ムートンブーツは『UGG(アグ)』や『emu(エミュ)』の二大メーカーを筆頭に展開されている秋・冬の心強い味方。レディースのファッションアイテムとしては、もこもこした内側のボアが可愛らしさを強調しつつも、冷えやすい足元を保温してくれる機能性アイテムとして定番だ。
男性が履くという事に関しては、ここ最近アメリカのとある地域にて、サーファーが足元を直ぐに温められるブーツとして広まりながらも徐々に世間に馴染むようになった経緯がある。また、日本でもレディースアイテムのトレンドとしてムートンブーツが広がり、連られるようにメンズアイテムの取り扱いも増えた事から身につける男性も増えてきた。今回は今後、爆発的に普及するであろうムートンブーツを中心に紹介していく。
ムートンブーツとは?
ムートンブーツの言葉の”ムートン(Mouton)”とはフランス語で羊の毛皮を指し示す。また、英語では”シープスキン(Sheepskin)” という名称であり、要約すると”羊の毛皮を用いて作られた靴”という事だろう。当然、大手メーカーが販売している本物のムートンを使用したアイテムも存在しながらも、フェイクムートンのアイテムも広く普及している。
ムートンは冬は暖かく、靴内部の湿気を逃がしてくれる優れた特性を持つ。これは羊が体毛で覆われている動物としての特性を利用している自然由来の機能性だ。高い機能性と毛皮アイテム特有の高級感はコーディネートにおいても役に立つだろう。しかし今年2019年5月頃、『PRADA GROUP( プラダ・グループ) 』2020年春夏コレクションから動物の毛皮についての使用廃止宣言を行った。
これは近年広まりつつある動物愛護団体の強い抗議を得た影響でもある。『PRADA(プラダ)』が毛皮製品の使用廃止をするとなれば、他のパリコレ常連ブランド達も更に強まるであろう団体の抗議に耳を傾けなくてはならなくなり、徐々に毛皮製品の取扱を辞めなければならない状況が見込まれる。2019年10月13日時点ではアメリカ・カリフォルニア州で 全米初 の州法で毛皮製品の販売が禁止になっている。
この時代背景を考慮すると、今後は毛皮製品の希少性が一層高まりを見せ、ムートンブーツの価格上昇と供給の大幅な減少も視野に入れなければならない。このような事からも入手が容易な今でこそ、一足は手に入れておきたいアイテムなのだ。
ピープル誌が選ぶ「最もセクシーな男性」ブラッド・ピットのムートンブーツスタイル
画像はオフの瞬間をパパラッチされたもの。アメリカを代表するスターの一人であり、ムートンブーツの愛用者としても広く知られているブラッド・ピット。ロングコートにニット系の小物類を多数纏い、足元は『UGG(アグ)』のムートンブーツを合わせる彼のスタイリングが真冬の厳しさを物語っている。
こちらは2009年頃の古い写真だが、彼はこの時には既にムートンブーツを愛用していた。ワンサイズ上のデニムジャケットにサルエルタイプのボトムスで、ワークスタイル的なストリートファッションを着こなしている事から、ファッショントレンドに対しての先見の明は持ち合わせていたという事だろうか。
ブラッド・ピット、芝公園に出現
2019年9月20日公開の映画『アド・アストラ』のイベントにて来日したブラッド・ピットが芝公園に出現。御年55歳を迎えた彼の渋いルックスがバックの東京タワーと相まって何とも感慨深い記念の一枚。私生活では妻であるアンジェリーナ・ジョリーと破局状態にあり、正式な離婚まで秒読みと言われる彼だが、この時ばかりはそんなストレスからも解放される事を切に願うばかりである。
ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のギタリスト、ロン・ウッドのモッズスタイル
今ではウォール・ストリート・ジャーナルの「史上最も人気のある100のロックバンド」にて5位を獲得しているイギリスのロックバンド『The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)』。世界的に有名なロックバンドに欠かせないギタリスト、 ロン・ウッドは秋・冬の時期になると高い頻度でムートンブーツを着用。
クラシックスタイルなグレーカラーのチェスター・フィールドコートとムートンブーツは彼のトレードマークだ。まるで1980年代頃の映画のワンシーンかのようなモッズスタイル系のコーディネートには、ロックミュージシャンとして華やかな衣装を着ることに対する一種のアンチテーゼのようなものを感じる。
この写真もグレーカラーのチェスター・フィールドコートにブラックのムートンブーツという着こなしが、アイテムに対する拘りを見せてくれる。落ち着いた色合いで街に溶け込み過ぎないように、特徴的なマリン系グラフィックが目を引くセーターも着用。スターとしてのオーラが光る奇跡のスナップショットだ。
