”#ローファー誕生の歴史と起源”
メンズファッションのキーアイテムであるローファーは時代が変わった令和時代でも”大人のいい男”にとっては欠かせません。これだけの人気と進化を遂げたローファーの歴史と起源は諸説あります。今回はそんなローファーの歴史について掘り下げてご紹介したいと思います。
1847年 高級革靴製造メーカー Wildsmith(ワイルドスミス)社
高級革靴製造メーカー Wildsmith(ワイルドスミス)社は夫婦であるマシュー・ ワイルドスミス とレベッカによって1847年にロンドンで設立されました。当時は騎兵隊のためのブーツ製造と修理を事業としていたワイルドスミス社はその技量と手腕が評価されすぐに王室関係者や著名人などからオーダーメイドの注文を受けるようになります。その顧客はキングジョージ6世をはじめとしてチャールズ皇太子およびジョンFケネディなど錚々たる方々ばかりが揃っていました。
『ローファーの起源 その1』The Wildsmith Loafer ワイルドスミス ローファー
そして1926年に彼らの孫であるレイモンド・ルイス・ワイルドスミスがキングジョージ6世のためにオーダーメイドのカントリーハウスシューズを作ります。 キングジョージ6世が狩猟中の休憩時に使用する室内 靴 として愛用しました。そこから、デザインはアウトドアウェアのカジュアルスタイルに進化し “the Harrow”(ハロー)と呼ばれ一般ユーザー向けに販売され大流行しました。 そうです、これがまさしく ローファー の誕生と起源なのです。
この ローファー は最初に「582」と呼ばれ、その後”Wildsmith Loafer ワイルドスミス ローファー “として知られるようになるまで「モデル98」と呼ばれていました。これはロンドンのイングリッシュ ローファー の一般的なスリッポンシューズのバージョンへの最初のモデルでした。スタイルは”ウィンザー ローファー として今日の令和時代でも大人のメンズファッションに欠かせないものとされて受け継がれています。
その後、Wildsmith(ワイルドスミス)社は、2013年にJohn Wildsmith(ジョン・ワイルドスミス)から サヴィル・ロウ(Savile Row) 仕立て会社のCad&The Dandyによって購入され、その後2016年にヘリング シューズ ( Herring Shoes )によって買収され、ラグジュアリーな既製メンズシューズを製造しました。
『ローファーの起源 その2』ノルウェーの靴職人Nils Gregoriusson Tveranger
1930年 「Aurland moccasin(オウランド モカシン)」
ローファー のもう1つの起源とされているのがノルウェーのアウルランドで生まれた靴職人Nils Gregoriusson Tverangerです。彼は13歳でアメリカのシカゴを訪れた際に 靴 作りを学びました。 その後、20歳にノルウェーに帰国し、 ローファー の起源とされる「Aurland moccasin(オウランド モカシン)」を1930年頃に製造します。
この ローファー の起源とされるシューズは、北アメリカ先住民族のイロコイ族のモカシンシューズや 「Aurlandオウランドの先住民族」 の伝統的なモカシンシューズからインスピレーションを得てデザインされたと言われています。
Loafer(ローファー)と命名された由来
革靴として夏服メンズコーデに欠かせない ローファー ですが。その名前が命名された由来は、誕生の歴史とおなじように諸説ありまして1つが靴紐がなく履くことができるデザインの ローファー を英語で「怠け者」の意味の”LOAFER(ローファー)” が命名されたという説と 靴 職人Nils Gregoriusson Tverangerが ローファー の原形を作ったとされるノルウェーでは,乳牛の待機場所(loafing area)での作業 靴 として使われていたため “LOAFER(ローファー)” と名付けられたという2つの説があります。それでは2つの説をもう少し掘り下げてみたいと思います。
ローファーの由来は「怠け者」説
“LOAFER(ローファー)” の翻訳について調べてみると以下のような情報が出てきました。たしかに革靴である ローファー は靴紐がなくサクッと履けるので楽ちんではありますが。「怠け者」というイメージとは少し結び難いところではありますが。確かに1930年代という靴紐が当たり前、常識だった時代の人からすればそれはある意味で靴紐を締めるという行為をしなくていい 「怠け者」 なのかもしれませんね。令和時代のNike(ナイキ)のハイテクスニーカーであるエアヴェイパーマックスの誕生のような衝撃があったかもしれませんね。
lóaf・er【名詞】【可算名詞】
1 怠け者; 浮浪者.
2 [ 通例複数形で] ローファー 《つっかけ型の浅い靴》
loafer (ˈləʊfə)
1. a person who avoids work; idler
2. (Clothing & Fashion) a moccasin-like shoe for casual wear
1937年には”LOAFER(ローファー)” で商標取得されていた!?
