革靴の手入れを始めようと思った時、お手入れセットのアイテムを選ぶ際に何をどの基準で選べば良いのか迷います。決して消耗品のように単純に選ぶことが出来ない、革靴・レザーシューズ用の手入れセットとアイテム。それは長く愛用の革靴と向き合い、付き合う事になります。そんな革靴の手入れセットとアイテム選びは、失敗したくはないものです。
今回は、基本のブラッシングの必須アイテム「ブラシ」の おすすめ をランキング形式でご紹介します。各メーカー・ブランドがそれぞれこだわりを持って販売している、革靴の手入れに必要な永遠の定番お手入れセット・アイテムです。是非、それぞれのポイントを押さえて自分の手に合う相棒を見つけてください。
革靴の手入れに使用するブラシ
革靴の手入れに使用するブラシは、それぞれの用途に合わせた種類に分けられ、使用します。
基本の手入れセット
基本の手入れに大事なブラシは「馬毛ブラシ」「豚毛ブラシ」の2種類になります。
応用編の手入れセット
応用編として「山羊毛ブラシ」「化繊ブラシ」「ペネトレイトブラシ」「コバブラシ」「ワイヤーブラシ」「クレープブラシ」などさまざまな種類が存在します。メインのブラシ2種の紹介とランキングに入る前に、それぞれの用途と特徴をご紹介します。馬毛と豚毛以外にも、自分の革靴の手入れに合ったブラシが見つかるかもしれません。
山羊毛ブラシ
山羊毛ブラシは、毛がとても柔らかいブラシです。山羊毛は、繊細でソフトな質感なのが特徴です。女性のメイクブラシにも使用されている素材で、肌にも革靴にも優しく触れます。そんな山羊毛のブラシは各メーカーで販売されていますが、例えばフィニッシングブラシと言う名でブートブラックから販売されています。文字通り、仕上げ磨きに使用するのが山羊毛ブラシです。
革靴の手入れ用ブラシの中で抜群に柔らかい山羊毛ブラシは、大切な革靴を傷付ける事無く仕上げのブラッシングをする事が可能です。鏡面磨き・ハイシャイン仕上げをしたつま先部分のブラッシングや、コードバンの仕上げに水を少量付けてブラッシングを施したりします。山羊毛ブラシは、大事でデリケートな革靴を優しくメンテナンスするブラシです。
おすすめの山羊毛ブラシ
山羊毛ブラシでおすすめなのは先程も名が出たブートブラックの「フィニッシングブラシ」。日本が誇るシューズケアの老舗コロンブスから販売されているブランドで、ピッティウォモではイタリアオヤジの注目の的だったブートブラックの商品です。
この山羊毛ブラシは、感動的な柔らかさと毛の密度が群を抜いています。伝統的な熊野筆の製法で製造されたブラシです。後ほど紹介しますが、ブートブラックは日本の伝統的な屋号を持つ老舗とのコラボ商品も展開しています。
Twitterで見る山羊毛ブラシ
山羊毛ブラシでみなさん仕上げ磨きをやられているようですね。お気に入りの革靴には、1本山羊毛ブラシが必要ですね。
結婚式や特別な会食など、大事なシーンには大切な革靴をより一層靴磨きに精が出るものですが。そんな靴磨きの仕上げ磨きには山羊毛ブラシが必須です。
大切な革靴やブーツは、何年も何十年も大事に履きたいものです。そして、そんな愛革靴もお出かけの前の仕上げ磨きに山羊毛ブラシでお手入れしてあげるだけで艶感が全く違います。
化繊ブラシ
化繊ブラシは動物の天然毛を使用せず、ナイロンの毛を使用しています。化繊ブラシは品質が劣るのではないかと思いますが、格安の天然毛のブラシを選ぶなら化繊ブラシを選んだ方が品質が良いです。天然毛だと毛質のばらつきや作りの脆さなどが出てしまいます。
化繊ブラシは豚毛ブラシの代用として使用しますが、豚毛ブラシよりも柔らかい・毛が抜けない・ブラシが クリーム やワックスをすぐ吸収して馴染む(育ちやすい)という利点があります。つまり、人工的に製造するので一定した安定の品質となります。
おすすめの化繊ブラシ
