.xyz

労働者の為のワークブーツと言えばキャップトゥブーツが有名です。画像ではつま先に横二本のステッチが入っています。キャップトゥブーツは靴の中でも最も傷付きやすい、つま先部分に一枚の革を被せて耐久性を高めているのです。労働者向けに作られたブーツには鋼芯等が入っており、安全靴としての機能が非常に高いです。

また、バイカー等が履くエンジニアブーツもキャップトゥのモデルが存在しますが、このD7823Hはどちらかと言えば労働者向けのブーツに近い物でしょう。D7823Hは木型に”ミリタリーラスト”を使用しています。ワークブーツブランドの『REDWING(レッドウィング)』の定番ベックマンの無骨さとは違い、紳士靴らしいシルエットの美しさに定評があります。

そして、このラストは第2次大戦時の際に開発されアメリカ軍兵士や将校に支給する為の軍靴を作るラストでした。おまけに1980年代以降は オールデン(Alden) の倉庫に眠ったままだった事がありました。今では日本国内で数多くの オールデン(Alden) を広く取扱うセレクトショップ、『LAKOTAHOUSE(ラコタハウス)』が オールデン(Alden) と取り引きを始めるまで、ミリタリーラストを使用した靴は販売されていなかったのは有名な話です。

1994年頃に入ると『LAKOTAHOUS(ラコタハウス)』の強い要望で”日本限定”の復活を遂げました。その為、アメリカ本土では基本的に取り扱いがありません。このD7823Hに限らずミリタリーラストを使用した靴は、日本と オールデン(Alden) との関係を象徴する靴とも言えるでしょう。

マニア垂涎物 ”ジャンパーブーツ”

Alden (オールデン) D8840HC

仮にジャンパーブーツというジャンルがあるとすれば『White’s Boots(ホワイツブーツ)』の”スモークジャンパー”などが世間ではメジャーなところでしょう。また、同社のスモークジャンパーはアメリカの森林火災等の消化任務に携わる消防隊達がヘリから降下する際に履いているワークブーツから名前が取られています。

オールデン(Alden)ジャンパーブーツの起源は諸説があり判断が難しいのですが、筆者の憶測ではかつて米軍用のミリタリーラストを作っている事から、米空軍や空挺兵等の降下部隊が使用していたブーツにに由来しているのではないかと考えています。

また オールデン(Alden)ジャンパーブーツで共通しているのは、キャップトゥにパーフォレーションが施されているという事です。通常のキャップトゥブーツとの違いでもあるので、見分けるポイントの一つと言っても良いのではないでしょうか。

D8840HCはウィングチップブーツよりもシンプルなモデルですが、控え目なパーフォレーションがさり気ないオシャレのポイントとして、比較的手に取りやすいモデルでもあります。

約40年ぶりの新作 ”ミシガンブーツ”

Alden(オールデン) 3560

ミシガンブーツオールデン(Alden) でも約40年ぶりの新作にあたるモデルです。フロントのモカシン部分がとてもアメリカのクラシックらしさを表現しています。3560はローファーでも使用される事が多い”バンラスト”を使用したブーツです。
このモデルは オールデン(Alden) では初採用となる”UTICA(ユティカ)”というホーウィン社製の革を使用していました。

この革は馴染みがとても良く、革の硬い履き口が苦手な人でも抵抗なく履く事ができる様な代物でした。しかし、ホーウィン社は現在UTICAの生産を終了してしまった為、今後このレザーをアッパーに使ったミシガンブーツは入手が困難になります。3560ミシガンブーツオールデン(Alden) の新作でありながら、幻でもあるという不思議なモデルになってしまいました。

オールデンの伝説 ”タンカーブーツ”

Alden(オールデン) 40219HC

タンカーブーツオールデン(Alden) の中でも不動の人気を誇るブーツです。ファッション雑誌でブーツの内容が取り上げられていると、ほぼタンカーブーツが紹介されていると言っても過言ではないです。実はこのタンカーブーツ、1994年頃に『LAKOTAHOUS(ラコタハウス)』側の要望で「アメリカ本国らしい靴を作りたい」という想いからスタートした企画から誕生した物なのです。

その為、ミリタリーラストを用いた靴と同様に日本との関係性が見られる一足です。40219HCの特徴としては定番のブラックコードバンと、Vチップらしからぬ繊細なU字カーブの入ったフロントで”男らしさ”をスタイリッシュに表現した風貌です。タンカーブーツはブラックコードバン以外にもカラーがありますが、 オールデン(Alden) ファンの中でもやはり”タンカーブーツと言えばブラック”と語られる程にはブラックが定番です。

柔らかい歩きやすさが強みのクレープソールが多いモデルですが、このモデルはコマンドソールです。上品さとミリタリー感の両立をしたこのモデルは、”デキる男”を演出する上で一役買ってくれるでしょう。

冒険家の名前を冠する ”インディブーツ”

Alden(オールデン) 40565H

オールデン(Alden) でもローファーと並んで、インディーブーツオールデン(Alden) の歴史の一つと言われています。このブーツは『映画 Indiana Jones(インディ・ジョーンズ) 』シリーズでハリウッド俳優のハリソン・フォード氏が劇中で履いていた事で名前が付けられたそうです。

また、1981年から2008年に渡って オールデン(Alden) がアメリカ本国以外での販売を許可しなかった為、日本では購入する事が出来ませんでした。そして2011年頃からインディーブーツの海外展開を オールデン(Alden) が許可した事で国内でも入手が可能となりました。40565Hはホーウィン社が オールデン(Alden) に卸すコードバンの中でも一際希少な”カラー4”と呼ばれるコードバンを贅沢に使用しています。

既にエイジングを重ねたかのような色合いは、これからブーツを履いてく上でどの様な経年変化を見せてくれるのか楽しみにすらなります。特徴としてはモカシン縫いの美しくも独自なカーブと、二列に並んだ”ステッチ(刺繡の針目)”が上段と下段でキッチリと揃っているのが魅力です。

そして最も摩耗が激しい”カウンターライニング(履き口)”にバーガンディカラーのレザー補強が入っており、靴職人のいつまでも履いて欲しいという強い思いが垣間見えます。工芸品とも言える様な完成度の高いブーツです。

オールデンのモデルは15種類

これまで紹介してきた オールデン(Alden) の全モデルは15種類です。その全てがどれも名作と言われ、 オールデン(Alden) のモノ作りに一切の妥協はありません。始めての オールデン(Alden) は買う人自身の直感で決めるのも一興です。出会いと別れを繰り返し、いつか最高の一足と出会える事が出来たなら、その一足こそが唯一無二の相棒と言えるでしょう。