“LOAFER(ローファー)“=怠け者からという説の信ぴょう性をかなり高める事実として”LOAFER(ローファー)“が1937年に商標取得されていることから人気が急上昇しこのキーワードがかなり認知されたことが分かります。ちなみに商標取得している会社はA.E. Nettleton Companyというアメリカの ニューヨーク州シラキュースにある革靴メーカーです。1984年に一度倒産しています。ちなみにこの革靴メーカーの当時のキャッチコピーが “The World’s Slowest Made Shoe” 世界一製造に時間が掛かる 靴 だそうです。なんでも安く、早く、手軽にという令和時代にはある意味で逆をついた良いマーケティングかもしれません。
乳牛の待機場所(loafing area)という説
ローファー のもう1つの起源とされているノルウェーのアウルランドで生まれた 靴 職人Nils Gregoriusson Tveranger。彼が生まれたノルウェーでは乳牛の待機場所をloafing area(ローフィングエリア)とよび作業靴 としてローファーを愛用したと言われている。そしてローフィングエリアから文字って ローファー と呼ばれるようになったと言われていますが。当時の貴重な資料や写真には確かにローファーのような履物を履いた人の写真が残っている。
ローファーの命名についての結論
使われるエリアや時代が少しだけ違っているだけでどちらの説も非常に信憑性が高く、実際にどちらも本当の話しではあるのだろうと思います 。また起源についてもどちらも同じぐらいのタイミングではあったのだと思います。ただビジネスやマーケティングにおいては王室やその関係者や著名人たちから愛されたThe Wildsmith Loafer ワイルドスミス ローファーが本流と考えられているのでしょう。
1936年 ペニーローファーがアメリカで誕生
1876年創業のアメリカの老舗シューズブランド「 G.H BASS 」は George Henry Bass氏が設立しました。またペニーローファーの起源であり原型と言われている 「WEEJUNS(ウィージャンズ)」 は当時の社長、 ジョン・R・バス氏が雑誌編集者から贈られたノルウェーの木こり達が履いていた靴 ”シールレザー(アザラシ)”の ノルウェーモカシンをヒントに開発されたと言われています。 ノルウィージャン(ノルウェーの)という語から「ウィージャンズ」の名が付きました。
ペニーローファーの誕生には諸説あり、ひとつは 「WEEJUNS(ウィージャンズ)」 にはサドル部分(靴の甲)にダイアモンド型の切れ込みデザインがあり。 1950年代のアメリカの学生が1セント硬貨(ペニー)をWeejunsのサドル部分の切れ込みに差し込み、ファッションとして取り入れたことが始まりという説。また1930年代には2セントで電話がかけられたため、緊急時用にそれぞれの靴のスリットに忍ばせたという説の2つがあります。
その後、ローファーはアメリカの学生の間で履かれたカジュアルな靴の代表格となり アメリカントラッド、アイビースタイルに必須なアイテムとしてたくさんの人気と認知を集めました。
1948年 「Alden(オールデン)」からタッセルローファーが誕生
タッセルローファーは革靴というよりも大人のエレガントシューズとしてある意味でアクセサリー的要素のあるエレガントでラグジュアリー感のあるローファーです。そんなタッセルローファーは1948年に米国を代表する革靴メーカーであり、男の誰もが憧れる”ALDEN(オールデン)“から誕生しました。
タッセルローファー誕生秘話
タッセルローファーが誕生した背景には一人の名俳優がいました。 ハリウッドの名脇役として活躍したポール・ルーカス(Paul Lukas)氏です。すでにハリウッド俳優として活躍していたポール・ルーカスは靴ひもに房飾りがついた革靴を英国で手に入れ、それを帰国後にニューヨークとロサンゼルスの革靴ブランドに”よりシンプルなデザインにしたい”とオーダーしました。
しかしどちらの革靴ブランドも “ALDEN(オールデン)” にポールがオーダーしたローファーを製作依頼したことがキッカケとなりタッセルローファーが “ALDEN(オールデン)” から誕生しました。 そして、タッセルローファーの世界初の愛用者にポール・ルーカスがなったのです。
1957年 ブルックスブラザーズがタッセルローファーを製造
ブルックスブラザーズが 1957年にタッセルローファーを製造します。当時、ブルックスブラザーズといえばアメリカントラッドの代表格としてラルフローレンと並びアメリカントラッドの二大巨頭としてアメリカの若者にとって流行の中心的ブランドでした。そのブルックスブラザーズが販売すると瞬く間にタッセルローファーは大流行となります。
その後、当時の学生が社会人となりビジネスマンや弁護士の間でもフォーマルなシーンでもタッセルローファーが愛用されるようになったことから「弁護士の靴」と揶揄されるようになりました。
1950年代:キルトローファーが作られる
キルトローファーは、ゴルフの歴史と密接な関係があります。 ゴルフシューズのレース(靴紐)が泥や水で汚れるのを防ぐためにシュータンより大きいキルティングが誕生しそれが定着したことにより キルトローファー が誕生しました。
タッセルキルトローファー
レースキルトローファー
バックルキルトローファー
1953年:Gucci(グッチ)ローファーが販売
Gucci(グッチ)の歴史で創業から後継者争いなどを詳しくご紹介しておりますが。海外展開やGucci(グッチ)のブランディングを確立させた三男アルド・グッチがいまやローファーといえばGucci(グッチ)ローファーというほどに多くのファンを獲得しました。その背景には多くの映画やハリウッド俳優が Gucci(グッチ)ローファーを愛用したからとも言えます。
レオナルド・ディカプリオもGucci(グッチ)ローファーを愛用
ウルフ・オブ・ウォールストリートのレオナルド・ディカプリオ、シャイアラ・ブーフのウォールストリート、マットデイモンのリプリーなど数多くの人気映画で Gucci(グッチ)ローファーが俳優たちの足元を飾りました。
1954年 ベルジャンローファーが誕生
1895年に設立されたヘンリベンデル(Henri Bendel) 、創業者でもある ヘンリベンデル(Henri Bendel) の甥が1954年に会社を売却をしその資金を元手に2つの靴工場を買収します。この2つの 靴工場で製造したのがベルジャンローファーの誕生です。