”#スエード革靴・スニーカー・ブーツの手入れ方法”
革靴、財布、バッグなど、さまざまな革素材のファッションアイテムが多様に存在します。革素材、つまりレザーは、メンズでもレディースでも「ファッション」とは切っても切れない関係なのです。今回は、革靴やスニーカー・シューズの中でも人気の高い「スエード」の魅力とスエード 靴の手入れ方法をご紹介します。
革靴というとビジネスシューズのイメージが大きいですが、スエードの革靴は、カジュアルにぴったりのとてもファッション性の高いアイテムになります。是非、スエードの特徴と手入れ方法を知り、おしゃれと自分の時間を楽しんでください。
スエードとは?(名前の由来)
スエードは、革の内側である面を表に採用し、なめした革をサンドペーパーなどで起毛させた素材です。スムースレザーとの大きな違いがあたたかみがあり、やわらかい印象がある起毛感です。そして、ファブリックとは違ったオトナの印象も与えられます。
スウェーデン発祥のスエードは、毛足が長く起毛感も強いので、素材的にもファッションのアクセントになります。またスエードの名前の由来は、スウェーデンで作られたスエード製の手袋がフランスで流行したことから、スウェーデンにちなみスエードと呼ばれるようになったのです。なので言葉自体はフランス語です。
ヌバックとは
一方、スエードと同じような素材感のヌバックという素材があります。スエードと同じく起毛した革素材です。製法が異なり、表面の皮をなめし、サンドペーパーなどで擦って毛羽立たせます。ヌバック(Nubuck)のバックは雄鹿の事で、Nu(New・新しい)buck(雄鹿)が語源です。昔は、その名の通り鹿革を指していました。ただ現在は仔牛、山羊、羊などが素材として使用されています。
なのでヌバックは、現在は原材料関係なく表面を起毛させた革全般の事を指します。ヌバックはスエードに比べて毛足が短く、繊細な印象と光沢があるのが特徴です。製法としてなめした革を使用するのは同じですが、スエードは内側、ヌバックは表側を加工します。表情を出す面が違うのです。
ちなみに、革の表面の事を銀面と呼び、内側にあたる面を床面と呼びます。少しの予備知識があると、シューズへの興味も深まるかと思います。
スエードシューズの魅力
スエードのメンズシューズの魅力は、まずスムースレザーとは違った様々なカラー展開と、デザインの多様さがある事です。スムースレザーは、ビジネスモデルに多い艶がある革の事。そのスムースレザーシューズと、全く違う表情を見せるのがスエードレザーシューズです。
カラー&デザインに魅かれる
スエードの素材感の魅力は、その起毛感と上品な光沢感。そしてやわらかくあたたかい雰囲気にあります。ブーツなどはデザインによって、無骨で強固な表情にもなります。同じ素材で正反対の表情を出す事が出来るスエードレザー。革靴の奥の深さを思い知ります。
そして、スエードはカラーの豊富さが魅力でもあります。ブルーやレッド、オレンジ、カモフラなど様々なカラー展開の靴やバッグ、ジャケットなどのアイテムが存在しています。スムースレザーではグリーン、ネイビー、ワイン系は見ますが派手なカラーやデザインは少ないです。
デザインだと、定番の紐靴やモンクストラップ。ローファーやドライビングシューズ、デッキシューズにスリッポン。ブーツにスニーカーなどなど。メンズだけでもこの種類です、レディースを合わせればもっとデザインの種類は増えます。
レザーシューズは沢山の種類の中から自分に合ったデザインやカラー、素材、イメージを選択出来ます。かつ手入れも自分の手で簡単に出来、手入れをする程愛着が湧くのもポイントです。素材的にも、デザイン的にも、とても魅力的なのがスエードシューズです。
スエードは夏か冬か
スエード素材のシューズは、その起毛感とあたたかみから、秋冬のみに使える素材なのだと思われがちです。しかし、そんな事は無く夏にも率先して採用して頂きたい素材になります。素材はスエードでも、デザインやカラーが変わると印象ががらっと変わります。
夏はスエードのドライビングシューズ
冬にスエードのブーツなら、夏はスエードのドライビングシューズなどが定番でしょうか。夏は、毎日サンダルという訳にも、スニーカーという訳にもいきません。かっこいい”大人のいい男”は、夏でも場面に合わせた上品なファッションを心がけたいものです。
夏に着用するなら、ドライビングシューズ、ローファー、デッキシューズあたりが合わせやすく、使い勝手が良いです。
スエード素材のスニーカーもあるので、一味違ったオトナのスニーカースタイルも完璧に仕上げられます。カラーもブラック、ブラウンと定番から明るいカラーと様々です。
冬には保守的なダークカラーを選びがちなので、夏はスエードのカラーシューズで遊びを出してみてはいかがでしょう。スエードは、決して秋冬専用の素材ではないのです。夏にも魅力的なスエードシューズは沢山販売されています。そんな魅力的な素材感とデザイン性のあるスエードシューズ。愛用のスエードシューズと長い付き合いをする為には、やはりメンテナンスが必要になってきます。そして、少し特殊なトラブルや補修方法も存在します。
スムースレザーとは違う手入れ方法やアイテムが必要になってきます。ですが、難しい事や手順はありません。ブラシとスプレーで完了です。では、スエードシューズを長く愛用する為の手入れやケア、メンテナンス方法を詳しく紐解いていきましょう。
スエード専用のブラッシング
では、革靴に共通する手入れ、ブラッシングについてご紹介します。スムースレザーに使用していたのは馬毛のブラシと豚毛のブラシ。スエードにも、同じブラシを使用しても良いのでしょうか。スエードの手入れブラシは、選ぶのも少し注意が必要なのです。
「スエード用ブラシ」と記載してあっても、そのスエードシューズには適さずにぼろぼろになってしまう可能性もあります。しっかりと自分のスエードシューズを観察し、ケア用品の内容を知ってから購入しましょう。
スエードはどんなブラシが必要?