プレゼントに大興奮、伝説の72歳インスタではしゃぐ
彼が自身を題材にしたドキュメンタリー『Somebody Up There Likes Me』のロンドンプレミアに出席中、自宅には彼のファンが陶器をプレゼントして送ってくれていたようだ。余程嬉しかったのか、インスタグラムに動画投稿。またこの秋にはロニー・ウッド名義にてソロ・アルバムを発表するようだ。今後の音楽活躍にも期待がかかる。
オーストラリアの俳優、ジェイソン・ドノヴァンのムートンブーツコーディネート
俳優・ミュージシャンとして、両方の顔を持つジェイソン・ドノヴァンはオーストラリア・メルボルン出身のスターだ。1988年にイギリスの音楽プロデューサーチーム『 Stock Aitken Waterman (ストック・エイトキン・ウォーターマン)』のプロデュースの下デビュー曲『 Nothing Can Divide Us 』にて華々しいデビューを飾った。
彼もロン・ウッド同様、ムートンブーツの愛用者だ。私生活のみならずメディア向けのイベントなどでもムートンブーツを着用している姿を目撃されており、海外のファッションブログでも度々ムートンブーツを愛用する代表的なセレブとして名を連ねているのだ。
彼のスタイリングの特徴としては、ムートンブーツをスウェード素材のペコスブーツの様に扱うアメカジスタイルで履きこなす事が多い。特にお気に入りだと思われるのが、ケミカルウォッシュの強い洗いが入っているデニム・ジーンズと合わせた着こなし術だろう。ムートンブーツのワイルドなデザイン性からとても合わせやすいコーディネートである。
自身は歌手活動に専念、俳優業は”友”へ
“What Makes You Think” – Guy Pearce – YouTube Awesome track my friend ! Beautiful melody and lyric. Video .. superb ! Check it out everyone … https://t.co/vNLUXvAnCx
— Jason Donovan (@JDonOfficial) 2019年10月9日
私生活でも交友関係にあたる同国の俳優仲間ガイ・ピアースのミュージックビデオを宣伝するジェイソン。”歌詞・メロディー・ビデオどれもが美しい…”とべた褒めである。俳優として活動する事はあまりなくなったジェイソンだが、今でも『アイアンマン3』『エイリアン: コヴェナント』など日本でも知られている作品で活躍する盟友を応援をする姿勢にジェイソンの人柄の良さが溢れている。
スウェットシャツ × ムートンブーツでラグスト系スケーターファッション
『GUCCI(グッチ)』のブランドロゴが注目を集めやすい厚手のスウェットシャツにややタイトなサイズ感のスキニー・デニムジーンズをムートンブーツにボトムイン。秋でも気温の低い日にはオーバーサイズのコーチジャケットを着ても良い。高級感溢れるムートンブーツとブランドを主張するアイテム1点で十分なラグジュアリー感を出せるのも魅力。
チロリアンハット × ムートンブーツのエスニックなカウボーイスタイルを意識したコーディネート
クラシカルなデザインに定評のあるチロリアンハットは、イタリアンクラシコやイギリスのモッズスタイルでも紳士的な空気を纏える事から、コーディネートの顔になる主役級アイテム。本来ムートンブーツとは正反対になるカテゴリーのアクセサリーだが、デニム・ジーンズとスウェットシャツのサブアイテムにしてしまえばこの通りだ。
各所でチラ見せしているバラバラな系統のアクセサリーは、本コーディネートにエスニック風のワイルド感をプラスできている。系統の合わないアイテム同士でもデニム・ジーンズなど、比較的あらゆる分野で活躍が見込めるアイテムの活用がカギになるだろう。
カーディガン × ムートンブーツが秋にぴったりなカジュアルスタイル
キャメルブラウンのムートンブーツが刺し色になっている写真のスタイルで最初に視線が飛ぶのが、エスニックファッションでもお馴染みのオルテガ柄のカーディガンだ。オルテガ柄はペイズリーやボタニカルよりも主張の激しいデザイン。上手く活用できればオルテガ柄のアイテムを主役に立たせ、後はデニム・ジーンズとシンプルなスニーカーで完成してしまう程の時短コーデが出来上がる。
しかしながら当然リスクも存在する為、初心者には向かないアイテムの筆頭でもある。ムートンブーツはそういった主張が激しいアイテムも”それらしく”合わせやすい。意識してスタイリングを行えば、カジュアルコーディネートとして大きく調和を促す事も可能だ。
プルオーバー・パーカー × ムートンブーツのお手軽秋コーデ