化繊ブラシで おすすめ は、Mモゥブレィのプロホワイトブラシです。ブラックとホワイトの展開です。品質も硬さも丁度よく、化繊ブラシを選ぶならこちらだと間違いないです。さまざまなレザーメンテナンスアイテムを正式に代行販売しているR&D社が取り扱いをしています。R&D社から出ているアイテムは多様にありますが、量販とは違う一歩先を行く品質が多いので、自分に合ったアイテムが見つかります。
ペネトレイトブラシ・コバブラシ
コンパクトな形状のブラシです。ペネトレイトブラシは、革靴にクリームを塗る際やクリームを混ぜてカラーを作る際に使用します。コンパクトな丸い形が指先にも、メダリオンや細かい装飾部分にもフィットします。クリームを塗る事が習慣になっているのであれば、1本2本とカラーに合わせて所持しておきたいです。 ペネトレイトブラシ は各メーカーでほぼワンコインで購入できます。
おすすめのペネトレイトブラシ
おすすめはMモゥブレィ。豚毛ブラシのおまけで付いてくる事もあります。 ペネトレイトブラシはMモゥブレィ所有率が高いです。専用のスタンドも販売されています。持ち手が丸く作業がしやすいのですが、その代わりに立たせて保管は出来ません。
Twitterで見るペネトレイトブラシ
ペネトレイトブラシは、使って見ると革靴の磨きの仕上がりの違いに驚きます。価格もそこまで高額ではないので是非革靴のお手入れに使ってみて下さい。
ペネトレイトブラシは、革靴磨きの仕上げ以外に革靴を洗う際にサドルソープと一緒にお手入れセットとしても活躍します!
おすすめのコバブラシ
コバブラシは、ブラッシングでほこりや汚れを払い落す際に活躍します。グッドイヤー製法などは特にコバ部分の汚れが蓄積します。大きなブラシでは払いきれない汚れを落とす事が可能です。ドレスシューズのみではなく、トリッカーズのようなワークブーツなどにも適しているので、カジュアル派の方にも持っておいて欲しいアイテムです。コロンブス社のコバブラシがお安い値段で使いやすいです。
クレープブラシ・ワイヤーブラシ
クレープブラシとワイヤーブラシは、スエード素材のシューズを手入れする際に使用します。クレープブラシは毛の部分がドレープ状のゴムになっています。スエードの毛並みを整える為に必要なブラシです。
おすすめのクレープブラシ
クレープブラシはチャーチとサフィールが おすすめです。それぞれレザーシューズを綺麗に見せる事に強みを持つブランドです。チャーチはスエードシューズの取り扱いも多く、正統派の英国靴として不動の地位を確立しています。サフィールは、スエードの毛並みと艶を美しく仕上げます。サフィールはクリームやワックスなど、レザーの表情を作るアイテムに関しては一級品揃いです。
おすすめのワイヤーブラシ
ワイヤーブラシは、毛の部分がワイヤー・真鍮・豚とワイヤーのミックスでいずれかの素材になっています。シューズに傷がつく可能性があるので、ワイヤーブラシは使わずに豚毛ブラシを手入れに使用する方が安心です。スエードブラシに関しては、110年以上の歴史がある、日本が誇る革靴ブランドのリーガルのブラシが おすすめです。このスエードブラシは、外側が豚毛で内側が銅製のワイヤーを埋め込んだ作りです。スエードを傷つけにくい仕様になっています。
馬毛ブラシ
さまざまなブラシがある中で、どんな革靴の手入れにもほぼ登場するのが馬毛ブラシ。馬毛ブラシの特徴とランキング、そして日本のショップではまだほとんど取り扱いが無い最高の逸品をご紹介します。
馬毛ブラシの特徴
馬毛ブラシは、柔らかくしなやかな質感のブラシです。革靴のほこりやゴミを払い落とす為に使用するマストアイテムになります。履く度に革靴の手入れとまではいかなくても、この馬毛ブラシで汚れを落とすだけで革靴の寿命は延びます。革靴を履く方には必ず一本は持っておいて欲しいアイテムです。基本のブラッシングだけで見違えるほど美しくなります。
馬毛ブラシの選び方
馬毛ブラシは毛足が長く、手にフィットする大きめのブラシです。サイズが大きいと革靴の広い範囲をブラッシングで一度に払えます。ただ、大きいだけではなく手のフィット感が大切になります。やや小さめのサイズだと良く操作出来るので、大きさに関しては好みと言えます。