スムースレザーのケアで使用したのは馬毛と豚毛のブラシです。同じ種類のものを使用しても問題はないのですが、注意が必要です。馬毛のブラシはやわらかく、しなやかに革の表面を整えてくれます。なので、スエード素材の起毛した毛並みだと、擦る力が弱く汚れ落ちが悪く感じるかもしれません。馬毛よりは、豚毛のブラシの方が適していると言えます。
豚毛のブラシを使用
豚毛のブラシはスエードの毛並みを整えるのにも、汚れを落とすのにも、ぴったりのアイテムです。ただ、スムースレザーの手入れに使ったブラシを、そのままスエードレザーに使い回してはいけません。豚毛のブラシは、スムースレザーのメンテナンスの際、クリームを塗る工程で使用するアイテムです。その際に、どうしてもブラシにクリームのカラーが入ってしまうのです。
ブラウンのシューズにブラックのクリームが付着したブラシを使用してしまうと、色移りします。スムースレザーの場合は、あえてそうしてカラーを変えたり、オリジナルの雰囲気を出したりする事もあります。ただ、そもそもスエードにはクリームは適さないのです。なので色移り以前に、その時点でNGと言えます。スエードは手入れにも、ブラッシングの工程にも、クリームは出て来ません。
なので、スムースレザーとスエードレザーは共通の豚毛ブラシを使うのではなく、スエード専用の豚毛ブラシを一本用意してください。そして、ブラックのシューズにはブラック専用のブラシ。ブラウンにはブラウン専用のブラシ。と、ブラックと薄いカラーでブラシを分ける事をおすすめします。
スエード用ブラシ
スエード用のブラシは、真鍮、ワイヤー、豚毛、豚毛とワイヤーのミックス、など様々な素材のブラシが販売されています。ご自身のスエードシューズの素材感に合わせたブラシを選択しましょう。ここでも注意が必要です。ワイヤーブラシは固く扱いも難しいのでおすすめしません。薄いスエードや、リーズナブルなスエードシューズに使用してしまうと革を削り、傷を付けてしまいます。
真鍮やワイヤーのみのブラシは避けましょう。豚毛とワイヤーがミックスされているブラシは、最初の手入れでは慎重にブラッシングをし、感覚を掴みましょう。豚毛のブラシが硬さ的にも、扱い方的にも無難に万能で、安心感があります。
スエードの手入れには、それ以外にゴムを素材としたアイテムを使用します。クレープブラシや、専用の消しゴムです。クレープブラシは、薄いゴムがドレープ状になっているブラシです。通常なら毛である部分がゴムになっているアイテムです。スエードの手入れをはじめる際には、「豚毛ブラシ」と「クレープブラシ」を用意しましょう。
スエードの手入れ方法
では、スエードシューズのメンテナンス手順をご紹介します。スエードは、革の繊維が毛細管のようになっていて、水分、ほこり、汚れを吸収しやすくなっています。その為、ブラシで汚れを払い落とし、毛並みを整える事で綺麗にメンテナンスをする事が大切です。
手入れをしないままスエードシューズを履き続けると、毛が寝て、はげたように感じてしまいます。残念なスエードシューズを生み出さない為に、しっかりと手入れを日常化しましょう。そしてスエードは特に、履く前と履いた後にしっかり手入れをする事で劣化を防ぎます。
シューツリーを用意
まず、しっかりとブラッシングの効果を出す為にも、シューキーパーを入れて ブラッシング をしましょう。木製のシューツリーがおすすめです。スエードは、履いた時に出来た甲の曲がる部分のシワが目立ちます。その部分のシワを戻す為にも、ブラッシングで目立たなくさせる為にも、しっかりとシューキーパーで靴の形を保ちましょう。
スムースレザーとは、シワの入り方と目立ち方、ケア方法が違うので、是非シューキーパーを入れた状態で手入れに入ってください。
スエードシューズのブラッシング
では、豚毛ブラシを使用し、ほこりやゴミを払い落としましょう。この手順はスムースレザーと同じ基本の ブラッシング です。使うブラシは馬毛と豚毛で違いますが、スエードでもこの工程で馬毛ブラシを使用する事も可能です。ここでの工程に使用するブラシは、比較的汚れていないものを選んでください。そして、絶対にクリームなどがついていないものを必ず使用しましょう。色移りの原因になり、寿命を縮めてしまいます。
ブラッシングでしっかりと汚れを落とし、コンディションを整えてあげましょう。ここでも最初の ブラッシング は基本であり、重要な項目です。スムースレザーの ブラッシング との違いもあります。スエードは、寝ている毛を立たせるように、起こすようにブラッシングをしていきましょう。
