”#Alden (オールデン)とタッセルローファー誕生秘話”
Alden (オールデン)のローファー(革靴)は、30代・40代のメンズファッションに拘りがある方ならば、一度と言わず良く耳にするブランドであり。かなり愛用されている、革靴だと思います。そして、世界中の革靴好きにとってこれほどまでに魅了され、愛されるブランドも中々ありません。
今回は、そんな Alden (オールデン)の歴史を掘り下げていくと同時に、 Alden (オールデン)のなかでも大変人気が高い代表的な革靴のひとつである Alden (オールデン)ローファー についてその起源や誕生秘話などを詳しくご紹介したいと思います。
Alden (オールデン)の歴史とローファー誕生について知れるコト
・Alden (オールデン)とタッセルローファーの意外な接点
・『映画 インディ・ジョーンズ』から生まれたAlden (オールデン)の名作
Alden (オールデン) ローファーとは
オールデン(Alden)は、アメリカ合衆国北東部の6つの州から連なり、中心都市をボストンとする”ニューイングランド地方”において最後のシューズメーカーです。 かつて、ニューイングランド地方は19世紀のアメリカにおいて産業革命の先導役として大きく経済的発展を遂げました。
この時、靴産業は紡績産業と並んで世界恐慌が来るまでは、ニューイングランドの主要ビジネスとして確立されていました。 しかし、 オールデン(Alden) のクラフトマンシップは世界恐慌や第二次世界大戦の厳しい戦後の経済でも、常に最上の素材を用いた高品質のドレスシューズを生産し続けた事に強い拘りを感じられるでしょう。
また、 オールデン(Alden) は日本国内だけではなく米国の靴文化を象徴するシューズメーカーである為、米国の高級百貨チェーン店『Barneys New York(バーニーズニューヨーク)』でも幅広く取り扱われています。 その中でもオールデンのローファーは人気が根強く、日本国内でも多くのセレクトショップがダブルネームのコラボ商品を販売している事も珍しくはありません。
そして、 オールデン(Alden) のローファーと言えばアメリカン・トラディショナルと言った米国東部で培われた伝統的なカジュアルスタイルを語る上で、あの『Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)』のポロシャツと一緒に外せない名品とも言えるでしょう。 今回はそんな歴史あるアメリカ産業革命が生んだ奇跡とも言える オールデン(Alden) 誕生の歴史と、未だに語り継がれる オールデン(Alden) の名品達をご紹介していきます。
1884年:チャールズH.オールデンが創業
創業者:チャールズH.オールデン
ニューイングランド地方は、アメリカ合衆国における最も古い地域であり、かつてイギリスが民族浄化として行った「インディアン大量虐殺」の対象にされた歴史ある地域でもあります。オールデンシューカンパニーは、そんなニューイングランド地方の1つマサチューセッツ州ミドルボローにてのチャールズH.オールデン氏により、1884年に設立されました。
ニューイングランド地方は、アメリカ合衆国における最も古い地域であり、かつてイギリスが民族浄化として行った「インディアン大量虐殺」の対象にされた歴史ある地域でもあります。オールデンシューカンパニーは、そんなニューイングランド地方の1つマサチューセッツ州ミドルボローにてのチャールズH.オールデン氏により、1884年に設立されました。
マサチューセッツ州は19世紀に入りアメリカの産業基盤を支える経済特区と言っても良い程、産業革命の中心地でした。この地での工業発展は次第にアメリカ全土に広がっていく事になり、現在のアメリカ合衆国においてはアメリカの起源と言っても過言ではないでしょう。
そして、オールデン氏はそんな経済成長と製靴・紡績産業が盛んな地に、10フィート(約3m)程度しかないコンテナハウスで靴づくりを始めたのです。またオールデンの工場が設立したばかりの時の製品は、受注生産による紳士靴やブーツの生産などが主な事業でした。