『革靴を長持ちさせる手入れ・メンテナンス11の方法』 #革靴お手入れ大全集 Vol.3

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”#革靴を長持ちさせるお手入れ11の方法”

  • 気に入った革靴は長く履きたい。

その思い、正しい革靴の手入れ方法とメンテナンスの知識があれば可能になります。綺麗で快適な革靴とのライフスタイルには、手入れメンテナンスは必須。

革靴の間違った履き方や扱い方で、知らず知らずの内に寿命を縮めているのです。長く、良い状態で使用する為に必要な手入れメンテナンス、心がけは単純であり、奥が深いのです。

そして、すぐに実践できる事が沢山あります。今回は、愛用革靴と長く付き合う為の11の方法をご紹介します。

その1、オーバーサイズは買ってはいけない

まずは、必ず店頭で行うひとコマ「サイズ選択」。サイズ選びは大事な作業です。逆に言うと、サイズ選びを失敗したら快適な革靴との付き合いは待っていないと思って下さい。

革靴サイズ選びは正直、少し面倒に感じます。木型がそもそも合っていなく、足と革靴の形が合わない。スリムな革靴が欲しいけど横幅がきつい。等、自分の足やブランドの悩みは様々です。

買い物に向かう前に、自分の足に合いそうなメーカーやブランドを下調べしておく事と、自分の足を知っておく事はマストなのです。 そして、ありがちな失敗があります。サイズに悩んだ時に「オーバーサイズ」を選んでしまう事。オーバーサイズは選んではいけないのです。

オーバーサイズとは、大き目のサイズの事。革靴にゆとり感は好ましくありません。では、その理由を紐解いていきましょう。

革靴のサイジングは”楽ちん”を選ばない

革靴の手入れメンテナンスでも、修復が不可能なのが深いシワ革靴を綺麗な状態で長く愛用したいのであれば、「楽だから」という理由でオーバーサイズの革靴を選ばないで下さい。

革靴がきついと、痛いし窮屈なので買いませんよね。そしてジャストフィットより、多少大きめの方が最初から楽ですよね。その選択が、失敗です。

オーバーサイズの革靴は、ジャストサイズの革靴と違って甲部分に沢山シワが出てしまいます。沢山シワが出てしまうと、履き心地も見た目も早い段階で悪くなり、「買い替えよう」となってしまいます。

失敗は革靴に深く刻まれる

オーバーサイズを選択すると、長持ちしない理由は何か。 足に対してのゆとり、つまり革靴内側の余白部分が多いと、深いシワが入ります。 足に対して大きめの革靴を履いていると、足が靴の中で動き遊んでしまいます。

足が靴の中で遊ぶと、革靴のシワが入る位置が都度変わってしまうのです。 歩く時やしゃがむ時の革靴の曲がる度合いが、余りがある為に毎回変わります。そして沢山シワが出来てしまうのです。

結果的に、残念な革靴を自分で作ってしまうのです。見た目も美しくないですし、長持ちはさせられません。

サイズ選びは慎重に

革靴サイズ選びは少し面倒な部分もありますが、しっかりと見極めて妥協をぜず革靴を購入しましょう。 サイズ選びのポイントを、少しご紹介します。

『サイズ選びのポイント その1』浮腫み

まず、足がむくむ時間帯を知る事が大事です。女性に比べ男性は、浮腫みを気にする事は少ないと思います。 具体的には、日中歩いたり立ったりする機会が多いと足に血流が溜まり、夕方にむくみやすいと言われています。

他にも、前日の夕食メニューの塩分で、朝むくんだりもします。足に汗をかきやすい体質の方だと、昼には足がふくれている感覚になります。 一言でむくむ時間と言っても、ひとそれぞれではあるのです。自分のライフスタイルや足の状態を少し気にしてみて下さい。

仕事で革靴を使うのであれば、仕事終わりにショップへ向かうのも良いかと思います。

『サイズ選びのポイント その2』 靴下に注意

革靴を履くシーンで、どのような靴下を履くのか考えておきましょう。 薄手のものから厚手のもの、ドレスシーンやカジュアルシーン等ひと口で靴下と言っても、レパートリーは様々です。

店頭で革靴を試す時、ちゃんと革靴を履くシーンに合った靴下で試していますか。 靴下次第では革靴のサイズ感が変わってしまい、ぶかぶかなんて事になりかねません。 買う段階で失敗してしまうのは、とてももったいない事です。 休日に革靴を買いに行く場合には注意が必要ですね。

『サイズ選びのポイント その3』 革靴は馴染む素材という認識

革靴は履くごとに柔らかくなり、足に馴染んできます。 最初はジャストサイズでぴったりでも、どんどん自分の足に合った形になり馴染んでいくのです。 最初から革靴が自分の足より大きめのサイズだと、おかしな伸び方をして変な形の革靴になってしまいます。

女性のヒール靴だと、重心が前へ前へと下がり、浮腫みもダイレクトに伝わります。その為ジャストサイズでも、サイズの変動が時間と共に大きかったりします。 男性の革靴の場合はその心配も無いので、安心して革靴を馴染ませられます。

最初から足に対して大きいサイズだと、すぐに履きごこちは悪くなります。 オーバーサイズの革靴を選択する事は、足にも見た目にも失敗なのです。

その2、革靴のお手入れの基本『ブラッシング』

以前の記事に記載したように、ブラッシングを制す者は革靴のお手入れを制します。 革靴は生きたレザー素材なので、しっかりメンテナンスをしてベストな状態を保つ事が長持ちさせるために重要になってきます。

汚れたらブラッシングをするのではなく、良い状態を維持するために出来るだけ短時間でも良いので毎日のブラッシングを心掛ける事がブラッシングの軸になります。

汚れを落とす+整える

革靴のブラッシングでしっかりほこりやゴミを落とすと同時に、マッサージ効果で革靴本来の油分と水分を整え、コンディションを良くします。 そしてほこりやゴミの汚れの膜を落とし、摩擦熱をかける事で綺麗な発色と艶を取り戻します。 ブラッシングでほこりを落とす事でカビを予防し、ゴミを落とす事で乾燥を防ぎひび割れをしないように整えます。

では、もしカビが生えてしまったらどうすればよいのでしょうか?