なので、毛並みと逆方向にブラシを動かします。毛が抜けて見える部分も、毛が寝ているだけの事が多いので諦めずにブラッシングをしていきましょう。
スエードのブラッシングのコツ
スエードは表面が起毛していて、ほこりやゴミがその毛先に絡みつきます。その為に白い膜が張ったように汚れてしまうのです。その汚れをしっかり落とす為に、固さのあるブラシでブラッシングをするのです。豚毛ブラシで、多少力を込めてブラッシングしましょう。汚れがぽろぽろと落ちていきます。
強く擦り過ぎると、毛が取れてしまうので逆効果です。靴底のソールが側面に出ているコバの部分は、細かい汚れが沢山付着しているのでしっかりとブラッシングをしましょう。細かい部分用の小さいブラシも発売されているので、活用するのも良いです。
スエード特有の質
スエードは、毛並みを立たせる事で見た目の光沢感や色合いを整えます。毛が寝てしまう可能性もある真鍮製などはやはり使用しない方が無難です。スエードシューズはその個々により革質の良し悪しが異なり、見た目や適したブラシに違いが出ます。
価格やメーカー、ブランドにより革の品質が異なるので、最初は力を入れすぎずに様子を見ながら豚毛ブラシで ブラッシング をしましょう。
クレープブラシ
ここまでの ブラッシング の手順は、スムースレザーの メンテナンス が習慣化していたり、慣れていれば問題なく仕上げられます。続いてはクレープブラシを使用して毛並みをほぐし、整えます。クレープブラシひとつでも、各メーカーがさまざまな形状のものを販売しています。
新品のクレープブラシやしばらく保管しておいたものは、ゴム部分が固まってしまって使いにくくなっています。手入れをはじめる前に手でほぐして、 ブラッシング の効果を落とさないようにしましょう。スエードの毛並みは、着用と時間の経過により寝てしまい、その状態で固まってしまいます。綺麗な状態のスエードをキープする為には、固まった毛並みをほぐし、整える事が大事です。
クレープブラシを使用し、固まった毛並みを起こす感覚でゴムの部分をしっかりと当てて ブラッシング をします。力を込めて ブラッシング をしてしまって大丈夫です。ムラと固まった毛が残らないように、全体をしっかり満遍なく ブラッシング しましょう。
この ブラッシング の工程だけで、見違えるほどスエードシューズは綺麗に蘇ります。日常の手入れでは、履いた後は必ずブラシをかけましょう。スエードは、経年劣化を楽しむのではなく、良い状態をできるだけキープさせる事が大切です。
スプレーを使用
スムースレザーでは、ここから栄養を与える為にクリームで手入れをしていきますが、スエードの場合はスプレーやミストを使用します。もしスエードにクリームを使用してしまうと、毛並みがべたっと寝たうえに固まってしまいます。それは最悪です。なので、間違えずに。クリームのかわりに、スエードはスプレーで栄養とうるおいを与えましょう。
革靴はスエードに限らず、乾燥が進むとひび割れや色あせを起こします。スエード専用のスプレーで栄養を与えてコンディションを整えます。更にそのスプレーでうるおいを与える事で色あせを解消し、艶を出して表面を美しく綺麗に保つのです。
防水スプレーありのスエード靴となしを比較されてます。見てもらうとわかりますが。 無しの方は、すぐに水を吸って変色しています。大事な革靴、スエード靴が変色したりダメージを受けないように適切にスプレーを使って雨の日対策をしておきましょう。
スプレー使用の注意点
メーカーや商品にもよりますが、スプレーの使用には注意する事が何点かあります。まず、スプレー缶を振らない事。やってしまいがちです。次に、50センチ以上離した位置から素早く全体をスプレーする事。3回程で十分です。これはムラ防止とシミ防止の為です。
最後に、スプレー後はよく乾かす事が大事です。スプレーのメーカーによりますが、10分~30分以上は直射日光の当たらない日陰で乾かしてください。次の工程でスエードを傷ませない為にも、しっかり乾かしましょう。
そして、スプレーやミストは、カラーバリエーションが豊富です。潤いと艶、栄養を与える為のスプレーは無色のニュートラルカラーから試してみましょう。何色でも使用出来るので万能で失敗も無いです。
防水スプレーの振り方が特にあるわけではありませんが。きちんと防水効果を発揮するように、二度ふってあげる。またあるある何ですが。屋内ではスプレーしないようにしましょうね。
