シューズ好きなら誰もが知っている「Vibram(ビブラム)」。世界的にも評価の高いソール専門のメーカーです。ブランドシューズは基本的に自社で製作しているソールを使用するのが主ですが、ヴィブラムソールは一流ブランドからも外注されるほどのアイテムなんです。そんなVibram(ビブラム)の歴史・成り立ちや用いられている大手ブランドのシューズなどをご紹介いたします。
1937年設立のイタリア製ソール会社 Vibram S.p.A (ビブラム)
社名 | Vibram S.p.A (ビブラム) |
本社所在地 | イタリア アルビッツァーテ |
創業者 | ビターレ・ブラマニー |
現CEO | マルコ・ブラマーニ |
URL | https://ca.vibram.com/ |
店舗 | 全国に多く取り扱い店舗あり |
Vibram S.p.A (ビブラム) 歴史・成り立ち
1937年 | 設立 |
1945年 | 最初の製造工場をイタリアアルビッツァーテに建設 |
1954年 | イタリア登山家チームがK2征服。一気にヴィブラムの名を世に轟かせた |
1965年 | 北アメリアにヴィブラム生産工場を建設 |
1967年 | 安全用品市場に参入。安全靴のソールを開発 |
1969年 | ヴィブラム社のシンボルマークである黄色いプレートの貼り付けを開始 |
1984年 | カジュアルシューズのための軽量ソールEVAを開発し、ファッション業界に参入 |
1988年 | ヴィブラムグリップを開発。クライミングチャンピオンが使用したことで大きな注目を集めた |
1989年 | 従来のゴムよりも30%軽量のガムライトを開発体制が非常に強いことが特徴 |
1991年 | 軽量で衝撃吸収力に優れたPUインナーソールとFouraソールを発売 |
1994年 | 廃棄物と未使用の材料の使用を最大30%削減できるエコステップを発表 |
1998年 | 中国生産センターでの政策を開始 |
2001年 | 未来的デザインの革新的トレッキングソールを開発 |
2004年 | ファイブフィンガーズを開発。はだしで歩くという概念に革命をもたらす |
2008年 | ミラノのラファエッロ・サンツィオ通りにヴィブラムショップをオープン |
2014年 | ウェアラブルテクノロジー開発。 |
悲劇から生まれたVibram S.p.A (ビブラム)ソール
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールは、登山家のヴィターレ・ブラマーニが1935年にイタリアアルプスの遠征に出かけた際に、6人の仲間を登山事故で亡くしたことで生まれました。この時、ブラマーニはこの事故の要因は靴の質の悪さだと気付きました。当時の登山家は、スチール製のクリートやホブネイルを履いた滑らかな革の靴底のシューズを着用していました。そのため、靴のグリップが弱く、足元が安定しにくいものだったんです。
こうした悲しい出来事を少しでもなくしたいという願いから、ゴム製ソールの開発を始めました。革や釘で出来た滑りやすく不安定なソールではなく、高いグリップ力と安全面に配慮したソールは、どんな地面であってもしっかりと安定感を持つことが出来ます。1937年、ブラマーニは加硫ゴム技術を使用したCARRARMOTOデザインを開発します。日本ではタンクソールと呼ばれ、このソールはすぐさま登山家たちの間で話題となりました。今現在も、登山家の中で一番用いられているソールでもあります。
発展のきっかけはイタリア登山チームのK2初登頂
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールが今まで以上に大きく発展していくきっかけになったのが、1954年にイタリアの登山家チームが、当時世界で最も登頂が困難と言われていたK2の征服を果たしたという出来事です。K2は標高8,611mあり、エベレストの次に高い山として存在しています。難攻不落とされていたK2ですが、このチームは見事登頂を達成。その際に着用していたのがヴィブラムソールでした。この快挙が大きな引き金となり、今まで以上の発展を遂げていきます。また、トレッキングやアプローチ、高度などの様々な環境に適したアイテムを製作するきっかけにもなりました。
優れた耐久性とグリップ力