もしカビが生えてしまったら

湿気を含んだまま保管したり、風通しが悪かったり、ほこりが蓄積されていたり、原因は様々です。ただ、この原因もしっかりと手入れメンテナンスをしていれば、防ぐ事が出来ます。 カビが生えている状態の革靴は、革繊維の内部までカビが入り込んでしまっているので完全に除去する事は不可能と言えます。

特に表面に色素を出すタイプのカビだと、手入れをしてもカビの根は残ったままです。 買い替えをするか、専門の業者に依頼をしクリーニングをオーダーするしか手はないのです。クリーニングでも根絶は困難の為、カビを生やさないように予防するのが一番と言えます。

その3、雨の日の革靴ケアと手入れの大事さ

カビや湿気と聞くと、生活をしていて一番身近で思い当たるのは「雨」。

雨は革靴の天敵。雨の日には革靴を履かないという選択が一番手軽な方法です。 ただ、雨の日に「革靴を履かない」という選択は難しいというビジネスマンは多いのではないでしょうか。ゴアテックスなど、雨に強い革靴も市販されているので、そちらも検討してみてはいかがでしょう。

そして、雨に濡れた革靴は、いかにスピーディにお手入れをするのかが重要になります。 雨の日でも、お手入れで型崩れやシミから愛用革靴を守りましょう。 まずは、雨の日に起こるトラブルをご紹介します。トラブルを知っておけば、手入れの対応も素早く出来るのです。

雨の日の革靴トラブル1:塩ふき

雨の日に革靴を履いた後、甲革の表面に「白いシミ模様」が出てくる事があります。 この白いシミの正体とは何か。 もともと革靴の中にある塩分や油分と、履いた足の汗成分等が雨によって表面に浮き出て来たものです。 根付いてしまったこのシミを完全に取り去る事は非常に難しいのです。

シミを出さない為にも、日にちを跨がずにスピーディに水染み後のアフターケアを行う事が大事なのです。

雨の日の革靴 トラブル2:靴の中の水濡れ

雨や雪の日に革靴を着用すると、革素材の生地表面には水が染みます。また、表面だけではなく革の内部に水が浸透する事もあります。 そして縫い目や底の部分、履き口からも水が浸入する事があるのです。 雨水の浸入を防ぐ為にも防水スプレーを使用する等、日頃のメンテナンスも大切になってきます。

そして、雨の日や雪の日は、その状況に合った革靴を選ぶ事が大事です。 ゴアテックスで水に強い靴や、靴底の仕様が頑丈になった冬用革靴、革靴の素材を知りアフターケアをしやすいものを選択するなど、事前の対策をしていると手入れも楽になってきます。

雨の日の革靴 トラブル3:色落ち

革靴に使用している革素材は、その性質上色落ちします。 色落ちの原因は主に「水分・湿気・発汗・摩耗」になります。 濃い色の革素材の場合は特に、足や靴下に素材の色が移ってしまう事があります。 淡い色の靴下やスラックス等のパンツの着用や、雨の日の使用には注意が必要です。

革靴の色落ちが治まるまでは、濃い色の靴下や衣服の着用をおすすめします。 淡い色の衣服だと、雨等の水しぶきの跳ね返りも目立ちます。 雨の日は濃い色が必須だと記憶しておけば心配も少ないです。

靴底のすべり

雨や雪の日の路面はとてもすべりやすくなっています。 タイル・マンホール・大理石・鉄板・階段などは特に注意が必要。怪我が多い場所です。 革底が摩耗していると、よりすべりやすくなります。 革靴の底の擦り減りは雨など関係なく、革靴にとって蓄積された大きなダメージになります。

靴底の減りが気になったら、修理に早めに出す事で様々なトラブルの回避が可能です。 そして革素材の靴底は、ゴム底や合成底と比較してすべりやすいので注意して下さい。

雨に濡れた革靴の手入れ方法

では、雨に濡れてしまった革靴の手入れ方法をご紹介します。 大事なことは、いかに濡れている時間を短くするかという事です。 ただし、濡れている革靴を早く乾かしたいがゆえにドライヤーを使うなんていう事は絶対に避けてください。テキストで見ても分かり辛いという方は、こちらの『靴磨き芸人 奥野さん』の革靴が雨に濡れたら見る動画をご覧ください!

1:まず、雨や汚れを乾いた布で拭き取る

その後に新聞紙や、シュードライ(乾燥・抗菌・脱臭効果のある靴の詰め物)を靴の中に入れて水分を吸収させます。新聞紙を使用する際は、新聞紙をティッシュでくるんでから入れます。随時新しいものと入れ替えて下さい。

2:型崩れに気を付けながら日陰で乾かす

革靴の水分がなくなってきたら、木製シューツリーなど革靴の型崩れを防ぐアイテムを靴に入れて、風通しのよい日陰で乾かします。 直射日光やドライヤー等で急激に乾かすと、革が硬くなったり、ひび割れを起こしたりするので急いでいても絶対にしないで下さい。

3:ブラッシング

ブラッシングで汚れやゴミを綺麗にします。この時コバなどの細かい部分も忘れずにしっかりと全体をブラッシングします。 この時に白いシミ(塩ふき)が出ていたら、それは革に含まれる塩分が表面にしみ出たものなのできちんと拭き取るようにして下さい。

革底のブラッシングは、ブラシやヘラで汚れを丁寧に落として下さい。ごく少量のミンクオイル(レザーソールの為のクリーム。栄養を与え劣化を防ぐ効果あり)などで油分を補給できれば尚良いです。 特に出し縫いの糸の部分は念入りにケアしましょう。

革靴のお手入れの基本である『ブラッシング』についてかなり詳しくご紹介してます!

4:クリームでメンテナンス

栄養を与えるクリームを柔らかな布で革靴全体にムラなく塗り、磨きます。 濡れて大きなダメージを受けた革に栄養と光沢を与え、ひび割れを防ぎます。 クリームは、無色のものが使いまわしがしやすいので便利です。カラークリームの場合は甲革に出来るだけ近い色のものを選ぶようにしましょう。

5:撥水スプレーで予防

薄いカラーや茶系の革靴は一度雨に濡れてしまうとシミが出来やすく、シミが出来ると元の色に戻すのは困難です。出来るだけ雨の日には履くのを避けるのが理想です。 革靴を履く場合には、前もってウォータープルーフスプレーをかけるよう心がけましょう。

防水、撥水スプレーは、革靴のダメージを最小限に抑えられます。 雨の日の手入れケアは、とても重要なメンテナンスになります。 革靴を長く愛用する為にも、是非実践してみて下さい。

撥水スプレーの効果

雨の日のメンテナンスで出て来たウォータープルーフ(撥水)スプレー。 こちらは雨の日だけに吹きかけるのではなく、革靴を長持ちさせる為にも継続してスプレーする事をおすすめします。 なぜなら撥水スプレーは、雨や水を防ぐだけではなく、汚れや傷の防止にもなるのです。

その点でも、スプレーをすれば革靴が長持ちする理由になります。 撥水スプレーは、フッ素入りのものを選びましょう。

防水・撥水スプレーの基礎知識

防水スプレーや撥水スプレーは薬品である為、革靴にとって悪い存在で、革を痛ませてしまうのではないかと感じると思います。 ただそれはひと昔前の話です。今は成分開発も進み、革靴に悪いという事はなくむしろ良い効果を得るのです。率先してスプレーしていきましょう。 ちなみに、防水と撥水の違いはこう。