最後のケアを忘れずに
スプレーが乾いたら、最後に仕上げの ブラッシング をしましょう。ゴムのクレープブラシではなく、豚毛のブラシで毛並みを整えます。前から後ろへ一定方向に流すように ブラッシング をし、毛並みを揃えて美しく仕上げます。
使用するのは、最初の工程で汚れを落とした豚毛のブラシで構いません。ただ、ブラシ本体にゴミが付着していては逆効果なので、ブラシを手ではたいたり、擦ったりしてゴミを落としてからブラシをかけましょう。そして最後に、もっとも重要な工程「撥水スプレー」をかけましょう。
ブラシで汚れを落とす事と、撥水スプレーをかける事は履く度に必ずするよう心がけましょう。特に撥水スプレーをかける事は、買ったら一番最初にする作業です。スムースレザーと同じように、撥水スプレーでしっかりと水と汚れから愛用の靴を守りましょう。
YouTube(ユーチューブ)でもチェックしておきましょう。
実は少々の雨なら履ける!スウェード靴のケア| 『THE WAY THINGS GO HOME』さん
東京、大阪で靴磨き専門店を展開されている『THE WAY THINGS GO HOME』さんのユーチューブ動画です。プロの職人さんの動画というだけあって、スエード靴についての情報も織り交ぜてお手入れ・メンテナンスの方法をご紹介されています。
スエード靴の手入れ方法。意外と簡単 & 見違えるほどキレイに!| 化ノ革 -バケノカワ- さん
おすすめ手入れ用品セット
スエードの手入れセットは、スムースレザーに比べて少ないです。ブラシだけでも良いのですが、スプレーなどがセットになっているものは便利で、モチベーションも上がります。
スエードシューズの大事なケア
革靴に共通して言える事は、ほこりやゴミなどの汚れを蓄積させない事。栄養や動きを与え、そのまま放っておかない事。そして、湿気や雨などの水気の対策を怠らない事。雨や雪が原因で革靴がダメになるパターンは多いのです。それは変形、硬化、カビ、ニオイとさまざまなトラブルを発生させる為です。
スエードは特に秋冬に似合う素材感でもあるので、しっかりと メンテナンス をする事が重要です。
雨の日のスエード
雨や雪の日に着用したスエードシューズ。濡れてしまったら、しっかりとケアをしてあげましょう。中途半端な乾かし方だと、生乾きでカビが生えやすくなります。濡れたスエードシューズは、しっかりと乾かしましょう。
乾かす手順
まず、新聞紙などを丸めて靴の中に入れます。この時、靴の形が崩れないように形を整えながら中に詰めてください。その状態で、風通しの良い場所で一晩以上置きましょう。乾かしている間、新聞紙は3時間程で取り替えてあげるととても親切です。靴の濡れ具合によりますが、新聞紙に移った水気が靴の中にこもってしまい、逆に湿度を高めてしまう結果になってしまうのです。
1日以上置き、ほぼ乾いた状態を確認出来たらシューキーパーを入れます。そして完全に乾くまで日陰に干しましょう。最初からシューキーパーを入れてしまうと、水気の逃げ道がなく乾く前に靴がカビてしまいます。そして木製のシューツリーだと、最悪シューツリー自体がカビてしまいます。
撥水スプレー
スムースレザーと比較してスエードレザーは水が染みやすい素材です。必ず撥水スプレーを忘れずに吹きかけましょう。スエード用の栄養や光沢を与えるスプレーには、撥水機能がついたものも多いです。ですがそれで安心せず、撥水スプレーを出かける前に吹きかける事は大事です。
回数を重ねるごとに効果を出します。必ず履く時には撥水スプレーをかけてください。撥水スプレーは、アメダスなどスムースレザーと共通して使用できるタイプが多いので、しっかりと玄関にストックしておきましょう。
汚れをクリーニング
スエードが汚れてしまい、 ブラッシング をしてもイマイチ綺麗な状態にならない時の対処方をご紹介します。
消しゴム
例えば、スエード用の消しゴムがあるのをご存知でしょうか。300円以下から購入可能なので、気になる部分がシューズにあるのなら試してみるのも良いです。スエードの消しゴムの使い方としては、いたって簡単です。やさしく擦るだけ。ごしごし擦ってしまうと、スエードの表面を傷めてしまうので注意してください。
べたっとこびりついた油汚れ等ではなく、線のように入った汚れや、踏み痕、壁や家具からの軽い色移りなどならこれで対処可能です。
水洗い