秋の風物詩パーカーコーディネート。写真はオーソドックスなグレーカラーのプルオーバー・パーカーを使用したスタイル例。ボトムスやアクセサリーのハットにも同系色のデニム・ジーンズを着用。全体を通してムートンブーツが目立つコーディネート術だが、アウターとボトムスのカラーリングを統一して、足元を差し色代わりに使う手法は日本国内でも見受けられるテクニック。
ベースボールジャケット × ムートンブーツで王道ストリートファッション
オーバーサイズのベースボールジャケットはパーカーとレイヤリングを意識してフードアウト。首元にボリューム感を持たせ、Yシルエット特有の足元のラインが細くなり過ぎないようにムートンブーツでカバーしている。コーディネートのアイテム合わせ自体は1980~1990年代のオールドスクールな面影を感じる。
あえてベースボールジャケットとデニム・ジーンズをヴィンテージアイテムに置き換えると、より当時の空気を残したスタイリングも作れそうだ。 リバイバルブームは今期も健在なのでチャレンジするのも面白いかもしれない。
ジャージ × ムートンブーツで休日のちょっとした外出にマストなラフコーデ
”紫”という個性的なカラーが目を引く彼のジャージセットアップにはブラウンのムートンブーツが非常によく似合う。秋らしい独創的な配色が一つのコーディネートとして違和感のない物に昇華している例だろう。これだけラフなスタイルを主張していればコンビニやスーパー、ファストフード店でのテイクアウトも全然行けてしまえそうだ。
ムートンブーツを使ったブラッド・ピットの大人な着こなし術
ネイビー×ブラックは冬の定番カラーコーディネート。ダークトーンを基調としたこのスタイルでは首元のスヌードとハンチングキャップ、インナー・トップスを黒一色に統一。しかし、ショート丈のトレンチコートもネイビー寄りのブラックという当スタイリングでは凡庸なアイテム。
ただし、カラーリング合わせでマイナスになり過ぎないようにハンチングキャップとスヌードを合わせる小技は秀逸。本来ならば、アイスブルーなどの淡いインディゴブルーなデニム・ジーンズ&カーキ色のロング・トレンチコートで王道の組合せといきたいところだが仮にも彼は大スター。パパラッチの目を避ける必要もあるため、ダークトーンの大人らしさを前面に出せるファッションを好むようだ。
ロン・ウッドのロックなムートンブーツスタイル
上質なオリーブカラーのライダース・レザージャケットとムートンブーツでレザーアイテムの質感を全面に推したスタイル術だ。インナー・トップスにはサイケデリックなデザインTシャツでロックなヌケ感を演出した。足元はレースアップのロングブーツやエンジニアブーツに置き換えても通用する。ムートンブーツを選ぶロンは、余程のムートンブーツ好きと見える。
ジェイソン・ドノヴァンのオフコーデ
コーヒーとパンを片手に住宅街に出現したジェイソン。当然、彼の足元にはムートンブーツがあった。本来寒さを凌ぐのであればアウターを着込んでも良いはずだ。ムートンブーツを履いているのにも関わらず薄着というのは何とも不可解な格好だが、トレンドアイテムのアディダス・サイドラインパンツを所有しているのが分かる。苦しい評価委だが、流行りに抜け目ないのは流石だろう。
おすすめのムートンブーツ × ブランドまとめ
『 UGG(アグ) 』
『UGG(アグ)』のラインナップでもアウトドアデザインの「 Butte Waterproof Boot 」は実際に登山やハイキングでも活躍できるようアウトソールに滑りにくい工夫がなされている。無論雪道や降雨量が多い日にも町履きとして活躍できる一足だ。
『UGG(アグ)』でも定番のムートンブーツ「 Classic Mini 」。ユニセックスなデザインでここまで紹介してきたファッションエディター達がこぞって愛用しているムートンブーツだ。そして世間的にムートンブーツと言えばこのモデルが出てくる事だろう。
『 EMU Australia(エミュ・オーストラリア) 』
ムートンブーツでは『UGG(アグ)』と並ぶ『EMU Australia(エミュ・オーストラリア)』。エミュの特徴としては、メンズアイテムの取り扱いが少ない分レディースアイテムのラインナップに力入れている事だろうか。写真の「 Paterson 」はアグの「 Classic Mini 」に近い形状だ。どちらにも防水機能はあるので、プライスや好みでも構わないだろう。
エミュの「 Shale 」はバイカー向けのデザインでアメカジスタイルにも合わせられる。エンジニアブーツの無骨な見た目をそのままムートンブーツに持ってきたようなデザインから取っ付きやすいアイテムだ。初めてムートンブーツに挑戦する場合にはこういった扱いやすいデザインの物を選ぶと良い。
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