防水:繊維全体をコーティングし、全く水を通さない事。

撥水:繊維の目をふさがずに水を玉状に弾く事。

市販の防水スプレーは効果としては撥水になります。 撥水スプレーで有名かつロングセラーなのはアメダス。各シューズメーカーや市販品も数多くあります。そして、その中でも撥水スプレーは2分類に分かれるのです。

防水・撥水スプレーの種類

シリコン系

表面に皮膜を作り、繊維の隙間を埋める事で水が染みるのを防ぎます。 しっかりと水を防ぐ事と、スプレー後すぐに効果が発揮される事がメリットです。 一方で、油が染み込みやすかったり、持続時間が短め。空気を通しにくく蒸れたり、革が劣化しやすいとデメリットも多いです。

革が痛んでくると、表面がぼそぼそになったり、ひび割れしたりと問題が発生します。 革は生きた素材なので、吸湿と放湿などの呼吸を止めてしまうと負担がかかってしまうのです。 なので、次に紹介するフッ素系。こちらの通気性を保つ事が出来るタイプを使用する事がおすすめです。

フッ素系

水より細かいフッ素樹脂が繊維に浸透し、水を防ぎます。 通気性があり革が痛みにくいので、安心して天然皮革製品に使用できます。 有名どころのアメダスなどの商品は、スプレー出来る生地も多様な種類に対応していて、靴に限らず鞄や服にも使用出来きます。

そしてアメダスは、ブートブラックを産んだ日本のメーカー、コロンブスの製品。心強い存在です。

スプレーの使い方

新しい革靴を購入したら、まずは撥水スプレーをかけましょう。 撥水スプレーを吹きかける事は、新しく買った革靴に対して一番最初にする作業です。 スプレーを吹きかける事で、雨や水から革靴を守るだけではなく、そのあとついた汚れなども落ちやすくなります。更に色の持ちもよくなる効果もあるのです。

履いた革靴にスプレーをする時は、まずブラッシングで汚れを落とす事からはじめましょう。しっかりとほこりやゴミをブラッシングで払い落とし、撥水スプレーがしっかりと全体に浸透するように、革靴を整えてあげて下さい。

下準備が出来たら、30㎝ほど離した場所からスプレーします。全体に満遍なく2~3秒程かけましょう。かけ過ぎるとシミの原因になりますのでご注意を。 スプレーは人体に良いものではないので、屋外や換気の効いた場所で行う方が安心です。

1度でうまくスプレーが出来なかった場合は、1度目が乾いてから2度目をスプレーしましょう。1度に多くスプレーをかけ過ぎると、色落ちやシミの原因になるので気を付けてください。 感覚的には、表面が少し湿る程度が丁度良いです。 頻度は最低で週に一度程。毎日スプレーをする事をおすすめします。

そして雨の日と濡れた日にもスプレーでしっかり手入れをしましょう。 汚れをしっかり落とし、乾かしてからスプレーをします。 フッ素系の撥水スプレーは、回数を重ねるごとに革にしっかり浸透し、効果が高まってきます。是非、スプレーも継続してみてください。革靴を長持ちさせる効果が期待できます。

YouTube(ユーチューブ)で見る 革靴の撥水スプレー動画

その4、革靴の正しい保管方法

革靴は、正しく保管する事が大切です。保管方法を誤ってしまうと、様々なトラブルの原因になります。靴磨きをして、革靴のお手入れが完璧でも正しいベストな保管方法ができていなければ大事な革靴を長持ちさせることが出来ませんので要注意です。

革靴の保管トラブル

革靴の保管を間違えた時に起こってしまうトラブルは、「カビ・型崩れ・革の劣化」などがあります。 カビは、湿気や汚れ、高温で風通しが悪い環境を好みます。 次に革靴が型崩れをする原因は、革が形状を記憶する性質にあります。ゆがんだままケアをしないで放置しておくと、そのゆがんだ形状を保ってしまうのです。

そして、汚れや水気をそのままにした状態で革靴を保管すると、革がみるみる劣化します。 カビが生え、色落ちしひび割れた上にくたびれてしまった革靴は、見たくはないですよね。 そうならない為の、革靴を長持ちさせる保管方法を是非、すぐにでも実践して下さい。

ジャケットにハンガーをかけるように革靴にはシューツリー

日常に使用する革靴にも、特別な日にしか使用しない革靴にも、保管に共通するアイテムは「シューツリー」です。 シューツリーは、足の代わりの役目をした型崩れ防止の為のアイテムです。 型崩れをさせない為、ジャケットにはハンガーを使用し保管するように、革靴にはシューツリーを使用し保管する事が大事なのです。

シューツリーは、シワを伸ばし型崩れを防止するだけではなく、湿気を吸収して革靴のコンディションを整える役目もあります。 履いた靴は必ずシューツリーを入れるよう心がけましょう。 シューツリーは、革靴に対して多少きついかなと思えるくらいがベストなセット状態になります。サイズに迷ったら、参考にしてみて下さい。

日常の保管方法

では、短期間の革靴の保管方法です。短期なので、日常で使用する革靴になります。 丸一日一生懸命働いた革靴は、とても疲れています。シューツリーを入れてしっかり休ませてあげましょう。 まず、基本のブラッシングで汚れを落とします。一日履いただけでほこりやゴミは必ず付着します。しっかり汚れを落としてコンディションを整えてあげましょう。

ブラッシングを終えたら、シュークロークにしまう前に一晩以上乾かします。 場所は玄関でかまいません。 一日履いた革靴は思いのほか湿気を含んでいるので、すぐ収納してしまうとカビの原因に繋がります。カビは革靴の底の部分に生えやすいです。すのこや網を敷いた上に革靴を保管するとより通気性がよくなりベストです。

革靴を収納したシュークロークは、一日10分程度定期的に換気をしてあげられたらよりベストです。 湿気防止の為に乾燥材を入れておくだけでも効果があります、革靴に優しいので是非乾燥材をシュークロークに入れてください。

革靴の長期保管方法

次に靴箱を使用した長期間の革靴の保管方法です。 基本のブラッシングを行い、汚れをしっかり取り除きます。そして同様に一晩以上乾かし、湿気もしっかり取り除いてください。 靴ひもはそのままでも外してもどちらでも構いません。

収納までの手入れ手順

シューキーパーは保管の間もずっと入れておく物です。手入れのはじめの段階から靴に入れたのなら、そのまま外さずにしておきましょう。 ブラッシングは、革底やコバの部分もしっかりブラッシングします。そして、出来ればクリーナーを使って古いクリームワックスを落としましょう。蓄積した古いクリームを落とす事はとても大事な事なのです。