まさか、と思うのですがスエードシューズは丸洗いも可能です。スエードはドレスシューズだけではなく、スニーカーやドライビングシューズなどラフなスタイルのデザインにも採用されます。ファブリックの靴と同じように、丸洗い出来ればもっと長く愛用する事が出来ます。
少し注意も必要ですが、簡単に洗う事が出来ます。ブラシだけでは落とせないシミや汚れ、カビも落とす事が可能で、におい対策にもなります。特に汚れがちなカジュアルシューズには是非試してみてください。
水洗いのアイテム
スエードの ブラッシング と手入れに使用するアイテムは、ケアの為に必要です。豚毛ブラシ、クレープブラシ、スプレーなど。そして、靴が入る程の水洗い用の大き目のバケツ、タライ。洗う為のスポンジ、これは食器洗い用などで大丈夫です。やわらかめの物を選びます。たわしは傷む可能性があるので控えてください。
歯ブラシ。細かい部分と、毛並みに入り込んだ汚れを落とす為に使用します。スエードの水洗い専用の物も販売されています。抵抗のある方はそちらをどうぞ。タオル。先洗い時と、水気を拭く為に必須です。靴や床、手など、複数枚あれば安心です。
そして新聞紙。洗った後乾かす時に使用します。湿気を取る為に必要です。ここまでのアイテムは、こどもの頃からの靴洗いの経験でなんとなくわかりますね。スエードシューズを洗う洗剤は、スエード用のシャンプーが販売されているのでそれがおすすめです。
洗濯洗剤やヘアシャンプーで洗うのはおすすめしません。汚れは落ちますが、乾燥し過ぎてしまいます。専用の物が間違いないです。水飛びが気になるので、浴室か屋外での作業を推進します。
水洗いで丸洗いの手順
まずは、基本の ブラッシング 。豚毛ブラシでほこりやゴミを綺麗にブラシで払い落します。スエードは汚れが溜まりやすいです。先に ブラッシング で整えておくと、後の水洗いの負担を軽減出来ます。次に、タオルや綺麗な雑巾などに水を付け、靴に撫でつけてます。
擦るのでは無く、やさしく撫でて水分を含ませてください。先洗いの効果と、水シミの予防になります。全体を湿らせるイメージです。完了したら、バケツにぬるま湯をはり、靴を浸けます。5分程浸けておくと、汚れが浮いてきてより綺麗に洗浄出来ます。食器洗い時と同じように、冷たい水ではなく、ぬるま湯で油脂や汚れを離しやすくしましょう。
もし、バケツに浸すのが心配であれば、そのままスポンジで洗う作業に入ってしまっても大丈夫です。ただ、水シミにならないように、しっかりと表面全体に水分をタオルで含ませてからシャンプーしてください。この場合だと、十分に泡を流せないので靴の中は洗わないでください。流す時も、しっかりと濡れタオルで全体の泡を拭いましょう。これは、出来るだけ水と触れさせないシャンプーの方法です。
スエードをシャンプー
水に浸けた後は、スポンジを濡らしシャンプーをスポンジに取って泡立たせます。シャンプーを直接靴にかけないでください。泡とスポンジで全体を優しく洗いましょう。内側もスポンジを入れて、におい対策を忘れずに。コバやベロの部分は部分ブラシで細かく汚れを落としていきましょう。指先や爪で洗ってしまうと、痕になり傷んでしまいます。
十分に全体を洗ったら、しっかり水で流します。泡が残っていると、シミの原因になります。流し終わったらタオルでしっかりと水気を拭き取り、新聞紙を丸めて詰めて、風通しのよい場所で乾かしましょう。この辺りは、雨の日の メンテナンス と同じように、新聞紙を取り替えてください。
ただ、雨の日の手入れと違い、完全に水に浸っています。一晩や1日ではなく、2~3日は置き、その後シューキーパーを入れて更に完全に乾かしてください。
仕上げで完璧な出来に
乾かした後は、しっかりと手入れをします。固くなっている毛並みをクレープブラシでほぐしましょう。毛並みを整え、起毛を立たせるイメージです。水洗い後は汚れもですが、レザーの持つ本来の油分と水分も流れ落ちています。乾燥している状態のスエードレザーに、スプレーでうるおいと栄養を与えましょう。
近過ぎない位置から全体にスプレーを吹きかけ、10~30分以上かけて乾かします。最後に、豚毛のブラシで前から後ろに流し、整えるように ブラッシング します。全体の毛先を揃えて、綺麗にスエードを メンテナンス させてあげましょう。
これで丸洗いは完了です。すっきり、さっぱりとリフレッシュしたスエードシューズ。より長く愛用してください。
シミ&カビ