Vibram S.p.A (ビブラム)は何と言っても安定感と優れたグリップ力が最大の魅力です。シューズ本体というのは足も守る役割がありますが、用いられているソールがしっかりとしたものでなければシューズの機能は半減し、安全面においても不安なものとなってしまいます。創業当時、ブラマーニは加硫ゴムという素材を用いたソールを開発しました。加硫ゴムというのは、ゴム素材に硫黄を混ぜ合わせたものを加熱し、強度や耐熱性、柔軟性をより高めた素材です。この加硫ゴムを導入したことにより、歩行時に地面をしっかりと踏みつけるような感覚を感じることができ、安定感をより強くすることができるようになりました。
1945年・最初の生産施設がオープン
イタリアのアルビッツァーテに最初の生産施設を建設しました。この工場が建てられた約10年後に、イタリア登山チームがVibram S.p.A (ビブラム)ソールを使用した特別なドロマイトブーツを装備しK2登頂を成し遂げました。工場では登山用としてのソールを製作し続け、商品として展開し始めてから非常に大きな話題となっていましたが、このK2登頂という偉業がさらに多くの登山家の間に広がっていき、今まで以上に注目を集めるようになっていきました。その後1965年にはQuabaug Rubber社が独占的のライセンスを取得し、北米にブヴィラムの生産工場を建設しました。
1967年・Vibram S.p.A (ビブラム)セキュリティ
創業当時から注目を集め続け、発展をし続けてきたビブラムは、1967年安全用品の市場への参入を開始しました。耐油性ニトリルをベースとしたニトリルゴムという合成ゴム素材のソールを発売。このおかげで靴の寿命が延び、労働者の安全を守るためのものとして広く浸透していきました。工場や建築現場の安全靴などに採用され、労働者の間でも非常に大きな話題となっていくヴィブラム。登山靴としての知名度しかなかったビブラムですが、この安全市場への参入をきっかけに、様々な業種の人々から厚く支持されるようになり、ブランドとしての地位を確かなものとしていきました。
1994年・Vibram S.p.A (ビブラム)ECOSTEPを導入
Vibram S.p.A (ビブラム)は環境への配慮を考え、廃棄物と未使用の材料の使用を最大30%削減できる生産スクラップを組み込んだ、革新的なエコミックスであるEcostepを発表しました。そのため、ヴィブラムはエコロジカルマテリアルの使用を許されました。エコロジカルマテリアルとは、温暖化物質などの排出が最小限で環境への負荷が少ないものなど、エコに貢献しているアイテムに用いられているものです。この取り組みは当時も大きく取り上げられ、環境問題に対する姿勢が大きく評価され、さらに大きく躍進していくきっかけともなりました。
2014年・Vibram S.p.A (ビブラム)ウェアラブルテクノロジー
2000年代はITテクノロジーやスマートフォンなど、デジタル社会が大きく発展してきました。ヴィブラムは、2014年にスマートフォンとやスマートウォッチなどのワイヤレス通信をし、専用のアプリと連動させることで暗闇でも歩行を補助するという大きな役割を果たすソールを開発しました。軍隊や警察、消防や救助など、あらゆる場面での活動を支援するという目的のために開発されたウェアラブルテクノロジーは、今後、温度を感知するセンサーや有毒ガスなどを感知するセンサーなどを搭載することを目標としており、さらにハイテク化し、使い勝手の向上を図っています。
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールを使用しているシューズブランド・5選
Vibram S.p.A (ビブラム)のソールは、様々なブランドから外注されるほど信頼の高いソールブランドです。実は世界的にも有名な一流ブランドのソールにも使用されており、知らず知らずのうちに手にしていることがあるかもしれません。シューズブランドは、ほとんどがこうしたソールなどのパーツも自社生産のものを使用しています。しかし、ヴィブラムソールの機能性や高い品質を求めるブランドも多く、国を超えて多くのブランドから外注を受けているんです。ヴィブラムソールを使用したシューズというのはどういったものがあるのかをご紹介いたします。
REDWING(レッドウィング)
ワークブーツの王道・レッドウィング。メンズファッションには欠かせない人気ブランドですね!高い知名度と人気を誇るレッドウィングでも、Vibram S.p.A (ビブラム)ソールを用いているデザインが多くあります。レッドウィングは元々危険な仕事を行っている人のために、安全性を重視した靴を開発し続けてきました。ヴィブラムソールの高いグリップ力と安定性は、作業靴を主にしたレッドウィングからも認められるほどなんです!