その後1892年に工場の生産ラインが拡張される事になり、ミドルボローから同州のノースアビントンに工場が移転されました。しかし工場が移転しても、オールデン氏が創業当時から拘り続けた”良い履き心地と高品質な靴作りの両立”というモノ作りに対する強い思いだけは動かなかったようです。
1993年:創業者チャールズH.オールデンが引退
オールデン氏は移転後の工場でも約39年間に渡って、卓越した技術とその素材選びに誇りを持つ職人達と共に経営を続けてきました。 しかし工場は1931年頃に同州ブロックトンへ移転し、その時期に合わせてオールデン氏も引退する事になります。
氏が約47年間営んできたオールデンシューカンパニーはブロックトンへ移転後に、当時オールデン氏と金銭的なパートナーシップ提携をしていたターロウ・ファミリーが引継ぐ事になったのです。 ターロウ・ファミリーが会社を引き継いだ後もオールデン氏のポリシーを守り続け、現在4代に渡って家族経営を続けているオールデンシューカンパニーですが。
Alden (オールデン) ローファーの生産がはじまる。
1950~1960年代に入ると”バリー”や”モディファイド”と言った未だに色あせる事のない傑作ラスト(木型)が誕生していきます。 そしてこの頃から『Brooks Brothers(ブルックスブラザーズ)』のローファー生産を請負う事になり、日本でも一躍脚光を浴びる事になります。 当時、ファッション雑誌のスナップにもオールデンのシューズが載る機会が増えていき、オールデンの靴作りとその洗練されたデザイン性が業界でも注目を集めました。
また、1970年頃には新たな工場が原点とも言えるマサチューセッツ州ミドルボローに建設され、現在でも生産が続けられています。 『THOM BROWNE(トムブラウン)』やフランスの『MARCEL LASSANCE(マルセルラサンス )』等にも次第に認められていき、オールデン氏が引退した後も確実にブランド基盤を根強く固めていったと言えます。
オールデン(Alden)が生んだタッセルローファー
1948年頃、オールデンの代名詞とも言える”タッセルローファー“が発表されます。タッセルローファーは、オールデンの中でも特に細い作りとされている”アバディーン”ラストを使用しています。かつてブーツ作りも得意としていたオールデンからは考えられない程にスッキリとした印象のシルエットは、スリッポンとしての機能美を備えた上でもドレスな装いからカジュアルなスタイルまで引き立てる美しさすら見受けられます。
タッセルローファーの誕生と名俳優ポール・ルーカス
そして、このタッセルローファーの誕生には1943年、映画『ラインの監視』でアカデミー主演男優賞受賞したポール・ルーカス氏が大きく関わっていた逸話があります。この当時、ハリウッド映画の名脇役として活躍中だったルーカス氏は、イギリスでタッセル(房飾り)付きの紐靴を手に入れました。
帰国後のルーカス氏は、「この靴をよりシンプルな物にできないものか」と多くの会社に依頼をしたのです。しかし、ルーカス氏が納得するような物には中々仕上がらなかったといいます。
そんなある時、ニューヨークとロサンゼルスにあったシューズブランドに同じ依頼をした際、両社がオールデンに製作を依頼するという偶然が起きたのです。
この事が発端となり、タッセルローファーが生まれる事になりました。オールデンが製作したシューズにルーカス氏も大変満足したようで、世界初のタッセルローファー愛用者としてポール・ルーカス氏の名前が刻まれる事なりました。
『映画 インディ・ジョーンズ』ハリソン・フォードから誕生したインディーブーツ(オールデン405)
Alden(オールデン)の名品は何もタッセルローファーだけにはとどまらず、”インディーブーツ“も名前が挙がる事でしょう。インディーブーツは元々405ワークブーツという名称でしたが、映画『インディージョーンズ』にて主演を務めたハリソン・フォード氏が劇中で着用していたためにこの名称が付きました。
インディーブーツは405ワークブーツの名前の通り、労働者が長きにわたって使い続けていく事を前提としたワークブーツでありました。しかしファッションコーディネートにおいても優秀なアイコニックの様な存在になるため、現在でも愛用者が多いブーツです。