次はトラブルのお話をします。やはり革靴。スエード素材も、間違えた手入れやずさんな管理だと寿命が縮みます。愛用のスエードシューズと長い付き合いは出来ません。スエードの素材感的にも特に目立つのがシミとカビ。更に、次の章で紹介する色落ちや色移り、色あせのカラー問題もあります。
トラブルにならない為に。なってしまった時の為に。手入れと メンテナンス 方法を紐解いていきましょう。
スエードのシミの手入れ方法
防水スプレーをこまめにしていなかったり、雨に当たった日もそのままにしたいたり。汚れがスエードの表面から中まで浸透してしまったり、原因はさまざまです。シミの場合は、スエードの手入れ方法でご紹介した一連の流れで落とす事ができます。
しっかりと豚毛ブラシで ブラッシング をし、汚れを落とす。クレープブラシで整える。スプレーで栄養を与える。豚毛ブラシで仕上げ、防水スプレーで予防する。この工程で、ある程度のシミは綺麗になります。ただ、経年劣化が進んでいる場合や、深く広い範囲のシミならば水洗いをしましょう。
水洗い後は、乾かす事とアフターケアが大事になってきます。しっかりと湿気を飛ばし、ブラシとスプレーで手入れしてあげましょう。
クリーナーの使い方
ブラッシング の手入れでも、水洗いでもなおシミが気になる場合には、クリーナーを使用してみましょう。全体的に広がるシミ、長く放置した強い汚れや、深くまで浸透したシミは完全に取り去るのは困難です。ですが、クリーナーでシミを目立たなくさせる事は可能です。
ただ、クリーナーはスエードの風合いが損なわれたりするので、本当にやむを得ない場合に最終手段として使用します。準備するものは、シューキーパー、豚毛ブラシ、クレープブラシ、スエード用スプレー、クリーナー、濡れタオル、防水スプレーです。
手順
まず、スエードシューズを綺麗に ブラッシング します。表面のほこりやゴミをしっかりと払い落しましょう。クリーナーを全体に吹きかけます。この時ムラにならないように均一に満遍なくかけましょう。吹きかけ終えたら濡れタオルで念入りに拭き取ります。汚れやシミが目立つ部分は叩くようにしましょう。強く擦ってはいけません。
スエードシューズがキャメルやライトグレーなどの薄いカラーの場合、クリーナー成分が靴の中に残ると色が濃くなる場合があります。しっかり丁寧にクリーナーを落としてください。クリーナーが乾いたら、しっかりとアフターケアをします。スプレーで栄養を与え、 ブラッシング します。この時、クリーナーで弱っているスエード表面を刺激し傷ませないように、優しく様子を見ながらケアしてください。
クリーナーは、スプレー、ミスト、ローションと多様な種類があります。ローションの場合は、専用のブラシで泡立てながら靴全体を ブラッシング します。満遍なくブラシをかけたら、水気と泡を取り除きます。スエードのクリーナーは、技術的にも少し難しい部分があります。挑戦する場合は、クリーナーは吹きかけるタイプから始めてみましょう。
スエードの緊急シミ対応
お気に入りのスエードシューズに、食べ物や飲み物の飛沫シミが付いてしまった場合など。部分的な場合は、全体にクリーナーをつけるのではなく、部分的に対処していきます。軽く濡れタオルで箇所を優しく擦ってみて、それでもダメならクリーナーをタオルに取りシミを撫でます。最後にクリーナーを当てた部分を忘れずに拭き取ってください。
つけ過ぎると色が濃くなってしまうので、注意してシミ取りをしましょう。又、強いクリーナー成分で色落ちする事もあります。最初は、消しゴムタイプのクリーナーを使ってこすり落とすのもおすすめです。
傷・テカり&毛羽立ち
スエードシューズを使用していて、汚れ以外に気になってくる見た目の変化があります。例えば艶感がなくなってきた、毛羽立っているように感じる、線の傷が出来ている、など。傷やテカりの原因は、強く擦れてしまった場合に起こります。それは、毛並みが荒れている証拠です。
このトラブルは、簡単に ブラッシング の手入れで改善する事ができます。スエードがくたびれて見える原因を無くす為に、手入れをしてあげれば良いのです。スプレーで栄養を与え、 ブラッシング で毛並みを整えます。そうすると、毛並みの風合いと艶が蘇ります。
クレープブラシで、スエードの毛並みをしっかりほぐして整えましょう。傷に見える部分は毛が寝てクセになっているだけだったりします。表面が切れていたり、えぐれるような傷は、修理に出すしかありません。また毛羽立ちも、毛並みが乱れているだけなので、同じように整えてあげましょう。 ブラッシング をする事と栄養を与える事は、革靴を長持ちさせる為の基本であり、最善の手段なのです。