クリーナーを使用する場合は、指に布を巻きクリーナーを乗せ、革靴の汚れた箇所に馴染ませます。 強く擦らずに汚れたクリーナーをクロスや乾いた布で拭き取りましょう。強く圧をかけると革の表面が荒れてしまうので、やさしく拭いてあげましょう。

保管の際は、専用の除菌スプレーがあればなお心強いです。除菌、防カビ効果が期待できます。 と、収納する箱にもスプレーしましょう。 革靴で底も革の場合であれば、湿気が多いシーズンにはカビが発生しやすいのでミンクオイルを塗った後に保管するようにすれば、心配いりません。

いずれにせよ、かけ過ぎや塗りすぎには注意してください。

箱に革靴を寝かせる

革靴の手入れが完了したら、汚れの落とし忘れは無いか、しっかり乾いたかを確認し箱に入れます。 革靴は、左足靴を土踏まずを下になるように底を外向きに入れます。右足靴は土踏まずを上にして左右を互い違いになるように収納します。ポイントとしては、靴同士がぶつかって擦れないように、間に布や柔らかい紙を挟んでおく事です。

革靴を買った時についてくる靴袋(シューバッグ)や薄紙(ライスペーパー)を靴の間に挟んでおきましょう。靴袋は、湿気を高くしてしまうので革靴を中に入れない方が良いです。ただ、吸湿性のよい綿布であれば革靴を収納したりくるんだりしましょう。

湿気防止の為に、箱に小さな穴を何か所かあけたり、市販の乾燥材を一緒に入れておけばなお良いです。乾燥材は、革靴に直接触れないようにしてください。箱に寝かせた革靴は、風通しが良く湿気の少ない場所が最適です。ただ、家庭のシュークロークやクローゼットは通気性が良いとは言えません。

定期的に扉を開けて換気をし、快適に革靴を寝かせてあげましょう。これで保管もぬかりなく完了し、革靴を長持ちさせる事ができます。

その5、「クリーム」と「クリーナー」 革靴のお化粧は上塗りせずに落とす

先ほど出てきた「クリーム」と「クリーナー」。クリーナーはブラシで落としきれないほど、表面に付着し固まってしまった細かい汚れを落とす為に使用します。 そして、蓄積された古いクリームやワックス等はクリーナーでしか落としきれません。

クリーナーはシミになりそうな緊急時(コーヒーや油がかかった等)には、完全に除去する事は難しいですが頼りになる存在です。ただ頻繁に使用するのは革に良くないので、数か月に一度使うかどうかです。注意事項や使用出来ない革素材も多くあるので、革靴の扱いに慣れるまでは触れる機会も少ないかと思います。

クリーナーの具体的な手入れとしては、しっかりブラッシングをした後、コイン程の量をクロスや布に出し革靴に優しく塗ります。そしてすぐに汚れを拭き取ります。その後クリームでケアに入ります。クリーナーは、革靴をすっぴんに戻す事ができます。綺麗にしっかり化粧をする為の、最適な化粧落としといえます。

クリームでお化粧の前に

クリームで正しく手入れをする事で、革靴をより長持ちさせる事が出来ます。 ただここで注意が必要なのは、クリームをただ塗ればよいという意味ではない事。クリームだけを塗り続けることは、洗顔をせず化粧をしている事と同じ。上塗り、上塗りでどんどん厚化粧になり、結果的に革表面にクリームの層が出来てしまいます。

そうするとクリームの段差が出来たり、革が硬くなったりしてひび割れの原因になります。クリームを綺麗に塗る為にも、効果を出す為にも、しっかり以前塗ったクリームを落とす事が大事なのです。それは、クリーナーを使わずともブラッシングで可能です。ブラッシングでしっかり洗顔をしてから、クリームを塗りましょう。

よかれと思って塗ったクリームが、革靴にダメージを与えている事もあるのです。ブラッシングをしてから、化粧に入りましょう。 これがブラッシングが大事な工程だという理由でもあり、基本でもあるのです。この意識が、革靴の寿命を減らさない1番のポイントです。

その6、クリームで栄養を与える

では、革靴を長く愛用する為にする大事な手入れクリームを塗る手順もご紹介します。クリームは、多くのメーカーから多様な商品が出ています。それぞれに特徴があり、カラーも豊富で、金額も100円で買える物から高級ブランドの物など様々です。

クリームの種類

クリームは多種多様にありますが、「乳化性」「油性」「ワックス」の3種に大きく分ける事ができます。この中で必須なクリームは乳化性。逆にこの乳化性クリームさえあれば、普段の手入れには十分と言えます。色は無色が何色の革靴にも使えるのでおすすめです。容器の形状的にはチューブタイプが多いです。

油性クリームは、色のバリエーションが豊富です。革に艶と光沢を与えたい、色を整えたいという時に使用する事で、見栄えが良くなります。容器は各メーカー、ブランド共にとてもおしゃれなビンに入っています。ワックスは、鏡面磨き革靴の表面をぴかぴかにします。油性クリームより更に強い光沢を出すことが目的です。

乳化性クリームで手入れ

一番ベーシックでナチュラルな仕上がりの手入れ方法をご紹介します。長持ちさせる為にも、クリームで疲れた革靴に栄養と保湿を与えてあげましょう。まず、基本のブラッシング。洗顔してあげないと、クリームは綺麗に塗れません。次に乳化性クリームが全体に塗り込めるようにシューツリーを入れてシワを伸ばしたり、手で調節します。

革靴と同色のクリームか、無色のクリームシュークリーム)をクロスで少量づつ塗り伸ばします。乳化性クリームで栄養と保湿を与え、整えてあげましょう。 クリームの色は革靴により使い分けます。

豚毛のブラシ

クリームを塗った後は、ブラッシングで余分を落とし、クリームを馴染ませます。更に艶も蘇らせます。 ここで使用するブラシは手入れで使用した馬毛ではなく、豚毛のブラシを使用します。 豚毛のブラシはコシが強いのが特徴です。そして馬毛のブラシよりコンパクトなので小回りも利きます

塗り込むイメージで、クリームを塗った細かい範囲もブラッシングしていきましょう。 豚毛のブラシのカラーは、黒と茶で使い分けて下さい。同じブラシで薄い色の革靴ブラッシングしてしまうと、ブラシに残った黒のクリームが靴に色移りしてしまいます。

革靴は、クリームブラッシングで十分な手入れができます。長く使用しているなと思う愛用革靴には、クリームで栄養を与えてあげてください。

その7、革靴は履き回すローテーションが大事

革靴を長く愛用するために大事な事は、手入れだけではありません。 お気に入りだからと毎日同じ革靴を履いていると、トラブルが多発してしまいます。 ニオイ、カビ、型崩れ、汚れや傷の蓄積、など休む暇がないとどんどん寿命は縮みます。 長くその革靴と付き合いたいなら、酷使は厳禁です。