そして、ブラシを握る為の木の部分のデザインや、角の落とし方も重要です。何度も革靴の上でブラシを往復させるブラッシングという作業は、楽ではありません。持ち手が手に合わない粗末な作りだと、ストレスを感じます。角が直角になっていたり、毛羽立っていたりするのは おすすめ 出来ません。ベースになる木がしっかりと磨き上げられ、手に合うように沿っていたり、カーブを描いているブラシが おすすめ と言えます。
馬毛ブラシおすすめランキング
では、ここからランキング形式で馬毛ブラシと豚毛ブラシを紹介します。ただここに厳選したアイテムは、悪い箇所は正直ありません。ただ、より素晴らしいと思う順位を付けさせて頂きました。重要視したのは大きさと握りやすさ。大きいとワンストロークで広い範囲をブラッシング可能。ただ、手のひらのフィット感は重要です。
毛の長さも大事ですが、密度の濃さが ブラシの要と言えます。今回ご紹介するアイテムには密度の心配はいりません。このランキングの中から選べば間違いはないかと。私はシューケアの中で、一番ブラッシングが好きであり、重要な項目だと思っています。では、参りましょう。
№5 「Mモゥブレィ・プロホースブラシ」
こちらは大き目の馬毛ブラシで、細長いという印象です。その形状のため、しっかり指の根元からブラシを握る事が出来て往復運動もしっかりとこなせます。この大きさであるからこその使いやすさはシンプルでいてオーソドックス、歴史を感じる一品と言えます。毛のコシとハリは申し分ありませんが、毛の抜けは気になるところ。ただ、強く往復させるのではなく、一定方向にブラッシングをする手入れ方法であればそこまで気にはなりません。
№4 「コロニル・馬毛ブラシ」
17㎝とやや小ぶりな馬毛ブラシです。柄が沿った作りになっていて、角の処理もしっかりと滑らかにされていて手のひらの馴染みはかなり良いです。ブラシに対する手の馴染みのおかげで効率よく作業が出来ます。そして、馬毛の硬さが丁度よくスムースレザーの肌にフィットするような感覚があります。こちらも抜け毛が気になりますので、メダリオンや外羽の革靴にブラッシングをする際は一定方向にかける事を推進します。その方が革靴にも優しいです。
№3 「サフィール・グランドホースヘアブラシ」
革靴、特にスムースレザーの艶出しには持ってこいのブランド、サフィールよりランクイン。18㎝と21㎝の2種展開です。21㎝は各メーカーが販売している中でもかなり大きい部類で、一往復でブラシがかかる範囲が広く時間短縮を図れます。ブラシが革靴に覆いかぶさっているという感じ。タフな馬毛ブラシで大きいサイズなので、ブーツの手入れもかなり時短になります。時短になるので忙しいビジネスマンにも合ったブラシと言えます。
№2 「ブートブラック×江戸屋ブラシ 馬毛ブラシ」
日本が誇るメーカーから販売されている見た目にも機能的にも男が惚れるブートブラックからの一品。ただ革靴からほこりを落とすだけではない、充実したひと時を過ごる馬毛ブラシです。江戸屋で培われた歴史が物語るのは、その滑らかさ。程よい弾力とコシ、毛先のまとまりは繊細な感覚を生み出します。少し短めに揃えられた毛先からは、他とは一味違うブラッシングの効果が出せます。
№1 「ミディアムウェリントンホースシューポリッシュブラシ」
こちらはハンガープロジェクトが販売している日本ではまだ取り扱いがほぼない最高級で最高品質の馬毛ブラシです。これから人気に火が付く事必至なブラシと言えます。最高品質のアウトブリードホースのタフで自然体のヘアを使用しています。
高密度に揃えられたブラシと長い毛足からは、しっかりと整えられた革靴が顔を出すでしょう。また、絶妙な反りと角の丸さが心地よく手のひらにフィットします。毛が抜けにくいところもポイントが高いです。品質が良い・毛足が長い・密度が濃い・しなやか・持ちやすい、と馬毛ブラシに欲しい機能が全て揃っています。このウェリントンホースブラシは逸品です。
豚毛ブラシ