毛羽立ちと毛玉を炙る
ブラッシング や手入れでも良くならない毛羽立ち。それはもう毛玉になっている事が多いです。毛玉は、特にスニーカーで多いトラブルかと思います。スニーカーは、先が細くなったデザインが多いドレスシューズと違い、先が膨らんでぽってりとしています。
なので靴同士が擦れ合う機会も多くなってしまいます。その結果、毛羽立ち、毛玉になってしまうのです。毛羽立ちと毛玉にはライターを使って炙る方法があります。乱れた表面を焼き整えるのです。ライターを揺らしながら、すばやく動かして焦げないように注意します。縫い目の部分には火を当てないでください。
ただ、色の薄い靴や、毛足が長い靴には向きません。火を扱うので、くれぐれもご注意を。ライターで毛羽立ちや毛玉を取るのは、ネクタイも同じです。うまくいけば、とても綺麗に表面が整います。そして、ライターで炙ったあとは ブラッシング をし、燃えカスなどを払い落します。そしてスプレーで栄養を与えながらしっかりとアフターケアをしてください。
色移り・色落ち&色あせ
表面の毛並みの乱れと共に、とても目立ち気になる事が色のトラブル。多いトラブルではまず色移り。デニムや綿のカラーパンツをよく着用する方だと、履き口の部分だけ色が変わってしまう事も多いです。また、靴下の色が雨の日に履き口に移ってしまう事もあります。
色移りを綺麗にする事に関しては、水洗いすると効果が出やすいです。綿のパンツも浸け置きして洗濯で洗うとよく落ちます。一度水洗いを試してみてはいかがでしょう。色落ちは、日光や雨風のダメージが原因の場合が多いです。薬品がついてしまった場合も、部分的に色落ちしてしまいます。落ちた色を取り戻す事は難しいです。色褪せも同じく、経年劣化や使用回数が多いほど早く色あせてしまいます。
色トラブルを起こさない為に
毎日の手入れでカラートラブルを防ぐ事が可能です。スエードは、経年劣化を楽しむのではなく、良い状態を保つ事が大事です。スムースレザーもそうですが、それ以上に日ごろの手入れが重要になってきます。長く愛用する為に必要な項目が、 ブラッシング とアフターケアです。
天敵の雨にはしっかりと撥水スプレーで対抗します。使用の度にスプレーしましょう。使用後の ブラッシング も、忘れないようにしっかりと習慣にしましょう。毎回の手入れと メンテナンス が、劣化を防ぎ長く革靴と付き合う為の一番のポイントになります。
それでも、色あせをしてしまう革質なのがスエード。愛用の一足を色あせから救う為に、補色材で メンテナンス をしてあげましょう。
スエードの補色
スエードの特徴的な メンテナンス に、靴に色を与えるという手入れ方法があります。手入れとしては、スプレーやミストタイプの補色用のアイテムを使用します。リキッドタイプで直液式のタイプもあります。部分的な補色だけならリキッドタイプが扱いやすいかと思います。スティックタイプで先端のスポンジから補色材が出てきます。ぽんぽんと叩きつけるように色を塗っていきます。
ただ、総合的にはスプレータイプの方がおすすめです。確実に使いやすいので、日ごろの メンテナンス にはスプレータイプを選択すると良いかと思います。補色材には、防水機能と栄養を与える効果もあります。
色の選び方
補色材のカラー展開は沢山あります。各メーカーにより特徴的なカラーを出していたり、ベーシックなカラーの中でも種類があったり多様に存在します。色で迷ったら、スエード表面のカラーより、少し薄いものを選びましょう。では、色を入れる為の手入れの手順をご紹介します。
補色の手入れ方法
まず、色あせてしまったスエードシューズを蘇らせる為に、下準備の ブラッシング を施します。しっかりと汚れを落とし、毛並みを整えて色が綺麗に入るようにします。カラースプレーやミストの場合は特に、靴の中やコバの部分に色が付かないように新聞紙を詰めたり、テーピングを施しましょう。靴ひもは外した方が安心です。
念のため手袋をし、換気の良い場所でスプレーは使用します。色素が床や壁に付着しないよう十分注意しましょう。屋外が無難です。カラースプレーは、試しに紙等にスプレーし、色の最終確認をします。そして、ムラにならないように全体をスプレーします。近い位置からではなく、15~30センチほど離した位置からです。