ブーツの革には、最も高い強度を誇る生後2年を経過したメスの牛の皮を使用した、フルグレインカウハイドレザーを使用しています。グッドイヤー・ウェルテッド製法と呼ばれる、靴底の全体を取り替える修理が可能な作りのおかげで長期間に渡り履き続ける事が出来ます。質実剛健で堅牢な作りは、どこか野性的で挑戦的な佇まいです。インディージョーンズの名前を冠するに相応しいワークブーツと言っても過言ではありません。
『コードバンの供給元』ホーウィン社とオールデン
ホーウィン社は、今では世界にごくわずかしかないコードバンのタンナーの一つです。そして、ホーウィン社はオールデンに対してコードバンを優先的に供給している背景があるのです。1960年~1970年頃、コードバンの需要が世界各地でも大きく減った事で数多くのコードバンタンナーが廃業する中、ホーウィン社もこの例外に漏れず事業であるコードバンの供給が存続の危機立たされました。
しかし当時のオールデンを経営していたターロウ・ファミリーは、かつてオールデン氏の拘りでもあった”常に最上の素材を用いた高品質のドレスシューズを作り“を続ける事に強いプライドと信念を持っていたため、世界からコードバンの供給が途切れてしまう事をとても恐れていました。
そこでターロウ・ファミリーはオールデンシューカンパニーとして、ホーウィン社のコードバンを2年分買い取る事を約束。ホーウィン社の事業と経営を救済した事により、ホーウィン社とオールデンの間には切っても切れない絆が生まれたのです。今ではオールデンと言えばコードバンのイメージありますが、この事には両社の強い信頼関係があったからこそなのです。
最後に
Alden(オールデン)ローファーの歴史をご紹介致しました。ローファーの歴史、革靴の歴史にとってAlden(オールデン)というブランドはただ人気があるというだけではなく、ある意味で映画や俳優、セレブなどの著名人との関わりを含め創業時代からメンズファッションと文化の礎を創り上げたと言っても過言ではありません。
また創業から、100年以上が経過していますが。世界中でも数少ない令和時代でも高い人気と認知度をもって、活躍する老舗中の老舗ブランドではないでしょうか? Alden(オールデン) が100年以上もの間、ビジネスとしても成功している秘訣について語られているインタビューでは、無理な拡大をせず。確実に顧客が満足するための製品作りを実行する。というような事を答えていたのを見ると、やはり原理原則にのっとった王道を行くのが何事もベストなのだろうと考えさせられます。
Alden(オールデン)は、革靴として愛用し楽しむだけではなくその歴史やビジネスとしての成功の秘訣などの面からも楽しむ価値があるブランドです。歴史あるブランドの革靴を愛用しつつ、ブランドの歴史やエピソードを楽しむのも良いものですね。
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ローファー(革靴)の歴史について、その起源や誕生の秘話についてAlden(オールデン)も含めご紹介しています。ローファーを始めて作ったブランドは、Alden(オールデン)だとばかり思っていましたが。意外にもその起源は、全く違うブランドでした。
また地域ごとに、そのルーツも異なることもこの記事でご紹介しています。ローファー(革靴)を履いてメンズファッションを楽しむだけではなく、ローファー(革靴)のお手入れをしながらその歴史や登場するブランドや人物について知ることも一つの楽しみ・醍醐味かもしれません。
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GXOMENSでは、革靴の手入れ・メンテナンスについて誰でもできる簡単な革靴お手入れ方法からプロが使う道具を使ってのお手入れまでこれからご紹介していきます。革靴の魅力や楽しみは、買うために選ぶ楽しさは勿論ですが。購入した後、履いていく中で自分で革靴の手入れをし経年変化(エイジング)を見ながら自分のマイ革靴の進化を見れることも1つだと思います。