長持ちさせるには、何足かをローテーションし履き回す事が大事です。 汗を乾かす時間や菌を繁殖させない為の時間は丸一日以上は必要です。 シワをシューキーパーで戻す時間もないと、どんどん深いシワが出来て修復不可になってしまいます。 手入れをする手間と時間も必要なので、手持ちが1足2足ではたりないかと思います。

最低3足、雨の日用も含めれば4足ほどあれば心強いです。 長持ちさせる為には、適度なダウンタイムが必要なのです。

大切な革靴は鑑賞用ではない

革靴は酷使は厳禁と言いましたが、大事過ぎて手入れをせずに飾っていたり、あまり履かないでいるのも寿命を縮めます。 保存方法がしっかり守られていれば急激に劣化はしませんが、適度に履かないと劣化の進行は早まってしまいます。 そして生活空間の中で観賞用に出していると、エアコンやヒーターの風で乾燥してしまいます。

長く放置していると、革靴は酸化し劣化してしまうのです。ラバーソールのゴム底の革靴だと、ラバーの水分が蒸発し乾燥してしまい、結果的に硬くなってぼろぼろになってしまう可能性があります。 革靴は、適度に履いて歩かないと劣化の進みが早いです。これはスニーカーもおなじです。もちろん、手入れも大切です。

箱に入れてシュークロークで保管する場合は、レザーソール、ラバーソールと共通して適度な風通しが大切になってきます。 革靴は、箱入り息子ではいけないのです。

その8、型崩れ防止の為の約束

革靴は、型崩れを避ける事がとても大切です。 型崩れ防止にマストアイテムなのはシューキーパー。 又シューツリーと呼んだりします、木製の物がシューツリーです。 革靴には木製の物がおすすめです。革靴に残った足の湿気を吸ってくれる効果がある為です。湿気を嫌う革靴には、木は相性の良い素材です。ぜひ、シューツリーを選択してください。

木製の他にはプラスチック製のシューキーパーもあります。価格が安く、非常にお手頃です。ですが吸湿性は無いので、しっかりと革靴を乾かしてから入れるようにしてください。 湿気が残る内にプラスチックのシューキーパーを入れてしまうと、汗や湿気の出口を塞いでしまい、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。カビや、ニオイの原因になり、革靴の寿命を短くしてしまいます。

少し価格が高いのが木製シューツリーのネックですが、消耗品ではないので正しく使えば長く使用できます。

革靴の扱い方の約束

そして、シューキーパーを入れてしっかりとメンテナンスをし形を整える事はもちろん、普段の革靴の履き方や扱い方で型崩れをさせないよう務める事も重要です。 まず、かかとは踏まない事が絶対です。急いでいるからと無理矢理足を入れたり、靴べらを使わずに強引に履いたり、横着し靴ひもを緩めずに脱ぎ履きしたり。全てNG行為になります。

長持ちさせる為にも、極力大事に扱うようにしましょう。 履き口から革靴がダメになってしまう場合は、靴ひもを緩めていない事が原因としてあります。履くとき、脱ぐとき、毎回必ず靴ひもをほどくよう心がけましょう。

横着な革靴の着脱は、スマートな男性のする行為ではないです。だらしのない革靴の扱いは、見た目にも革靴にも良くない行動です。そして、女性にも嫌われてしまいます、意外と見られていますよ、あなたと革靴。

その9、靴べら(シューホーン)の使い方で革靴にダメージ

靴べらを使わずに革靴を履こうとすると、うまく足が入らずにかかとが踏まれて潰れてしまう事があります。 革靴のかかとには、体と足を支える為に沢山のパーツや芯が入っています。それが踏まれてしまう事により折れてしまうと、足が痛くなってしまったり、革靴の劣化を早めてしまう事になります。一度折れてしまうと、もう元には戻らないのです。

なので必ず靴べら(シューホーン) を使用しましょう。 そんな、革靴を履く時に必要なアイテムの靴べら(シューホーン)。 正しい使い方なんて習う事も教わる事も無く、なんとなく習得する革靴を履くというスキル。 その靴べら(シューホーン) の使い方だと、革靴の劣化を早めているかもしれません。

靴べらの正しい使い方

まず、靴べら(シューホーン) の窪んでいる部分がかかとを当てる部分。靴のかかと部分のカーブに沿うような作りになっています。 足を革靴にほどよく入れ、かかとのカーブの部分に合わせて靴に靴べら(シューホーン) を差し込みます。ここで、最重要項目が一点。

靴べら(シューホーン) を差し込んだ時に、インソールの部分、つまり一番下まで靴べらを強く差し込まないでください。靴べら(シューホーン) は、かかとに沿わせるのみです。 一番下まで靴べら(シューホーン) を差し込み、自分のかかと下部分のインソールを軸にして負荷をかけてしまうと、その部分がへこんだり、痛んで破けてしまいます。

普段革靴を着用していて、インソールのかかと部分が薄くなる事はありますが、痛んだり破けたりする事はありません。もし痛んでいたら、それは靴べら(シューホーン) の負荷がかかってしまっている可能性が高いです。

なんとなく使っている靴べらですが、少し意識をしてみると革靴を長持ちさせるポイントにもなります。革靴にダメージを与えない為にも、スマートに履く為にも、脱いだ時に恥ずかしい思いをしない為にも、正しく靴べら(シューホーン) を使用してください。

その10、靴底のsos、摩耗に気付く

革靴を長持ちさせる為には、継続した手入れやメンテナンスが大切です。そして、革靴が発信するSOSにいち早く気付き修理に出す事も大事なのです。革靴表面のSOSは普段の生活でも発見しやすいです。しかし、靴底にはあまり気が付かない場合が多いのではないでしょうか。

例えばアウトソール、靴底のかかと部分の擦り減り。買い替えの理由として多いのが靴底の痛みです。靴底に関しては、減るのが当たり前です。なので、いち早く気付いて、修理に出す事が愛用革靴と長く付き合う手段でもあります。

発信するSOS

靴底は、最後部外側、つまりかかと部分から減っていきます。かかと部分が元の高さから1センチ近く摩耗し減ってしまったら修理に出し、交換しましょう。擦り減ったまま使用していると、靴だけではなく、歩き方にも影響してきます。さらに、靴底の踏みつけ部分の中心(ソールの曲がる部分)も擦り減ってしまいます。その摩耗した靴底部分を指で押して、くぼむなら穴があく一歩手前です。