豚毛ブラシは、クリームを塗った後のブラッシングに必須なアイテムです。特にスムースレザーの手入れには、黒と茶で最低2本は手元に置いておきたいところ。カラーごとにブラシを分けるという事は、本数を持つという事です。各ブランドを試しつつ、自分に合った一品を探してみてはいかがでしょうか。
豚毛ブラシの特徴と選び方
豚毛ブラシは、馬毛ブラシより毛質が硬いのが特徴です。しっかりと革靴の表面をブラッシングすることで、毛穴の奥までクリームの栄養やカラーを浸透させます。そしてブラシの効果で光沢を出す為に、素早くブラシを動かす事も必要とされています。その為馬毛ブラシよりもコンパクトな作りです。
毛質が硬く短いので、より手の馴染みと微妙な引っ掛かりが気になります。クリームを塗布した後は滑りが良くなりますので、その時に長時間細かくブラシをかけ続けられるかが大事なポイントです。
豚毛ブラシおすすめランキング
№5 「コロンブス・ジャーマンブラシ 豚毛」
コンパクトな形状の手のひらにはまる豚毛ブラシです。クリームの伸ばしやすさと細かい部分のブラッシングには丁度良いブラシです。シンプルな革靴ではなく、ウイングチップや細かい装飾のある革靴に適しています。
細かくブラシを往復させるのには、このサイズ感が繊細に手入れが出来ます。大きいブラシでは少しデリケートさが劣ると感じているのであれば、試して頂きたいブラシです。ただ、毛の抜けは気になります。
№4 「Mモゥブレィ・ワークブラシ 豚毛」
コンパクトな豚毛ブラシで、角の丸さと横幅の大きさがしっかりと手のひらにはまります。一束の毛の本数に対して間隔が若干広く感じますが、反発が少ないので力を込めなくてもしっかりと往復させ馴染ませる事が可能です。均等に伸ばすのには少し時間はかかりますが、その分余分なクリームをよく掻き込みます。手の馴染みが良いので、長時間ブラシを滑らせても負担は少ないです。
№3 「コロニル・豚毛ブラシ」
こちらの豚毛ブラシも若干一束の毛の間隔が広いですが、コシが強くクリームを逃しません。硬めに感じる豚毛ブラシは、弾力が強く革靴の表面をしっかりとキャッチします。ブラシの毛の密度ではなく、硬さで表面を整えます。光沢感とマッサージ効果は期待出来ます。持ちやすさとブラシの硬さが絶妙で力を込めやすく、毛穴にしっかりとクリームが入っていくのを感じます。
№2 「ブートブラック×江戸屋 豚毛ブラシ」
江戸屋品質の豚毛ブラシ。毛の密度と美しさはやはり一味違います。毛束の間隔は少し広いですが、毛先の広がりが良いのでしっかりとクリームと革靴をホールドします。綺麗にムラなく伸ばせるのは、さすが江戸屋と言えます。コシが強いのでへたる事も少なく、長く使用できるブラシです。形が独特なカーブを描いていて、親指の納まりが一番良いです。が、好みが分かれる形とも言えます。
№1 「リーガル・シューブラシ 豚毛」
日本の数少ない老舗革靴メーカーのひとつ、リーガル。革靴のみではなく、ブラシの品質と工夫も素晴らしいです。他には無いブラシの反りと形が抜群の持ちやすさを実現しています。その形により力の加減や入りも良く、馴染みと快適さは他には負ける事はないです。抜け毛もほぼ無く毛束の間隔と密度も良いです。毛足は若干長いのでクリームの伸ばしや革靴の広範囲のブラッシングもスムーズ。とても扱いやすい豚毛ブラシです。
大切なのは大人の目利き
ここまでおすすめの革靴お手入れブラシをご紹介しましたが、沢山のブラシが世の中には存在しています。各メーカー・ブランドが多様なブラシを色々な価格で販売しています。その中で、粗悪なブラシが存在する事も確かなのです。手の馴染みの前に、角が鋭利だったり木の仕上げがされていなかったり。
毛質が悪く、ブラシの効果が薄かったり革靴を傷を付けてしまったり。破格のブラシにはそれなりの理由があります。しっかりとブラシの質を見極めて、革靴と共に長く愛用出来る手入れアイテムを見つけてください。
ブラシは革靴の手入れには必須です。自分にとって最高のブラシはきっと、選び抜いた良いパートナー・最高の右腕になってくれます。最高のブラシで愛用の革靴を手入れし、かっこいい大人の自分だけの時間を満喫してはいかがでしょう。