リキッドの場合は、ぽんぽんと箇所に叩き付けます。少しづつ色を確認しながら修復します。最後に、30分以上日陰で置いておき、スプレーが完全に乾いたらブラシで毛並みを整えます。色が蘇り、艶も与えられる事で見違える程美しく修復されます。くたびれてしまったスエードシューズも、愛用のスエードシューズも、ケアと補色 メンテナンス で綺麗に蘇ります。
スエード靴の修理
スエードに限らずですが、革靴は修理に出す事で履き続ける事が出来ます。日々の手入れでSOSに気づき、 メンテナンス をする事で長く愛用する事が可能です。自分で手入れをする事と、 メンテナンス をする事も大事ですが。最終的にはプロに頼る事も大切になります。
もう手遅れかと諦める前に、修理に出せるかどうか確認してみてください。まだその革靴と、日々を共にする事が出来るかもしれません。そして、愛用のシューズを大事に履く事も大切です。がさつに扱わず、長持ちさせる事を日々心がけましょう。
靴を傷付けない歩き方
革靴で多いトラブルは、つま先の傷とかかとの擦れ傷です。スエードは特に擦れが目立つ革質です。表面がテカったり、白っぽくなったり、すぐに目に見えて雰囲気が変わってしまうのがスエードの特性です。歩いている時に、よく靴同士がぶつかってしまう事が多いのであれば要注意です。そこから擦れ傷が出来てしまいます。テカりが出やすいのも、このかかとの内側部分です。
スエードシューズを傷つけない為に、足のサイズに合った靴を選ぶ事が大切です。足にフィットしていないと靴にも足にも負担をかけてしまいます。そして、正しい姿勢で歩く事を意識しましょう。かかと全体を地面に着地させ、足の指の付け根で蹴りだすイメージです。
そして、履く時はかかとを踏まないように、正しく靴べらを使用しましょう。脱ぐ時は必ず手でかかとを抑えて脱ぎましょう。両足のかかとを擦り合わせて手を使わずに脱いでしまうと、内側が傷み、擦れ痕になります。スエードレザーだと、すぐに毛が寝てしまいテカってしまいます。
行為的にも、靴の見た目的にも美しくないです。
靴を傷つけにくい製法
スエードレザーは、さまざまなデザインのシューズがあります。スムースレザーに比べてカジュアルなデザインや、ブーツ、スニーカーと幅広いジャンルの展開があります。スエードは傷が目立ちにくい反面、出来やすいです。例えばブーツやローファー等は、コバが出ているデザインの物が多いので、コバの部分が反対の足に擦れて傷がつきます。
靴の製法がマッケイ製法より、グッドイヤー製法の方が傷トラブルは少ないです。有名な製法ですが、全く異なる靴底の貼り方をします。グッドイヤー製法は、コバがあるので靴同士の擦れには注意が必要です。ただ、そのコバの部分が物や壁に当たる事でガードになります。コバのガードで革表面が傷まないという利点があるのです。
長所を短所にしない為には、歩き方と扱い方を改める事が大事です。マッケイ製法はコバが無いので、安心感があります。そして、カジュアルだとドライビングシューズはコバが無いので安心です。そして歩きやすいです。
スエードレザーは、スムースレザーよりは傷が目立ちにくい革靴でタフな扱いも出来ます。ただ、長く履く為にも、手入れと日ごろの歩き方の意識は大切なのです。
最後に
スエードレザーのシューズや革靴は、デザインもカラーも豊富です。メンズ・レディース・キッズとさまざまなシーンでスエードのシューズと出会います。スエードはタフな革質で、手入れが簡単で、むしろノー メンテナンス で大丈夫、と言われる事もあります。
ただ、生きたレザー素材だという事に変わりはありません。しっかりと日々の ブラッシング とメンテナンスは必要です。スムースレザーよりカジュアル感もあり、手入れをするイメージはありません。が、しっかりと手入れをすれば、長く愛用出来るのです。
デザインとカラーが豊富だという事は、買い替えで同じスエードシューズには出会えないかもしれないという事です。シリーズ化されていないデザインのスエードシューズはとても多いです。ドレス、スニーカー、ブーツ、と各ブランドでの限定モデルや特別仕様のラインナップも多いです。
お気に入りの一足を大事に長く履く事は、自分の歩いた人生を長く履く事です。スムースレザーを履くシーンとは別のシーンをスエードシューズは歩きます。ビジネスシーンではなく、遊びやプライベート、リラックスシーンで履く機会がスエードシューズは圧倒的に多いです。
ビジネスモードの自分ではない、ラフな気持ちの自分と共にするスエードシューズ。ぜひ、肩の力を抜いてスエードシューズとの付き合いを楽しみましょう。