THE NORTH FACE(ノースフェイス)
アウトドア用品や登山用具などを手掛けているノースフェイス。このブランドでもヴィブラムソールが用いられています。日本でも広く知られており、高い人気を誇っているノースフェイスですが、ブーツやシューズの多くにVibram S.p.A (ビブラム)ソールが使用されているのをご存じの方は少ないのではないでしょうか?登山やアウトドアなど、まさにヴィブラムソールの本領発揮するシーンですね!ノースフェイスのシューズ機能とヴィブラムソールの機能が合わされば、これほど安全面に信頼のおけるものはありません。
BUTTERO(ブッテロ)
乗馬ブーツやトラディショナルブーツなど、様々なデザイン性の高いシューズを展開しているブッテロ。品があり、嫌味のない高級感が人気のブランドです。ブッテロのソールでもVibram S.p.A (ビブラム)が用いられています。ブッテロは上質なレザー素材で作るシューズブランドで、男らしさの象徴ともいえるブランドの一つでもあります。ヴィブラムソールを用いることでソール部分の強度とボリュームが増し、より力強い男らしさを足元から醸し出すことが出来るようになるでしょう。
Danner(ダナー)
昔ながらの職人技が光るダナーのシューズ。1950年代、アメリカではじめてヴィブラムソールを取り入れた登山靴を開発しました。Vibram S.p.A (ビブラム)ソールの様々なデザインを用いてシューズを作成しており、長年良好な関係性を保っています。ダナーは一つ一つのシューズを職人が手作りで作成し、こだわりの強さが人気の一つとなっています。そんなダナーで長く求められるヴィブラムソール。それだけでもビブラムソールがいかに素晴らしいアイテムなのかが分かりますね。
Paul Smith(ポールスミス)
イギリスを代表するファッショブランドの一つであるポールスミス。現代的スピリットや伝統などを融合させたアイテムは、世界中で多くのファンがいらっしゃいます。日本も例外ではありません。ヴィブラムソールを用いたポールスミスのシューズは、年代問わず非常に高く評価され、営業職など、日々多く歩くようなビジネスマンからの支持も得ています。高い評価はグリップ感やシューズの耐久性も上がるVibram S.p.A (ビブラム)ソールのおかげと言っても過言ではありません。
ソールだけじゃない!Vibram S.p.A (ビブラム)のラインナップ
高い品質を誇るVibram S.p.A (ビブラム)ソールですが、ヴィブラム社はソールだけの会社ではありません!主な製品はソールですが、これまでの歴史で培ってきた技術や素材などを上手く活用し、他ブランドでは作れないようなオリジナルアイテムも多数発表しています。ソールだけで終わらないヴィブラム。どんなアイテムがあるのか、多くある種類の中でも特に人気があり注目度の高いラインナップをご紹介いたします。
ファイブフィンガーズ
Vibram S.p.A (ビブラム)が開発した代表アイテムとして有名なのがフィンガーシューズ「五本指シューズ」です。ウォーキングやハイキング、トレッキングに最も適しているとされており、その見た目は都会的でフレッシュさを感じることもできます。もちろん、メンズだけではなくレディースやキッズラインもあるので、ご家族でおそろいのフィンガーシューズを履いてジョギングなんかも素敵ですね!
5本指ソックス
5本指ソックスは近年一般的な定番アイテムとして様々なブランドやメーカーなどで販売されています。Vibram S.p.A (ビブラム)の5本指ソックスはフォアイブフィンガーズにはもちろん、普通のシューズやブーツなどでも足の快適さをより強くし、湿気を制御する大きな役割を果たしています。くるぶし丈やハイソックス丈など種類も豊富で、シーンに合わせて着用することもできます。
フロシキシューズ
これまでのシューズの常識を覆すような革新的アイテムでもあるフロシキシューズ。日本の風呂敷をヒントにして開発されたこのシューズは、足に巻き付けて履く全く新しいデザインのシューズなんです。どんな足の形にもぴったりフィットし優しく包み込んでくれる感覚が非常に魅力的です。2018年にリニューアルをし、より快適なフィット感を感じることのできるようになりました。
VIBRAMの魅力
世界的に活躍の幅を広げ続けているシューズソールブランドのVibram S.p.A (ビブラム)。その魅力はどの国の人々にも愛され、年代性別問わず受け入れられてきました。このヴィブラム社のソールの魅力はどんな部分にあるのでしょうか。特に注目すべきポイントを3つご紹介いたします。
あらゆるカテゴリーに
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールはどんなシーンでもしっかりと足を守ってくれる役割を果たしてくれます。ビジネスシーンでは革靴に合わせることで履き心地や歩きやすさをサポートし、現場靴や安全靴ではしっかりと地面に足をつけ安定感を保ち続けます。また、登山やアウトドアなどでもその機能を発揮し、いつでも快適な足元を叶えてくれます。どんなシーンにおいても安心を感じることが出来るビブラムソール。お持ちのシューズのソールを一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
安全と品質
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールは完成してからしっかりと品質チェックを行うことでも知られています。完成したアイテムは、10以上の項目をしっかりと測定をします。1つでも合格しなければ、市場に出回るという事はまずありません。それほどまでに徹底した管理を行っているんです。また、全てが合格したアイテムであっても、実際に使用するときと同じ環境下でテストを行います。こうしたすべてを問題なく通過したものだけが、ブランドシューズに活用されたり市場に出回ったりという道を進みます。
豊富なデザイン性
Vibram S.p.A (ビブラム)ソールはその種類が非常に多くあります。使用するシーン、合わせるシューズによって最適なソールを組み合わせることで、機能やシューズの魅力を最大限まで引き出すことが出来るようになります。例えばトレッキングやハイキングに適しているTRONTは、少し柔らかめの素材となっています。ロッククライミングには粘りのある素材を使用したXS GRIP、雪や氷の上を歩くためのシューズにはICE TREKというソールが最適になります。その場その場の独特な状況をしっかりと把握できているビブラムだからこそ、こうした種類豊富のアイテムを開発することが出来たのではないでしょうか。