また、インソールも保存状態が悪いと汗や湿気で常に湿った状態になり、最悪穴があいてしまいます。ニオイも気になる部分なので、よく乾かし手入れをしましょう。それと同時にインソールが劣化していないかを指で押して確認してみてください。良く歩き、ハードな動きをする方は、特に靴底の擦り減りも早いです。是非、この機会によく使用する革靴の底を確認してみてください。

その11、長く履きたいと思う革靴と出会う

では、最後に。革靴は大事に扱い、手入れをし、メンテナンスを重ねると長く人生を共にできます。それを面倒と感じるか、粋と感じるかはそれぞれです。ただ、手入れをする時間と過程を楽しむ事の出来る大人は、精神的余裕のある人間だと言えます。革靴は、その人となりを表す大事なアイテムです。どんなに着飾っていても、ひとつの手入れも出来ていない革靴を履いているとがっかりします。

そして、革靴ひとつでどれほど気を配れる人なのかという事も見分けられてしまいます。それはプライベートやビジネス置いても、今なおステータスであり品格として見られています。それは、高級な靴かどうかではなく、手入れがされているかどうかです。一般でもそうです、おしゃれは足元から。清潔感も重視されます。どんどん味が出る革靴の風合いと経年変化(エイジング)を楽しむことは、自分の歴史と時間を楽しむ事でもあります。

革靴の手入れをしている姿は、女性の目から見てもとても魅力的に感じます。革靴の手入れの文化は、女性にはかなり珍しく映る習慣です。その工程の姿もそうですが、革靴を大事にしている、ケアを楽しんでいるという部分がとても素敵に感じるのです。それは、ものを大事にするヒトなのだと、信頼にも繋がります。

大事にしたい、長く付き合いたいと思う革靴に出会う事が、1番のモチベーションかもしれません。”大人のいい男”として、一歩先を行くかっこよさを手に入れてはいかがでしょうか。

革靴の手入れ・メンテナンスにブラッシングが大事な5つの理由 #革靴お手入れ大全集 Vol.2

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”#ブラッシングが大事な5つの理由”

革靴の手入れに大事なのは、クリームの塗り方や質だと思っていませんか?

 ・価格や質の良いクリームを塗れば綺麗になる。
 ・クロスで磨けば艶が出る。
 ・靴磨きは、毎日クリームを塗ることが大事。 

革靴の手入れをしようと思った時に、なんとなくイメージで真っ先に必要だろうなと思うアイテムは、革靴の色に合ったクリーム、もしくはシャインクロスではないでしょうか。クリームのカラーや種類、塗り込み方ももちろん大事です。でも実は、革靴のブラッシングがそれ以上に大事な項目だとご存じでしょうか。

ブラッシングを制す者は革靴磨き・お手入れを制す

革靴磨きお手入れにとってのブラッシングは、ざっくりと適当に汚れを落とすだけではないのです。ブラッシングを怠ると、革靴の手入れはうまくいきません。革靴手入れする事に慣れている人ほど、ブラッシングにかける時間や想い入れは非常に強いです。

では、そんな「ブラッシング」が革靴の手入れやメンテナンスに大事な役割を持つ5つの理由をご紹介致します。ブラッシングは、革靴の手入れのメイン、主役級なのです。「まさか革靴の手入れグッズであるブラシがこんなに奥が深く、ブラッシングがこんなに大事な工程だったなんて」きっとそう思うはず。是非、お付き合い下さい。

ブラッシングの大事な役割

ブラッシングは、革靴の手入れをする際に一番最初にするケアです。最初の手入れをしっかり行う事で、お気に入りの革靴はより一層輝きを増します。ブラッシングは、汚れたらするのではなく、良い状態を保つ為にするのです。

愛犬や愛猫がいる方も、毎日自分のワンちゃんやネコちゃんをブラッシングしてあげると思いますが。革靴も同じです。出来れば毎日、丁寧なブラッシングをしてあげることで常に良い状態を維持することができ結果としてお気に入りの革靴を長持ちさせることができるのです。

理由1、革靴の汚れを落とす

革靴の手入れをしようかな?」、「革靴磨きしてみようかな?」と思う理由はシンプルに、革靴が汚れて艶が無くなっているからではないでしょうか?

まず、ひとつ目のブラッシングが大事な理由は、革靴磨きの前にほこりや汚れを落とす事。ブラッシングをする事で表面のほこりやゴミを払い落し、革靴本来の艶を取り戻す事が出来ます。表面のほこりやゴミが落ちるだけで、白い膜が無くなったように綺麗に革靴が発色しより革靴を磨き上げることができます。

はじめての革靴のお手入れ、ブラッシング

革靴のお手入れがはじめてで初ブラッシングする場合や、革靴が目に見えて汚れている場合は、革靴の表面を傷付けないように注意しましょう。汚れが見るからに酷い場合は、強くブラシで擦って汚れを落とすのではなく、一定方向にブラシを動かし少しずつ汚れを落とします。

押し付けるのではなく、斜め下に力をかけ払い落すイメージです。表面の汚れを落とした後に、靴底のソールと表面のエッジ、コバの部分の汚れを落とします。ブラッシングでほこりやゴミを落とし、本来の色を取り戻すだけで 革靴の印象がかなり変わります。

理由2、次の工程への土台作り

しっかりとほこりやゴミを落とさないと、クリームの栄養や色も綺麗に入っていきませんので、ブラッシングで汚れを落とす事は大事な工程になります。ブラッシングでしっかりとほこりやゴミを落とす事により、革表面の不純物が無くなり、クリームが浸透しやすくなります。革靴のクリームには多様な種類がありますが、革にしっかりと塗り込まないと効果は減ってしまいます。

次のステップの為に

クリームでしっかりと保湿、栄養、色を与える為にも、ブラッシングは大事な作業です。クリームを上手に塗る事よりも、ブラシを上手にかける事を最初に習得しましょう。土台がしっかりと完成させていないと、その先の工程はうまくはいかないのです。そしてブラッシングに慣れてきた頃には、クリームやクロスにも触れ、手入れの次のステップへの興味もわくと思います。そのクリームの手入れにもブラシを使います。次の工程にも必須なブラッシング。更に先を目指す為にも必要な土台作りなのです。

革靴のコンディションを整える

ブラッシングはほこりやゴミを落とすと同時に、革靴のコンディションを整える効果もあります。ほこりを落とす事で湿気を排除し、カビや革特有のニオイの予防に。汚れを落とす事で乾燥を防ぎ、ひび割れの予防に。このようにブラッシングをする事で革靴のコンディションを整えます。

生きた素材のメンテナンス

マッサージ効果で革靴内部の油分や水分を整え、より良い状態に革靴のコンディションを引き出します。そして、愛用の革靴の寿命を長くキープさせましょう。なのでブラッシングはただほこりやゴミを汚れた時に落とす為にするのではなく、毎日継続して行い整える事が大事なのです。

理由3、摩擦熱で艶を出す

映画や実際の靴磨き職人の一コマで、職人が両手でタオルの両端を持ち、素早く往復させ革靴を磨いている。そんなシーンを見たことはありませんか?あの行動は、革靴を輝かせる為のタオルやクロスに秘密があるのではなく、素早く高速に動かす行動に秘密があるのです。

仕上げの秘密

高速にタオルやクロスを動かす事により、摩擦を起こします。その摩擦熱で革靴の毛穴を開き、油分を調節し艶を引き出すのです。なので、しっかりとほこりやゴミを落とした事を確認してから、綺麗な状態になった革靴を素早くブラッシングしてみて下さい。艶が出て、きれいな革本来の光沢が出ます。

ブラシを押し付けるのではなく、左右に高速に動かす事を意識して下さい。時間は少しかかります。が、クリームやシャインクロスを使用するのとは違った美しい艶が生まれます。クリームまでは面倒だったり、クロスのテカるような質感が好みではないのであれば、是非ブラッシングで高速に磨き上げて下さい。職人仕上げのような磨き上げの革靴にする事も、ブラッシングだけで可能なのです。

理由4、自分の足を知る

自分の足のクセ、ご存じですか?ひとの足の形はそれぞれ全く違います。幅が広かったり、甲が高かったり、かかとが細かったり、左右で長さや大きさが違ったり。例えを出すと書ききれない程です。そして、その自分の足に合わない靴を履いていると、トラブルが起こります。足はどんな動作でも使う大事なパーツです。トラブルが出たらすぐに分かる部分でもあります。ブラッシングをする事で、自分の足のクセを知り、更に改善点や発見も出来るのです。

ブラッシングできっかけを

ブラッシングを行うと、今までより多く自分の足が履く靴を見る事になります。そのきっかけを大事にしたいのです。足のクセは、靴に現れます。特に革靴は正直で、目に見えて変化が分かります。色の変化や、擦れが出る箇所。革の張りやシワで革靴の表情は日に日に変わっていきます。そこで自分の歩き方や足の特徴を少しづつ理解し、自分に合った革靴を選ぶ判断材料に出来るのです。

自分に合った革靴に出会う為

革靴の木型(革靴をつくる為の型)はそれぞれのメーカー、職人、ブランド、国の違いで特徴があります。自分の足に合った特徴の革靴を見つける事で、痛みや劣化も抑えられて長く愛用出来ます。革靴はピンキリで、値段の高いものなら10万円はゆうに超えて来ます。

せっかく10万円の革靴を買うなら、自分の足にフィットした履き心地の良いものが欲しいですよね。紳士服飾売り場や専門店なら、2万円前後の価格帯が多いでしょうか。ただ、値段に関係なく、気に入った革靴にトラブルが出てしまっては残念です。買い物の失敗をしない為にも、自分の足を知る事は大事なのです。自分の足を知る事は、自分にとっての最適な革靴を知るためのスタートです。ブラッシングをして革靴と対面する機会を増やす事が大事なのです。

足のクセとは

少しだけ具体的に足のクセのケースを紹介します。革靴の底のかかとの減りは、左右でどの程度差がありますか?どちらか一方の減りが大きい場合、履きなれたと思っていた靴が、急に扱いづらく感じたりします。靴の底が減りすぎて、歩きづらくなってしまったのです。ブラッシングを習慣にしていると、必ず変化が目に入ると思います。

例えばこの場合だと、靴底の修理に早い段階で出すことが出来るので、革靴の寿命は長く保つことが出来ます。最悪の場合、靴底に穴が空いたり、インソール近くまで痛み修理不可になる場合もあります。その革靴が、足の形に合っているのかもわかります。

親指の根元から小指の根元まで、窮屈感はないですか?革靴がぱつんと張ってはいませんか?無理をして履き続けると、革靴も足もどちらにもダメージが蓄積されてしまいます。革靴のケアをする事も、足のケアをする事も、ブラッシングをしていると不快感を感じる前に着手する事が可能なのです。

理由5、ブラッシングで革靴を知る為に

最後に、革靴は生きた素材であるレザーで造られています。サイズや履き心地は自分で多少なりとも変える事が可能なのです。この革靴の形は何か違和感を感じる、、、かかとに擦り傷が出来やすい、、、等、その小さな気付きがブラッシングをする事でわかるのです。

革靴の手入れは瞑想と至福のひと時に

またブラッシングのお手入れをすることによって、自分の革靴の状態を知るだけではなく無心に靴磨きをする時間がまるで瞑想をしているかのように雑念を取り払うような至福のひと時に変えることもできます。例えば、お酒が好きな方であればお気に入りのグラスとお酒。タイミングに合わせたBGMで雰囲気を作って革靴を磨く。これこそ”大人のいい男”にしか味わえないひと時でしょう。

まとめ

今回は5つの理由をご紹介しました。最初の入り口は汚れを落とすのだけが理由でもかまいません。ただきっと、ブラッシングを知り、自分の足を知り、革靴を知ると、革靴に対する意識は変わります。長く付き合う自分の足と合う、ベストな革靴を探す手がかりにもなります。自分の足を知る事は、革靴を知る事。そして、自分の健康を知る事にも繋がるのです。是非、ブラッシングで革靴のある人生を楽しんで下さい。

『ユーチューブ&ユーチューバーから学ぶ』革靴の手入れ ブラッシング方法

ブラシっていくらのものを買えばいいの? 靴磨き芸人の奥野さん

革靴のお手入れグッズは、ダイソーの100均アイテムから数万円するようなプロ仕様の輸入品まで幅広くあります。前回、10秒で出来る超絶簡単な革靴の手入れ「ブラッシング」でもご紹介しました靴磨き芸人の奥野さんが、100円の豚毛ブラシと約5000円の豚毛ブラシという両極端なブラシの比較レビューをされています。

革靴の手入れは、ただ靴磨きをするだけじゃありません。上の方でも紹介していますが。革靴好きにとっては、至福のひと時でもあるんです。だから、ブラシ一つでも自分の気に入ったデザインや使い心地を見て決めましょう。なので、また別記事でご紹介しますが。革靴の手入れセットは、良いものを買いましょう。

靴ブラシのケア方法【馬毛ブラシ・豚毛ブラシ・山羊毛ブラシ】 靴磨き芸人の奥野さん

かなり分かりやすく、靴ブラシのお手入れ方法を紹介されています。革靴の手入れをする道具が汚れていては綺麗になるものもキレイになりませんので、是非こちらの動画を参考にお掃除ケアしてみて下さい。